ジェムザールとシスプラチンにアバスチンを追加投与することにより非小細胞肺癌の転帰を改善する

キャンサーコンサルタンツ
2009年3月

ジェムザール(ゲムシタビン)とplatinol(シスプラチン)にアバスチン(ベバシズマブ)を追加投与することで、非小細胞肺癌(NSCLC)患者の無増悪生存期間(PFS)および奏効率を改善することが、AVAIL試験に参加した研究者らにより報告された。本無作為化試験については、Journal of Clinical Oncology誌2009年3月10日号[1]に報告されている。

米国において、肺癌は癌関連死の主要な原因であり、乳癌、結腸癌、前立腺癌による死亡数を合計した以上の死亡者を出している。進行非小細胞肺癌に対する化学療法は治療の支柱であり続けている。しかし、進行期非小細胞肺癌患者の長期転帰は不良のままである。アバスチンは、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)を標的としたヒト化モノクローナル抗体である。アバスチンは、最新の研究に基づき、非小細胞肺癌患者に対する重要な治療法として近年承認された薬剤である。タキソールヌ$(パクリタキセル)とパラプラチンヌ$(カルボプラチン)にアバスチンを追加投与することで、進行非小細胞肺癌患者の生存率を改善することが、ECOG共同研究グループに参加する研究者らにより報告された。

AVAIL試験においては、非扁平上皮性の進行非小細胞肺癌(NSCLC)患者に、ジェムザール+シスプラチンのレジメンに対するアバスチン7.5mg/kgまたは15mg/kgの追加投与を評価した。本試験の登録患者は1,000人以上であった。以下に本試験の主な知見を要約した図を示す。

図1:非小細胞肺癌に対する低用量アバスチン、高用量アバスチン、プラセボ

 低用量アバスチン高用量アバスチンプラセボ
患者数345351347
PFS中央値6.7ヶ月6.5ヶ月6.1ヶ月
奏効率34.1%30.4%20.1%

アバスチンを追加投与した患者の無増悪生存期間は、標準化学療法単独による治療を受けた群に対し、22%の改善が認められた。アバスチン使用群において、未知の副作用の報告はなかった。有効性または毒性については、アバスチン用量の違いによる有意差はないと考えられる。著者らは、全生存率における相違を確定するには追跡期間が不十分であったと述べた。

コメント:

上記のデータより、標準化学療法にアバスチンを追加投与した場合、非扁平上皮性非小細胞肺癌患者の転帰を改善することが確認された。

参考文献:
[1] Reck M, von Pawel J, Zatloukal P, et al. Phase III trial of cisplatin plus gemcitabine with either placebo or bevacizumab as first-line therapy for nonsquamous non-small-cell lung cancer: AVAIL. Journal of Clinical Oncology. 2009;27:1227-1234.


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翻訳担当者 近江屋芽衣子

監修 小宮武文

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