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進行ALK陽性肺がんへの初回治療としてロルラチニブはクリゾチニブより優れている

ロルラチニブは、進行ALK陽性非小細胞肺がん(NSCLC)患者の初回治療薬としてクリゾチニブよりも無増悪生存期間が長く、脳腫瘍に対してより効果的であることが、ファイザー社の抗がん剤2剤比較試験の結果から明らかとなった。

ロルラチニブによる治療では、クリゾチニブによる治療と比較して、12カ月無増悪生存率が78%対39%とちょうど2倍になった(P<0.001)。肺の腫瘍が脳に転移していた患者のうち、頭蓋内奏効を示した割合がロルラチニブでは82%であったのに対し、クリゾチニブでは23%であった。

ロルラチニブを難治性疾患の初回治療薬とするべきかどうかを検証するために計画されたランダム化CROWN試験の研究者らは、「ロルラチニブを投与された患者の71%が頭蓋内完全奏効を示した」と報告した。

この薬は血液脳関門を通過するように特異的に設計されている。

「最も強力かつ脳透過性の高いこの治療薬を使えば、奏効期間や増悪までの期間に大きなインパクトを与えることが可能になる」と筆頭著者のAlice Shaw医師はReuters Healthに電話で語った。「このタイプの肺がんは脳への転移が非常に起こりやすいが、(ロルラチニブを投与することで)脳を保護することにもなる」。

副作用のためにロルラチニブによる治療を中止した患者はわずか7%で、これはクリゾチニブ治療の患者での割合よりも2%低い。

「このデータから、ロルラチニブは、初期世代の薬剤と比較してより大きな影響力があると言える」とShaw氏は述べた。同氏は、ボストンにあるマサチューセッツ総合病院胸部がんセンターの前所長であり、現在はノバルティス生物医学研究所のトランスレーショナル・クリニカル・オンコロジーのグローバルリーダーを務める。

また、ロルラチニブは、これまで他の治療薬の有効性が制限されてきた腫瘍変異に対しても抵抗性があるとみられる。

このデータはCROWN試験の中間結果を反映したものである。この知見はNew England Journal of Medicine誌に掲載されている。

ALK陽性非小細胞肺がんは、特に進行の早いタイプの肺腫瘍で、肺がん症例の約4%を占める。喫煙が原因ではなく、典型的な肺がんよりも早い年齢で発症することが多い。

第3世代の未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)阻害薬であるロルラチニブは、米国ではLorbrena、欧州連合ではLorviquaの商品名で販売されている(*サイト注:日本ではローブレナの名称で販売)。現在、第一世代または第二世代のALK阻害剤が奏効しなくなった後の標準治療とされている。

4年前に承認されたクリゾチニブ(販売名:ザーコリ)は、第一世代のALK阻害薬であり、試験開始時には標準治療薬とされていた。その後、第二世代の治療薬が標準治療となった。

296人の患者を対象とした本研究は、23カ国104の医療機関で行われた。

データのカットオフ時点で死亡または病勢進行が認められた患者の割合は、ロルラチニブ治療患者で28%であったのに対し、クリゾチニブ治療患者では59%であった。

試験責任医師の判断による12カ月無増悪生存率もロルラチニブの方がクリゾチニブよりも80%対35%と有意に高かった。

試験開始時に中枢神経系への転移があった30人の患者のうち、第三世代の薬剤(ロルラチニブ)を投与された71%の患者に、頭蓋内完全奏効が得られたのに対し、対照群(クリゾチニブ)ではわずか8%であった。

全生存率は19%対15%とロルラチニブが有利であったが、中間解析では2群間において統計的な有意差を示すほどではなかった。

ロルラチニブで最もよくみられた副作用として、高コレステロール血症(ロルラチニブ投与群の70%にみられたのに対して、クリゾチニブ投与群ではわずか4%)、浮腫(55%対39%)、体重増加(38%対13%)、末梢神経障害(34%対15%)、認知機能への影響(21%対6%)があった。

認知機能への影響について尋ねられたShaw氏は、「患者に最も多いのは、一度に複数のことができないと感じることだろう。患者はろれつが回っていないように感じる。また集中することができないようにも感じる。感情の起伏が激しくなる」。

「しかし、神経認知機能に関わる副作用はすべて可逆的で、用量に依存する 」と彼女は述べた。

各群で7人が薬の副作用で死亡した。

研究費はファイザー社が負担した。

引用:  New England Journal of Medicine誌 2020年11月18日オンライン版

翻訳青葉かお里 

監修吉松由貴(呼吸器内科/飯塚病院)

原文掲載日

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