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転移性大腸患者のアバスチンベースの化学療法へのアービタックス®追加投与は有害

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転移性大腸患者のアバスチンベースの化学療法へのアービタックス®追加投与は有害

キャンサーコンサルタンツ
2009年2月

アバスチン®(ベバシズマブ)、ゼローダ®(カペシタビン)、エロキサチン®(オキサリプラチン)を用いる現行のレジメンにアービタックス® (セツキシマブ)を追加することは、転移性結腸直腸癌患者の無増悪生存期間を短縮し、QOLを低下させると報告した。この研究の詳細はthe New England Journal of Medicine誌2009年2月5日号に掲載された。

 

アバスチンは、血管内皮成長増殖因子(VEGF)に対する組換え型ヒト化モノクローナル抗体である。VEGFは腫瘍の血管新生に重要な役割を果たしており、この活性阻害には抗腫瘍効果があるとみられている。経口ゼローダ、エロキサチン(オキサリプラチン)およびアバスチンは、転移性結腸直腸癌患者の治療として確立されたレジメンである。ランダム化研究により、アバスチンを結腸直腸癌の化学療法であるゼローダとEloxatin、あるいは5-FUをベースとする治療に追加することの有効性はすでに実証されている 。

 

キメラ型モノクローナル抗体であるア-ビタックスは、上皮増殖因子受容体(EGFR)の細胞外ドメインと結合する。アービタックスは、過去にイリノテカン(Camptosar®/※日本ではカンプトまたはトポテシン)ベースの治療が奏効しなかったEGFRを発現する転移性結腸直腸癌患者に対するイリノテカンとの併用薬剤として、また、イリノテカンベースの治療に適応でない、EGFRを発現する局所進行性および転移性結腸直腸癌患者治療に単剤で承認されている。アービタックスとベストサポーティブケアを比較対照とするランダム化研究を行った研究者らは、K-RAS遺伝子に変異を有する局所進行性あるいは転移性結腸直腸癌患者 では、アービタックス単剤からの有益性を得られないと報告している。

 

最近、複数の癌治療において、異なる作用機序をもつ標的薬剤の併用療法が着目されている。これらの研究のうちのいくつかは、標的薬剤の併用療法が有効であるとする一方で、別の併用療法は有効ではないことを示している。

 

本研究では、755人の未治療結腸直腸癌患者にアバスチン、ゼローダ、オキサリプラチンの治療を実施、アービタックス追加の有無を無作為に割り当てた。無増悪生存期間の中央値は、アバスチン、ゼローダ、オキサリプラチンでの治療を受けた患者は10.7カ月であったのに対し、同じ治療にアービタックスを追加した患者は9.4カ月であった。全生存については2グループの間に違いはみられなかったが、アービタックスの追加を受けた患者には毒性がより強くみられた。この研究により、K-RAS遺伝子に変異を有する患者がアービタックス投与を受けた場合の無増悪生存期間は野性型(変異がない)K-RAS遺伝子の腫瘍を持つ患者より不良であることが確認された。アービタックス投与を受けたK-RAS遺伝子に変異を有する患者の無増悪生存期間は、アービタックス追加投与を行わないアバスチン、ゼローダ、オキサリプラチンでの治療を受けた、K-RAS遺伝子に変異を有する患者より不良であった。

 

コメント:

これらの結果は、アバスチンベースのレジメンにアービタックスを追加することは、結腸直腸癌患者の転帰を改善しないことを示している。この事は、標的薬剤の併用療法は既存化学療法でみられるよりも毒性が少なくしかも単剤での標的薬剤治療より効果的であるかもしれないという考えにとって、ひとつの後退である。

 

参考文献:
Tol J, Koopman M, Cats A, et al. Chemotherapy, bevacizumab, and cetuximab in metastatic colorectal cancer. New England Journal of Medicine. 2009;360:563-572.
日本語訳(PubMed抄録:転移性結腸直腸癌における化学療法、ベバシズマブ、そしてセツキシマブ)

 


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翻訳大隅 郁子

監修鵜川 邦夫(消化器内科)

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