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2007/01/03号◆癌研究ハイライト

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2007/01/03号◆癌研究ハイライト

同号原文

NCI Cancer Bulletin2007年01月03日号(Volume 4 / Number 1)
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癌研究ハイライト

低脂肪食が乳癌再発予防の一助となる可能性

術後乳癌のマネジメントの一環として食事脂肪摂取量の抑制を検証した大規模ランダム化比較試験の中間解析結果で、初期乳癌の治療後に脂肪摂取量を減らした女性では再発のリスクが低下する可能性が示された。NCIが出資したWomen’s Intervention Nutrition Study (WINS)の同研究報告は、Journal of the National Cancer Instituteの12月20日号に掲載された。

1994~2001年にWINSの研究者らは、登録時に年齢48歳~79歳の浸潤性乳癌患者2437人の参加者を集積した。試験開始時における脂肪によるカロリー摂取量は両群で同等であった。観察1年目の終了時には、食事介入群の脂肪摂取量は1日平均23g減少したのに対して,対照群では1日平均5gの減少のみであった。

この両群間の差は試験期間中を通して維持された。試験開始5年目に、介入群の女性の体重は対照群の女性に比較して平均6ポンド(約2.7キロ)少なかった。追跡期間中央値5年後の乳癌再発は、低脂肪食事療法を行った女性で9.8%、標準食では12.4%であり、低脂肪食を行った女性では再発の相対リスクは24%減少した。

著者らはこの研究にいくつかの制約があることを理解している。それは介入群の体重減少や、脂肪以外の食事因子が結果に影響を及ぼした可能性があるということである。しかし、筆頭著者であるLos Angeles生化学研究所の Dr. Rowan Chlebowski氏は、「さらなる検証は必要であるが、食事脂肪摂取量を減らすために介入を行うことにより、乳癌再発のリスクを低下させうることが本結果によって示唆された」と、プレスリリースにて述べた。

べバシズマブと、プラチナを中心とする化学療法との併用は非小細胞肺癌の予後を改善させる

米国東部腫瘍共同研究グループ(ECOG)により行われた第3相臨床試験の結果によると、非小細胞肺癌患者に対してモノクローナル抗体であるベバシズマブ[bevacizumab]をパクリタキセルやカルボプラチンの化学療法に併用することにより、全生存期間、無増悪生存期間と奏効率がそれぞれ有意に増加することが認められた。しかしながらこれらの恩恵は、治療関連死が増加するリスクによって低減する。試験結果は12月14日付けのNew England Journal of Medicine誌に掲載された。

この試験には、扁平上皮癌、脳転移、もしくは喀血や血痰症状のある患者を除く878人の再発または進行性非小細胞肺癌患者が登録された。ほぼ半数の試験参加患者はパクリタキセルとカルボプラチンの投与を3週間毎に6サイクル受け、残りの患者は同じ化学療法に加えてベバシズマブの投与を3週間毎に、腫瘍の増殖もしくは耐え難い副作用が現れるまで受けた。

治療前の血管内皮増殖因子のレベルに関係なく、結果は、化学療法+ベバシズマブを投与された患者群の全生存期間の中央値は12.3カ月であったのに対して、化学療法のみの患者群は10.3カ月であった。また、ベバシズマブ投与群の35%の患者に治療に奏効が認められたのに対し、対照群では15%であった。これらの結果により、非小細胞肺癌患者に対する治療方針が変更されると予想される。

著者らは、発熱性好中球減少症、肺出血や毒性といった副作用のリスクと、非小細胞肺癌の化学療法にベバシズマブを併用することによりもたらされる利益と比較検討するべきであると述べている。

癌におけるウイルスの影響は考えられていたよりも大きいことが研究によって示唆された

通常のウイルス感染が癌において果たす役割は、これまで考えられていたよりも大きいことが、新たな研究によって示唆された。ほぼ29,000例の地域住民を対象としたオーストラリアのコホート試験によって、腎移植後に25の異なる癌のリスクが有意に上昇し、このうち18の部位の癌ではリスクが3倍を上回っていることが明らかになった。

本研究の著者らは腎移植を行うための免疫抑制がこの危険性の増大に関与しており、癌の発生における一般的なウィルス感染の幅広い役割を示していることを述べた。

Journal of the American Medical Association誌の12月19日号で発表された本試験は、1982~2003年のオーストラリアの透析・移植患者に登録されている終末期腎疾患(ESKD)患者を対象としている。患者の癌の頻度を以下の3つの時期、すなわち、腎移植に関連する治療開始前5年間、透析開始から最初の移植まで、最初の移植施行日以降に分けて評価した。

移植後のリスク増大に加えて、透析中では9つの癌の頻度が有意に増加し、さらにそのうち7つの癌ではそのリスクは2倍を上回っていた。

3つの異なる時期の分析から、著者らは「既にある癌危険因子や、最初の腎疾患、ESKD、透析に関与する因子は、移植後の危険度を増大させる主な寄与因子として除外しうる」と述べている。

ゾレドロン酸がアロマターゼ阻害薬によって誘発される骨量減少を抑制する

Journal of Clinical Oncology誌オンライン版で12月11日に発表された2件のランダム化比較試験の予備的な結果報告によると、ホルモン受容体陽性乳癌を切除後にアロマターゼ阻害薬を服用している閉経前・閉経後の女性ではゾレドロン酸は治療誘発性骨量減少が予防しうることを示している。

本試験は、初期のホルモン受容体陽性乳癌切除後に、アロマターゼ阻害薬あるいはタモキシフェンならびにゴセレリンによってホルモン抑制を行う閉経前女性に対して、ゾレドロン酸が治療誘発性の骨量減少を抑制するかを検証した最初の試験である。試験開始時ならびに開始後6、12、36カ月に、腰椎と大腿骨上部の骨密度計測を全例で行った。

治療開始36カ月後、ゾレドロン酸投与を行わずにアナストロゾールを投与した患者の腰椎の骨量減少は17.4%、大腿骨では11.3%であった。アナストロゾールに加えてゾレドロン酸を投与した患者の骨密度は安定が保たれていた。アナストロゾールにゾレドロン酸を追加した患者では、腰椎で骨粗しょう症が生じたものはなかったが、骨減少症は、試験開始時の測定結果に比較して15%増加した。

2件目の試験では、ホルモン受容体陽性の浸潤性乳癌を切除後にアロマターゼ阻害薬レトロゾールを服用する閉経後女性に対するゾレドロン酸投与が骨密度の低下を予防するかを検証している。進行中の本試験では、全女性にレトロゾールを5年間あるいは癌再発まで投与する予定である。参加者は、ゾレドロン酸を試験開始時から6カ月ごとに静注投与する群と、骨量減少が一定の値になった時点、または非外傷性骨折がみられた時点からゾレドロン酸6カ月毎、静注投与を開始する群とにすでに無作為割付けがなされた。

試験開始時と6、12カ月後に、二重エネルギーX線吸収法で全例の骨密度を測定した。腰椎と股関節の骨量減少率の変化をゾレドロン酸先行投与群と遅延投与群で比較したところ、治療開始12カ月後の両群間の骨密度の平均差は腰椎4.4%、股関節3.3%であり、先行投与群のほうが骨密度が保持されていた。

米国国立癌研究所(NCI)の研究者らは癌治療の免疫毒素を改良

米国国立癌研究所の研究者らは、ヒトでの有効性を向上するかもしれないシュードモナス菌から作られた免疫毒素(PE38)の遺伝子的に修正したバージョンを開発した。Journal of Immunology誌の12月15日号に掲載された研究結果によると、PE38を元にした免疫療法は、既に、あるタイプの白血病や悪性リンパ腫の治療に用いられており、この新しい免疫毒素はより多くの癌に免疫療法への道を開くかもしれない。

米国国立癌研究所の癌研究センターの分子生物学研究室のIra Pastan 医師と彼のグループは、遺伝子組み換えDNA技術を用いて、シュードモナス菌の外毒素A(PE38)の 38kDa断片をいくつかの異なるマウス抗体の一部分と合成させることで免疫毒素を作っていた。PE38による免疫療法を選択した患者が抱える問題の一つは、患者自身の免疫システムがこの治療の邪魔をすることである。マウスを使って、PE38がどのようにして患者の中和抗体の生産を誘発するかを調べたところ、PE38の免疫を与えられたマウスは、60の異なるタイプの反応抗体を生産した。研究者らは、これらの60の抗体はPE38のわずか7領域だけに向けられていることを発見した。その7領域とは患者の免疫反応を誘発した変異部位であった。

次にマウスの中和抗体反応の引き金となるこれら7領域の特定のアミノ酸を識別するためにマウス抗体を使い、この情報をもとにして、抗体には反応せず動物の癌細胞を殺す7つの変異免疫毒素が作られた。これら7つの変異免疫毒素を、免疫治療中マウスの免疫システムへの反応をより低下させるとみられる単一の免疫毒素分子に組み入れる研究が進められている。

腫瘍とその微小環境とのクロストークは癌の増殖を表す

細胞死を促進するタンパク質CLIC4の発現は、ヒト癌細胞中では減少しているが、腫瘍の微小環境での正常な結合組織または間質においては増加することがNCI研究者による新しい研究で明らかになった。Clinical Cancer Research誌1月1日号に発表された研究では、Stuart Yuspa医師ら(NCIのCCR誌で)は、組織配列解析を用いて、患者から採取した正常細胞および腫瘍組織のCLIC4タンパクの値を比較した。テストしたすべての主要な癌種のうち、約80%の腫瘍細胞で、CLIC4が細胞核では欠損、および腫瘍組織では減少していたが、その組織周辺の間質では増加していた。また、CLIC4値が腫瘍で減少、および間質においての増加は、腫瘍の進行および病勢の重症度と相関関係がみられた。

「遺伝子研究はいまだ着手されていないため、何が原因で腫瘍細胞がCLIC4タンパクの産生を不活性化するのかは現時点では不明である。おそらく、さらに詳しい情報が得られれば、腫瘍と間質におけるCLIC4を標的とした方法は、腫瘍増殖を抑制するための新たな手段となるだろう。」と、Yuspa医師は語る。

また、Yuspa医師とそのグループは、マウスの実験で、間質におけるCLIC4タンパク値の増加は、間質線維芽細胞から筋線維芽細胞への変換と同時に起こることも発見した。この転換は、細胞構造と運動の役割を担う第2のタンパクであるα-smooth muscle actin(αSMA)値の増加と関連づけられる。実験によると、筋線維芽細胞は、新生血管の発達を促進する酵素を分泌することによって腫瘍の増殖に寄与している。

研究グループによる実験では、腫瘍細胞がその周囲の線維芽細胞とともに小さなコロニーを形成するといった方法で、線維芽細胞をヒト腫瘍細胞とともに増殖させると、腫瘍の周囲の線維芽細胞は即座にCLIC4 とαSMAの両タンパクの産生量が増加するが、腫瘍細胞から離れたところにある線維芽細胞では増加しなかった。

彼らの説明によると、この観測は腫瘍細胞が何らかの方法で、微小環境にある線維芽細胞を刺激し、これら2つのタンパク質を増加させることを示しており、腫瘍の増殖にとって、腫瘍と正常な組織とのクロストークは不可欠なものであることを示唆している。

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Okura、Nogawa、野中 希 訳

瀬戸山 修(薬学) 監修

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