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癌の薬剤が致命的な脳腫瘍患者の生存期間を延長/デューク大学医療センター

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癌の薬剤が致命的な脳腫瘍患者の生存期間を延長/デューク大学医療センター

原文
癌の薬剤が致命的な脳腫瘍患者の生存期間を延長
デューク大学医療センター*
2007年2月20日

ノースカロライナ州DURHAM-腫瘍の血液供給を遮断することで癌の腫瘍を縮小する比較的新しい型の薬剤であるアバスチンは、もっとも一般的で致命的な型の脳腫瘍の増殖を遅延する可能があると、デューク大学医学センターのパイロットスタデイで明らかになった。

この試験は、アバスチンが脳腫瘍に対して有効性を検討された初めてのものであると研究者は語った。一般名ベバシズマブと呼ばれる薬剤は、現在、肺癌や結腸直腸癌の治療に使われている。

研究者は、再発性グリオーマ脳腫瘍患者で標準的な化学療法薬剤と併用したアバスチンの有効性を試験した。二つの薬剤を併用することにより比較対照となる療法より2倍長く腫瘍の増殖を阻止することが認められた。グリオーマはほとんどすべての症例で治癒不能であったが、薬剤併用療法は、この厳しい診断に直面する患者にとって貴重な生存時間を獲得し、身体、精神機能をより長く保持できるかもしれない、と研究者は述べた。

「これらの結果は素晴らしいです。なぜなら現在では、もっとも予後不良と考えられる患者や、初期治療後に再発した悪性脳腫瘍の患者の治療選択肢に加えることができる可能性を意味するからです」とデューク大学のPreston Robert Tisch脳腫瘍センターの脳腫瘍専門家のでありこの試験の責任者であるJames Vredenburgh医師は述べた。

試験結果はClinical Cancer Research誌2007年2月20号に掲載される予定である。この試験は米国国立衛生研究所、the Preston Robert Tsch脳腫瘍研究基金、the Bryan Cless研究基金そしてアバスチンの製造元であるジェネンテック社により資金提供された。

デューク大学は近年この初期の試験結果を確認するために大規模な多施設試験に参加しているとVredenburgh氏は語った。

脳腫瘍の治癒を促進するための研究を支持している非営利組織であるAccelerate Brain Cancer Cureの会長兼CEOであるKate Carr氏は「この初期試験の結果はとても有望で私たちはより大きな試験の結果を得ることを期待しています。そして、それが脳腫瘍患者の承認された治療になることを望んでいます」と語った。

このパイロットスタデイで、研究者は、アバスチンと化学療法薬剤イリノテカンの2剤療法が、比較対照した療法に比べ、すべての症例において腫瘍が縮小し、腫瘍増殖の抑制期間が3ヶ月延長したことがわかった。3ヶ月はこれらの悪性の腫瘍においては大きな前進であるとVredenburgh氏は述べた。最近の一般的な治療では腫瘍が増殖し広がる前に、わずか6~12週間しか腫瘍の増殖を阻止できないのが通常で最終的に認知、身体機能を壊して死に至る。

米国では約18,000人が毎年グリオーマと診断され、中枢神経組織のもっとも一般的で、致命的な悪性度の高い腫瘍である。グリオーマは急速に増殖し、脳の周辺にある薬剤など血流にある物質を脳や脊髄に到達することを防ぐ自然に備わった防御層である脳血管関門の裏側に発生するので治療が困難である。

最も進行が早いと考えられる、ステージ4のグリオーマと診断された後の平均余命は8~15ヶ月であるとVredenburgh氏は述べた。やや進行が遅いステージ3のグリオーマと診断された患者では平均16~24ヶ月生存する。通常手術や化学療法、放射線などの初期治療を受けた後,腫瘍が再発した場合、予後はさらに深刻で平均余命は3~9ヶ月である。

「腫瘍が治療後に再発したとき、標準治療はありません」とVredenburgh氏は述べた。「この試験が以前はなかった治療の選択肢をもたらすかもしれません。」

これらの腫瘍は高濃度の血管内皮増殖因子を有しているため、アバスチンはグリオーマの治療に有効かもしれない。血管内皮増殖因子は血管新生として知られるプロセスで新しい血管の形成を刺激するタンパク質である。新しい血管は腫瘍の増殖と転移の能力を助長する。そのため、研究者は腫瘍増殖を遅延させるような血管新生を遮断することに関心を持っている。アバスチンは血管を増産させる血液供給を遮断することで(抗腫瘍的に)作用する血管新生阻害剤である。

「これらの腫瘍をたいへん致命的なものにしていることが、実際にはこの有望な新療法にも感受性が高いことにつながっているのかもしれません」とVredenburgh氏は語った。

この試験に参加した32人の患者はステージ3かステージ4の再発グリオーマと診断された。患者の63%は試験開始12週で50%以上腫瘍の縮小が見られた。38%は6ヶ月後に無再発であり、それらの腫瘍は増殖しなかったことを意味する、とVredenburgh氏は述べた。

「前進することで新たに診断された患者にもこの治療の効果が探求できるでしょう」と彼は述べた。「私たちの最終的な願いは、極めて限定された治療法しかない非常に手強い癌の治療のために本当の武器を提供することです」

この試験に参加した他の研究者は以下である。
Annick Desjardins, James Herndon, Jeannette Dowell, David Reardon, Jennifer Quinn, Jeremy Rich, Sith Sathornsumetee, Sridharan Gururangan, Melissa Wagner, Darell Bigner, Allan Friedman, Henry Friedman.

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(内村美里人 訳・瀬戸山修(薬学) 監修)

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