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2008/06/10号◆特集記事「大腸癌治療薬には患者の選択を慎重に行うべき」

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2008/06/10号◆特集記事「大腸癌治療薬には患者の選択を慎重に行うべき」

同号原文

NCI Cancer Bulletin2008年06月10日号(Volume 5 / Number 12)

~日経「癌Experts」にもPDF掲載中~

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特集記事

大腸癌治療薬には患者の選択を慎重に行うべき

KRAS遺伝子変異型が発現している進行結腸直腸癌患者は、化学療法にセツキシマブ(アービタックス)を併用した治療を受けるべきではない。なぜなら、このタイプの患者はこれによる治療効果が得られないとみられ、余分な副作用や費用が発生するためであると、シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO)の年次総会で発表された。

総会で発表された知見を含め、増加する一連のエビデンスに基づき、複数の専門家は進行結腸直腸癌患者がセツキシマブや類似の治療薬パニツムマブ[panitsumumab](ベクチビックス[Vectibix])による治療開始前に、結腸直腸腫瘍全てのKRAS遺伝子変異型の発現状態を検査することが標準になると予測した。

「私は、これらの薬剤の使用を検討している患者全員にこの検査をすることは当然であると思っています」と、この研究には関与をしていないがASCOで討論に参加したコロラド大学デンバー校のDr. Gail Eckhardt氏は語った。「KRAS変異型を発現している患者は、セツキシマブやパニツムマブの治療を[一律に]受けるべきではありません」。

これらの薬剤は、結腸直腸癌でしばしば過剰発現する上皮細胞成長因子受容体(EGFR)タンパクの活動をブロックするように創薬されている。

結腸直腸腫瘍の30~40%にKRAS変異型が発現していると推定され、これは商用試験によって判定できる。スクリーニングは、乳癌患者がトラツスマブ(ハーセプチン)の投与前に彼女らの腫瘍の遺伝子特性を検査する乳癌モデルを基にして進めることが出来た。

「KRASは、転移結腸直腸癌の第1選択の化学療法と併用する分子標的薬関連の初めての分子マーカーです」と、ベルギーのルーヴェンにあるガストゥイスベルク大学病院のDr. Eric Van Cutsem氏は総会で述べた。「事前にKRAS変異型をもつ患者であることが判明した場合、私たちはその患者に対してこれらの薬剤による治療は行いません。」

彼はCRYSTAL試験の最新結果を示した。この試験の昨年の解析では、転移結腸直腸癌患者の中には無増悪生存に関してセツキシマブを併用した化学療法に効果があったことが示されていた。しかし、一部の患者にしか効果がなかったことと、KRAS遺伝子への関心が高まったことで、研究者らは、この試験に参加した約1,200人中587人の腫瘍組織を調査した。

解析結果は、野生型KRAS遺伝子を発現している患者のみに効果があったという特筆すべきものであった。最も重要と思えることは、おそらく、OPUS試験やEVEREST試験を含む他の臨床試験による知見がCRYSTAL試験の結果を支持していることである。KRAS遺伝子の発現状態と治療結果に関するレトロスペクティブな解析は、異なるランダム化試験に参加した進行結腸直腸癌1,200人で行われた。

「様々な臨床試験を解析した結果、私たちは、KRAS変異型の発現は、化学療法にセツキシマブを併用したり、パニツムマブを単剤として投与した場合にネガティブ予測因子となるという十分なエビデンスを持っています」と、この研究に関与していないNCIの癌治療評価プログラムのDr. Margaret Mooney氏は語った。総会に先立って、ヨーロッパの規制当局は、KRAS野生型を発現している結腸直腸癌患者の一次治療として、化学療法にセツキシマブを併用することを認可した。パニツムマブはヨーロッパでは進行結腸直腸癌患者の治療に認可されているが、これもやはりKRAS野生型発現患者のみである。

このマーカーを実証するために、プロスペクティブ研究が必要となっている。CRYSTAL試験のような臨床試験はセツキシマブとKRASの関係についての疑問に回答出来るようにデザインされてはおらず、また、研究者らは試験の全患者の腫瘍組織をもっていない。これらの患者から新薬開発に有意義な情報がもたらされるであろう。

Eckhardt氏は、KRAS変異型を発現している患者に現在の化学療法レジメンが有効であるという情報を伝える事が重要であると強調した。彼女は、「幸いにも」、これは、「結腸直腸癌患者にとって、個人に合わせたオーダーメイド治療時代の幕開けにすぎません」と付け加えた。

—Edward R Winstead

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Nogawa 訳
鵜川邦夫(消化器内科)監修

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