2007/02/14号◆癌研究ハイライト | 海外がん医療情報リファレンス

2007/02/14号◆癌研究ハイライト

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2007/02/14号◆癌研究ハイライト

同号原文

NCI Cancer Bulletin2007年02月14日号(Volume 4 / Number 7)
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癌研究ハイライト

アフリカ系アメリカ人では、癌は依然として致死的となる可能性が高い

米国がん協会は、Cancer Facts & Figures for African Americans (アフリカ系アメリカ人の癌統計データ)2007-2008において、「米国内のあらゆる人種および民族の中で、アフリカ系アメリカ人は、大半の癌に対して死亡率が最も高く、生存期間が最も短い」と報告した。同報告では、不均衡の原因となり得る経済格差や社会的格差に基づく数多くの要因(保険加入、健康管理、健康教育など)を挙げている。

この報告は、米国全人口(アフリカ系アメリカ人は13%を占める)の傾向である、2年連続の癌死亡者数減少について記された内容の中に含まれている。しかし、白人とアフリカ系アメリカ人との間には不均衡な事態が根強く存在しており、癌で死亡するリスクが、黒人男性では白人男性よりも35%高く、黒人女性では白人女性よりも18%高い。アフリカ系アメリカ人62,000人が、2007年に癌で死亡すると予想されている。

またこの報告には、リスク因子、検診の実施、ならびに最も脅威となる発症部位に関する統計の詳細が述べられている。肺癌は、アフリカ系アメリカ人および白人における主要な死因であるが、アフリカ系アメリカ人男性の間でより一般的であり、アフリカ系アメリカ人女性の間でも増加している。結腸直腸癌は、白人男女よりもアフリカ系アメリカ人男女で好発し、かつより致死的となる。黒人女性では、白人女性よりも乳癌に罹患する可能性がはるかに低いが、乳癌で死亡する可能性は大きく上回る。

化学療法中の造血薬は白血病のリスクを増加させる可能性がある

化学療法による白血球減少に備えて、患者は治療中に顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)や顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)を受けることがある。コロンビア大学マイアミ公衆衛生学部の研究者が実施した試験(Journal of the National Cancer Institute (JNCI)誌に2月7日付けで掲載)によると、これらの刺激因子により急性骨髄性白血病(AML)や骨髄異形成症候群(MDS)を後発するリスクが高まる。

このコホート試験で対象としたのは、乳癌のために12ヶ月以内に化学療法を受けた65歳以上の女性5,501人であった。研究者らは、Surveillance, Epidemiology, and End Results program(SEER)からの患者カルテデータおよびメディケア・メディケイド保険サービスセンターからの請求をレトロスペクティブに検討した。

G-CSFまたはGM-CSFを受けていた女性は、これらを受けていない女性と比較して、AMLやMDSを発症する可能性が2倍であることが判明した。しかし、全発症率は低く、治療の48ヶ月以内でそれぞれ1.8%および0.7%であった。

執筆者らは、これらの因子が白血病の原因となるか否か、また回復のためにG-CSFやGM-CSFをしばしば必要とする高用量の化学療法が非難されるべきことであるか否かは明らかになっていないと述べているが、高齢者に対するリスクは考慮すべきであり、さらなる研究が必要であると指摘している。

付随の論評では、「このような試験と共にゲノム一塩基多型解析やこれに類似の方法を行って白血病の素因となる遺伝子を特定できた場合のみ、正常な造血幹細胞ドナーや補助化学療法を受けている癌患者に対するG-CSF治療を、特定の人には避けるべきであるか否か予測することが可能となるであろう」と述べられている。

ホジキン病の治療後に心臓発作で死亡するリスクが高まる

英国の研究者らによると、化学療法や放射線療法レジメンで治療を受けているホジキン病患者では心筋梗塞で死亡するリスクが高まる。この試験結果はJMCIに2月7日付けで掲載されている。

英国サットンにあるInstitute for Cancer ResearchのAnthony J. Swerdlow医師らは、患者7,033人を対象として共同コホート試験を行った。これらの対象患者は、British National Lymphoma Investigation、Royal Marsden Hospital、St. Bartholomew’s hospital、およびChristie Hospitalの臨床データベースにて1967年11月1日~2000年9月30日に登録されていた。

研究者らは、4つの治療レジメン(横隔膜上の放射線療法を併用した化学療法、横隔膜上の放射線療法を併用しない化学療法、横隔膜上の放射線療法を併用しない化学療法あるいはアントラサイクリン、アントラサイクリン非併用の放射線療法)と関連した心筋梗塞により死亡するリスクについて検討した。

心筋梗塞は、コホート内における2,424件の死亡のうち166件を占めており、この数は予想を超えるものであった。心筋梗塞と関連して死亡するリスクは、イングランドおよびウェールズの全人口での同リスクと比較して2.5倍であった。また、横隔膜上の放射線療法あるいはアントラサイクリンやビンクリスチンで治療を受けた患者で、リスクが有意に増加した。しかし、本試験で解析した治療は現在使用されていないものも含まれるため、これらの結果は、ホジキン病の治療を最近受けた患者についてのリスクを反映していないと考えられる。

付随の論評では、ロックビルにあるInternational Epidemiology Institute(国際疫学研究所)のJohn D. Boice, Jr.医師が、「この解析の興味深い一面は、非常に多くの患者が放射線療法と化学療法の異なる組合せを併用しているため、1つの薬剤を原因として絞るのが難しいことである」と記している。

第1相試験における多くの進行性癌患者がCAMを使用

新しい試験報告書によると、第1相試験に登録した進行性癌患者のうち3分の1以上が、ビタミン剤やサプリメントなど、「生物学的な」補助的代替薬(CAM:complementary and alternative medicine)を使用している。この所見について、執筆者らはCAMの使用が第1相試験の結果に影響を及ぼす可能性があると論じている。

シカゴ大学シカゴ癌研究センターのChristopher K.Daugherty医師らは、「我々の試験が初期相試験の結果の信頼性について重大な結論を導く可能性がある」と述べている。

研究者らは本試験を実施する上で、同施設の第1相試験に登録した進行性癌患者212人(第1相試験の全参加者のうち80%)と面談を行った。患者に対し、生物学的CAMを使用しているか否か質問した。これらの薬物を使用していると回答した患者72人のうち、約半数がビタミンA、C、D、Eや亜鉛などのビタミン剤やミネラルを、残りはキャッツクロー、セイヨウオトギリソウ、ムラサキバレンギクなどのハーブ製品を摂取していると報告した。

CAM使用者では、非使用者よりも年齢が若く、中央値は55歳である(非使用者では62歳)。さらに、疾患予後について悲観的な見方をしている患者ほど、CAMを使用する傾向が強くなる。

第1相試験で患者がCAMを使用していたことに関する執筆者の主な懸念は、「毒性データの信頼性に影響を与える可能性」である。例えば、「セイヨウオトギリソウやビタミンCが化学療法と重大な相互作用を引き起こし得ること」を指摘している。

執筆者らは、第1相試験への参加を考慮している患者に対して、CAM使用のことを厳密に聴取すべきであると提唱した。また、CAMを使用していることが判明した患者を、本治験薬の第1相試験から除外することを示唆した。なぜならば、CAMを使用することで、使用した本人だけでなく他の参加予定者にも未知のリスクが発生する可能性があり、信頼できない臨床データが導かれ得るためである。

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斉藤芳子 訳

林 正樹(血液・腫瘍科) 監修

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