2007/04/17号◆癌研究ハイライト | 海外がん医療情報リファレンス

2007/04/17号◆癌研究ハイライト

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2007/04/17号◆癌研究ハイライト

同号原文

NCI Cancer Bulletin2007年4月17日号( Volume 4 / Number 15)

●2007/4よりNCI隔週発行となりました

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◇◆◇癌研究ハイライト ◇◆◇

グリベックは消化管腫瘍の再発を予防する

消化管間質腫瘍(GIST)の外科的切除を受けた患者において、イマチニブ(グリベック)が腫瘍の再発率を減少させることが大規模ランダム化臨床試験で明らかにされた。NCIが支援する最終段階の臨床試験は、イマチニブの服用が再発リスクの減少と関連していることを示すデータの中間解析を行った後、中止された。イマチニブは、試験に参加した患者全員に投与された。

米国外科学会腫瘍グループが主導した研究者ネットワークが、600人を超える患者を対象とする試験を実施した。中間解析によれば、術後1年間イマチニブの投与を受けた患者の97%において再発は認められなかった。これに対し、1年間プラセボの投与を受けた患者で再発が認められなかったのは83%であった。イマチニブは、全世界で100,000人を超えるGISTおよび慢性骨髄性白血病患者に服用されており、忍容性は良好であった。

原発性GISTに対する標準療法は腫瘍の外科的切除であり、追加の治療はない。従来の化学療法剤は、通常胃または小腸にみられるタイプの腫瘍であるGISTに対して効果がないことが知られている。

「本試験は、分子標的療法が原発性GIST全摘後の再発率を減少させることを初めて証明した。これらの結果は、原発性GIST患者にとって重大な意義をもつ」と、スローンケタリング記念がんセンターの試験責任医師Ronald DeMatteo氏は述べた。

症状緩和目的の放射線療法は高齢の膠芽腫患者(GBM)の生存期間を延長する

4月12日発行のNew England Journal of Medicine誌で発表された試験によると、高齢の膠芽腫患者にとって症状緩和目的の放射線療法は有益であり、生存率を有意に高め、QOLを損なわない。Association of French-Speaking Neuro-Oncologists(フランス語を話す神経腫瘍医の会)が実施したランダム化試験では、高齢患者の癌臨床試験への組み入れの実現可能性についても強調されている。試験責任医師は、70歳以上の膠芽腫患者81人を本試験へ組み入れた。いずれの患者も全身状態は良好であった。42人が抗痙攣(こうけいれん)薬、身体的および心理的支援など支持療法のみを受け、緩和ケアチームが担当した。残り39人が支持療法と放射線療法を受けた(1日当たり1.8Gy、週5日の線量で50G)。

放射線療法を受けた患者の生存期間中央値は29.1週であり、支持療法のみを受けた患者では16.9週であった。放射線療法は、生検のみから完全切除まで、施術範囲を問わず、生存期間に利益をもたらした。身体および精神の状態は両群とも時間と共に低下し、有意な群間差は認められなかった。QOLに対する認識も、両群間に差は認められなかった。

著者らは、「放射線療法は、治療開始時の全身状態が良好な高齢の膠芽腫患者の生存期間中央値を延長する。高齢患者における放射線療法の至適線量は未確定である」と述べている。その他の試験では、異なる線量および分割照射法を用いた本法以外の種々の症状緩和目的の放射線レジメンにより、同様の利益が得られる可能性があることが示されている。

ヒスパニック女性では治療機会が同等でも乳癌において差異が残る

Cancer誌4月9日オンライン版において発表された試験結果によれば、ヒスパニック女性は、非ヒスパニックの白人(NHW)女性と比較して、保健医療サービスを受ける機会は等しくても、乳癌のサイズ、病期、および悪性度に差異が残る。

試験では、Kaiser Permanenteコロラドヘルスプランの加盟者であるヒスパニックの乳癌女性139人とNHW女性2,118人が比較された。コロラド大学ヘルスサイエンスセンターのA. Tyler Watlington 医師が主導する試験責任医師らの報告によると、ヒスパニック女性のほうが若年時に乳癌と診断され、病期はより進行しており、腫瘍のサイズが大きく、悪性度は高く、また治療困難なエストロゲンおよびプロゲステロン陰性の腫瘍である。

「本試験結果により、ヒスパニック女性の乳癌に差異がみられるという過去の多くの試験結果を裏付けている」と、研究者らは述べている。以前の研究では、低収入のヒスパニック女性にみられる差異が社会経済的要因、なかでも医療保険が未加入や不十分であること、および治療を受ける機会が少ないことが原因であると示唆されてきた。しかし、本試験では「これらの差異は、治療機会が等しく、医療保険の利用度が同程度のヒスパニック女性のグループでも顕著にみられた」と付け加えた。

「われわれの意見では、本試験結果は、このような差異が生物的/遺伝的なものによるというエビデンスをさらに裏付けるものである」と述べている。今後の研究では、「ヒスパニック女性には異なる乳癌予防戦略が必要があると考えられるため」、臨床症状における差異と腫瘍の遺伝型および表現型における生物的差異についてより慎重に探索する必要があると研究者らは結論付けている。

年齢、人種、収入レベルは不十分な卵巣癌治療と関連する

Cancer誌5月15日号の試験結果によると、70歳以上のアフリカ系アメリカ人、ヒスパニック、またはメディケイドの受給者である卵巣癌患者は、推奨される包括的外科治療を受けていない可能性がある。

米国において卵巣癌は女性生殖器の悪性腫瘍のなかで死因のトップであり、毎年14,000人超が死亡する。進行期と診断されることが多い卵巣癌女性にとって、包括的外科治療は生存転帰を改善するのにもっとも有効な手段である。

シアトルのワシントン大学のBarbara Goff医師らは、卵巣癌と診断され、卵巣の外科的切除(卵巣摘出)を施行された21歳以上の女性10,432人の入院データを解析した。研究者らは、医療研究・品質調査機構(AHRQ)Healthcare Cost and Utilization Projectの州別入院患者データベースを用いて、1999年~2002年の9つの州における患者を特定した。このデータベースには、患者背景、居住地、および診断などの退院情報が含まれている。

研究者らによると、患者の66.9%が包括的外科治療(卵巣摘出および視認できる卵巣外腫瘍すべての外科的切除)を受けていた。70歳以上、アフリカ系アメリカ人、ヒスパニック、またはメディケイドの受給者である卵巣癌患者は、民間保険会社の保障を受けている21~50歳の白人女性と比較して、包括的外科治療を受けていない可能性が高い。産婦人科の教育プログラムのある病院に入院した女性も、このようなプログラムのない病院に入院した女性より包括的手術を受けた割合が高かった。卵巣癌手術件数が年間10件未満の外科医は、包括的外科治療を提供する割合が有意に低かった。

著者らは、「腫瘍減量を伴う至適手術は全生存期間の改善と関連しているため、すべての卵巣癌女性、とりわけ年齢、人種、または社会経済的状態が原因で弱い立場にある女性が、至適手術を受けられる可能性の高い医療施設や外科医を紹介してもらえるよう尽力すべきである」と述べている。

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Oyoyo  訳
林 正樹 (血液・腫瘍医) 監修

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