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改訂版栄養成分表示は、がんも含めた健康や食の科学を反映

  • 2020年6月19日
  • 発信元:米国国立がん研究所(NCI)ブログ~がん研究の動向~

2020年1月1日、米食品医薬品局(FDA)は多くの食品製造業者に対し、各自社製品に栄養成分表示の改訂版を表示するよう、要請を開始した。本インタビューでは、FDA食品安全応用栄養センター栄養政策上級顧問 Robin McKinnon博士とNCIがん対策・統計部門のリスク因子評価部チーフの Jill Reedy博士が、改訂版栄養成分表示とその変更の根拠となる研究の一部について検討する。

①一食分量(serving size)は一部改定され、太字で大きく表示。
 ②カロリーは太字で大きく表示。
 ③1日摂取量(Daily Value[DV])を改訂。
 ④砂糖、ビタミンD、カリウムを表示。製造業者は、ビタミン、ミネラルのDVを、%のほかに量でも表示する。

(FDAによる栄養成分表示の新旧比較図へのリンクはこちら。)

栄養成分表示の改訂の過程と理由を説明していただけますか?

McKinnon博士:これまでの栄養成分表示は策定から20年以上たっており、栄養と心疾患や一部のがんなどの慢性疾患との関係性など、新たな科学的知見に基づいて改訂する時期でした。また、一般的な飲食量も変化しており、新しい表示はそれを反映しています。

Reedy博士:栄養成分表示は、食の科学とその健康への影響から得られる知見と関連しています。これまでも今後も、この表示は消費者が「米国人のための食生活指針」を守るための主要な手段であり続けるでしょう。今こそ、改訂版表示に最新の科学を反映させる重要な時期なのです。

表示への主要な変更には何がありますか?

McKinnon博士:新しい栄養成分表示にはカロリーと1食分量が太字で大きく書かれており、とても目立ちます。1食分量には、一度に飲食する一般的な量がより正確に反映されており、添加糖類など新しい情報も含まれます。添加糖類には、食品加工の工程で材料として添加された糖類が含まれます。また、ハチミツ、シロップ、または包装された砂糖など、食事に加える個別の糖類も含まれます。

「米国人のための食生活指針」は、1日の総摂取カロリーのうち、添加糖類のカロリーを10%未満に制限することを勧めています。たとえば、1日に2,000カロリーを摂取するとすると、添加糖類は200カロリーまたは50 gです。添加糖類を摂り過ぎると、カロリー制限以内で必要な栄養素を摂ることが難しくなります。

他に注目すべき大きな変更点はありますか?

McKinnon博士:いくつかあります。たとえば20オンス(591ml)の炭酸飲料や15オンス(425g)のスープ缶など、1~2食分の食品パッケージには、カロリーとそのほかの栄養素を1食分として表示する必要があります。なぜなら、通常1回で食べる分量だからです。

また、2~3食分だが1回で食べきる可能性がある分量の食品パッケージでは、栄養成分表示は2列です。この場合、1列は1食分の栄養成分、もう1列はパッケージ全体の栄養成分を記載します。このような変更は事実上、消費者の代わりに「計算を行って」います。

また、新しい栄養成分表示には、新たにビタミンDとカリウムの表示が追加されています。カルシウムと鉄は従来どおり表示します。ビタミンAおよびCは、ほとんどの人々が十分に摂取しているため、表示の必要がなくなります。

Reedy博士:添加糖類の追加など、今回の変更の多くは、食事とがんなどの健康に関する転帰との関連性を解明するために行われた研究に基づいています。

NCIは、全人的アプローチをとる「全食事(トータルダイエット)」の考え方に基づく研究を裏付ける活動を多く行っており、人の一生にわたる個別の食物や栄養素だけではなく食事パターンを見ています。なぜなら、人の健康を左右するのは1種類だけの食物ではなく、食事の全体性だということがわかっているからです。

「全食事(トータルダイエット)」が、がんリスクなど人々の健康に与える影響について、どのようなことがわかっていますか?

Reedy博士:NCIではこのトピックについて多くの研究を行っており、その最終目的は食生活指針のための科学的エビデンスの基盤を強化することです。「食生活パターン方法プロジェクト」もそのような研究の一つです。

このプロジェクトでは、主要な「栄養品質指数」を調べました。その中には、地中海食スコア、食生活指針と連携して作成された健康食指数、代替健康食指数、およびNIH出資による高血圧に対するDASH試験で用いられたDASHダイエットが含まれます。

その後、これらの指数を使って、3つの非常に大規模な研究コホート(「AARP食事健康研究」、「女性の健康戦略観察研究」、および「多民族/マイノリティにおける食事とがんのコホート研究」)への参加者の食生活パターンを調べました。

すると、実に非常に似た結果となりました。3つのコホートすべてで、これらの栄養指数のいずれかと一致した食事を摂っている人では、全死因または心血管疾患による死亡リスクが13~27%低下したのです。

さらに、これらの指数に基づいて食事が健康的であるほど、がんを含めた死亡リスクの減少が大きいことがわかりました。そして改訂版表示に関連する項目では、添加糖類の摂取量が多い食事パターンは、心血管疾患、がん、およびそのほかの悪い健康転帰の高リスクと関連がありました。

ですから、これらの食生活パターンのいずれかで定義される健康的な食事は、よりよい健康転帰と関連します。

食事の健康効果は身体活動や運動などと相互に作用しますか?

Reedy博士:もちろんです。食生活のパターンについて語ってきましたが、食事、身体活動、睡眠、および体重には相互関係があることもわかっています。すべてがつながっていることがわかっています。そして、それは重要なことです。なぜなら、食事、身体活動および肥満は多くのがんと関連があることがわかっているからです。

私たちの最終目的は、こうした行動のすべてをサポートして対策をたてることです。なぜなら、どれか一つということではなく、これらすべてが同時に行われるべきだからです。そしてその一環として、新しい栄養成分表示は、健康的な食生活パターンの確立に向けて協力する上で、国民のための素晴らしい手段なのです。

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改訂版栄養表示についての国民への教育

改訂版栄養表示を国民がより深く理解するために、FDAは包括的国民教育キャンペーンを開始した。その中には、消費者および健康教育者に役立つ、ビデオやその他たくさんの情報が含まれる。

翻訳粟木瑞穂

監修佐藤恭子(緩和ケア内科/川崎市井田病院)

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