骨粗鬆症と骨生理学サイト ビスフォスフォネート剤/ワシントン大学

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Osteoporosis and Bone Physiology(骨粗鬆症と骨生理学)より
Thanks to ワシントン大学医学部準教授Susan Ott医師
Site maintained by
Susan Ott, MD
Associate Professor
Department of Medicine
University of Washington
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最終更新:2005年10月10日
ビスフォスフォネート剤 Bisphosphonates

エチドロネートetidronate(Didronel), パミドロネートpamidronate(アレディアAredia), アレンドロネートalendronate(Fosamax), リセドロネートrisedronate(Actonel), ゾレドロネートzoledronate(ゾメタZometa), イバンドロネートibandronate(Boniva)

ビスフォスフォネート剤は非常に強力で、骨生理学に劇的な変化をもたらすことは敬意に価します。骨折のリスクの高い患者には、骨折の発症を減少させ、生活の質を向上させます。医学的および公的な宣伝が大々的に行われ、骨粗鬆症が広く認知されるようになりました。それはよいことですが、本当に必要でない人々にまでこの薬の使用されるようになりました。この薬の骨形成の抑制への長期的影響はまだわかっていません。

NEW! Schousboe の報告によると、アレンドロネート(Fosamax)は、骨粗鬆症による骨折がすでに起こった骨減少症の女性には費用効率が優れていないことが判明しました。

適応

脊髄圧迫骨折を発症した閉経後女性

腰の総骨密度Tスコアが-2.5以下

非外傷性骨折を発症した高齢男性

副腎皮質ステロイドによる2次的骨粗鬆症の患者

ページェット病

癌の骨転移

その他の骨吸収の高い骨の病気

禁忌

妊娠中または妊娠の計画がある女性

腎機能不全

血中カルシウムが低い

骨軟化症

経口ビスフォスフォネート剤は以下の場合服用してはいけません

重篤な食道の疾病がある

1時間体を起こしていられない絶対安静の患者

注意して投与

白血球値が異常な患者

PTHが高い患者

小児(長期的安全データがない)


副作用
すべてのビスフォスフォネート低カルシウム血症
PTH上昇
発疹
経口剤上部消化管炎症
食道潰瘍
静注剤発熱
一過性白血球減少症
急性期反応
骨痛
眼性炎症
ネフローゼ症候群
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エチドロネート(Didronel)骨軟化症
高リン血症
生理的影響

*骨吸収減少

*70~95%骨形成減少

*石灰化濃度の増加

*骨量のわずかな増加

*最初の5年間は骨の強度が増加

*最初の5年間はプラセボと比べて骨折率が減少

*骨での半減期が10年以上

*動物実験で微小損傷が増加

*骨への長期的影響は不明

*骨粗鬆症の投与量


骨粗鬆症の投与量

このグラフは大規模ランダム化試験の結果を示しています。高容量でDEXA測定結果は上昇したものの、低用量の骨折率は高用量の骨折率と有意な差はありませんでした。リセドロネートの試験では、70~79才の5445人の女性において、2.5mg/dの用量で股関節部の骨折関連のリスク減少は統計的に有意でしたが(CI 0.3 to 0.9)、5mg/dの用量では統計的有意ではありませんでした(CI 0.4 to 1.1)。しかしながら、製造元は、高用量での販売を決定しました。

アレンドロネート(Fosamax)のFIT試験では、5mg/日の投与量で2年後の骨折は有意に減少しました。2年後に投与量は10mg/日となりましたが、この試験計画では実際の用量比較は不可能になりました。

引き続いての試験では、毎週投与は毎日の投与と同等に有効であることが示されました。ほとんどの患者がこのアプローチを好むため、私は普段この方法を用います。

このように、アレンドロネートとリセドロネートの現在あるエビデンス、大変大規模なランダム化臨床試験によると、この試験された投与量における骨折率に有意差はないと示唆されています。

骨粗鬆症の投与量
アレンドロネート週1回35mg(これが予防のために承認された投与量で、治療の正式な投与量は1週間70mgです)
リセドロネート15mgで骨折頻度を減少させるが承認された投与量は35mg/週
リセドロネート15mgで骨折頻度を減少させるが承認された投与量は35mg/週
イバンドロネート150mg/月(新承認)

カルシウム値9以上、クレアチニン、白血球値、ビタミンDが正常値という特例においてパミドロネート6ヶ月毎30~60mg
これは、承認されておらず、骨粗鬆症専門医によってのみ投与されるべきです。

ゾレドロン酸: 私はこれを骨代謝異常に使用しません。さらなるデータが発表されるまでは、癌患者または臨床試験内でのみ使用されるべきです。

服用法

重要!! これらの薬は吸収されにくく、胃の中の食物によってさらに吸収量が減少します。それらはまた食道のびらんを引き起こしますから、6オンス(*約170cc)以上の水で流し込んでください。新しい薬にては十分には研究されていませんが、エチドロネート服用後のカルシウム剤は効果を弱めますから、私は薬の服用後4時間以上はカルシウム剤を与えません。

*   胃に食物が入っていない状態で
*   お茶、コーヒー、チョコレートミルクと一緒に服用しない
*   適量の水といっしょに(6オンス(約170cc)以上)
*   就寝前は避ける

アレンドロネート、リセドロネートの患者向け指示書を参照ください。



短期エビデンス(3-5年)

アレンドロネート

骨折治療臨床試験は腰骨の骨密度が0.68g/cm2(Tスコアおよそ-2)以下の55歳から79歳の6000人の閉経後女性を被験者に行われました。2つの群に分けられました。2000人の女性がすでに脊髄圧迫骨折を起こしており、4000人は起こしていませんでした。骨折した女性はアレンドロネートを3年間服用し、他の女性は4.2年服用しました。服用量は最初の2年間は5mg/日、その後は10mg/日でした。アレンドロネート群は、背骨で8%、腰骨で5%、骨密度が上昇しました。

骨折治療試験の結果の要約:被験者が骨折をしたかどうかにかかわらず、投薬を受けた女性の90%以上で骨密度は増加しました。新たな骨折の発症がベースライン(初めの値)での骨折の有無とどのように関連づけられるかを見てください。ベースラインで骨折がなかった女性は、わずかではあるが脊髄骨折数の減少が有意でしたが臨床的な骨折数は有意な減少はみられませんでした。すでに骨折がみられた(骨粗鬆症を発症していた)女性では、骨折の減少は統計学的有意で、臨床的に重要でした。

リセドロネート

最も大きなリセドロネートの試験は9331人の被験者で施行されました。5445人が70-79才で、Tスコアが-3以下、3886人はTスコアと臨床的危険因子の低い80才以上の患者でした。80才以上の患者の31%でBMDが施されました。グラフは、腰骨の骨折率を示しています。

時間経過後の腰骨骨折の発症率がグラフに示されています。論文にあるように、両グループを同じスケールにすることで調整されています。高齢になるほど骨折が増えていますが、リセドロネートの利点は統計学的に有意ではありません。

data from McClung, M. R.(2001). Effect of risedronate on the risk of hip fracture in elderly women. Hip Intervention Program Study Group. N Engl J Med 344: 333-40.


高齢者での使用

Fracture Intervention Trial(骨折治療試験)で、75-80才の骨粗鬆症を発症した女性において、55-75才の女性と変わらない骨密度の改善や骨折の減少がみられました。アレンドロネートの臨床試験のほとんどが80才以上の女性を登録していません。アレンドロネートの臨床試験では1つだけ85才までの女性が含まれましたが、年齢の中央値は71才でしたので、ほとんどの女性が80才未満でした。骨折率を出すには十分な人数ではありませんでした。5mgの投与で、脊髄の骨密度が6%、大腿骨の転子が4%改善されました。上


記のリセドロネートの試験は、骨密度測定で骨粗鬆症であった941人の女性のあいだでも、80才以上の女性に骨折への利点は示せませんでした。おそらくこれは、不適切な検出力によって否定的結果となった、運が悪かっただけの結果でしょう。高齢の女性では、他の要因(骨の質や転倒など)のほうが比較的重要であるので、メリットのある薬の効果を判定するのはさらに難しくなります。一部の女性は、80才までにかなりの骨量を失ってしまっているので、骨の強度が改善したにもかかわらず骨折がみられるのでしょう。また、造骨細胞が不十分なためにすでに骨形成率が低いことが原因で、80才以上の女性にビスフォスフォネート剤があまり効かないという可能性もあります。

ビスフォスフォネート剤は腎臓から排泄されるため、腎不全の患者には勧められません。高齢者で、筋肉量の少ない痩せた女性は、見せかけの正常クレアチニン値であることもあるので、ビスフォスフォネートを処方する際は、このことも考慮しなければなりません。また、高齢者では日光に当たった後ビタミンDに変換する皮膚の機能が弱いため、ビスフォスフォネート治療を始める前にビタミンD値も確認しておかなければなりません。


若い患者への使用

閉経前の女性には、骨粗鬆症にビスフォスフォネートは認可されておらず、長期高用量ステロイドの使用や臓器移植、線維性骨異形成、転移癌などの状況では用いられます。それらは好奇心でDEXA(二重エネルギーX線吸収測定法を受けて、骨減少症とわかった女性に用いるべきではありません。胎児と母体の骨とカルシウム代謝に異常をきたすことが動物実験でわかっており、妊婦や、骨にビスフォスフォネートが残留している状態での妊娠するかもしれない女性にこの薬剤を試験的に投与することは倫理に反しています。


閉経をむかえたばかりの女性

下のグラフは閉経後間もない女性の骨密度への効果を示しています。アレンドロネート5mg/日投与はプラセボに比べると骨密度を増加させますが、エストロゲン+ノルエチンドロンやエストロゲン+メドロキシプロゲステロンほど効果はありません。これらの結果はEPIC試験(Ravn)のデータによるものです。この試験では骨折はほとんどなく、骨折率の有意な差は認められませんでした。


長期的影響

以下のグラフはFracture Intervention Trial(骨折介入試験)で女性1099人において5年間アレンドロネートを投与、その後アレンドロネートまたはプラセボを5年間投与して骨密度の変化を示したものです。

両グループで投薬中止後3年間骨吸収の生化学マーカーは抑えられたままでした。アレンドロネート中止した女性は、あとの5年間で骨密度が低下したにもかかわらず骨折の数は、薬を投与し続けた女性と基本的に変わりがありませんでした。アレンドロネートグループでは、‘臨床上’の脊髄骨折(主治医によって診断された)はより少なかったのですが、X線で測定したところ、‘形態計測’による骨折には差はありませんでした。

われわれは、薬が新たな骨折を減らすのでなければ使用を勧めることはしませんから、アレンドロネートは5年で中止するのが論理的結論でしょう。

H.Bone氏による10年間のスタディからの別のグラフを見たい場合はこちら

骨形成率をブロックする長期的影響はわかっていません。高用量を投与した動物に見られたように、微小のひび割れが集積するかもしれません。

NEW 人と同じ量を犬に投与した場合でも微小ひび割れがみられました。

石灰化が進むと骨の屈強さが減少し、骨は脆くなることがあります。人において有害な影響が現れるまでには長い時間がかかるでしょうし、起こらないのかもしれません。これらの長期的影響を研究し続けることが重要です。

Odvina.CV氏による報告では、アレンドロネートを3-8年投与した9人の患者において、骨形成率がとても低く尋常でない骨折があり、そのうちの多くは、正常に治癒しませんでした。これらの症例で、アレンドロネートは骨折を発症するという証明にはなりませんが、この薬による有害な長期的影響の可能性を示唆するものかもしれません。このサイトをご覧になった方はそれに伴う論評(Ott.SM)の議論がおわかりになるでしょう。

エチドロネートと他のビスフォスフォネート剤原文
ビスフォスフォネート剤の骨への影響原文

REFERENCES


(野中希 訳・林 正樹(血液・腫瘍科) 監修 )
(グラフ作成:ウルフ)

サイト内関連リンク
[siteurl=modules/cancer_reference/index.php?page=article&storyid=307]No154ビスフォスフォネート剤2イバンドロネート[/siteurl]

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