術前ペムブロリズマブ併用でリンパ節転移のあるトリネガ乳がんpCR率が改善

術前ペムブロリズマブ併用でリンパ節転移のあるトリネガ乳がんpCR率が改善

リンパ節転移を有するトリプルネガティブ乳がん(TNBC)患者において、抗PD-1免疫治療薬ペムブロリズマブ(販売名:キイトルーダ)を術前化学療法に追加することで病理学的完全奏効率(pCR)が上昇した。このKEYNOTE-522試験結果が、12月10~14日に開催されたサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS)にて発表された。

この試験の病理学的完全奏効(pCR)率に関する結果は、2019年に開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO)年次総会ですでに発表されている。今回発表された最新データにはリンパ節転移を有する患者のサブグループ解析が含まれる。

「トリプルネガティブ乳がん(TNBC)は高悪性度であり、他の乳がんと比較して診断後5年以内の再発率が高い乳がんです」と、バーツがん研究所(ロンドン)がん医学教授のPeter Schmid医学博士は述べた。「TNBC患者において、リンパ節転移がより高い再発リスクに関連していることは以前から知られていました」。

早期TNBCに対する現在の標準治療は化学療法である。術前化学療法に病理学的完全奏効(pCR)を示した患者の再発率は非常に低く予後は良好であり、特にTNBCのような悪性度が高いがんにその傾向がみられたことが大規模解析で実証されているとSchmid氏は説明した。

「現時点で、アントラサイクリン系薬剤およびタキサン系薬剤を併用した標準化学療法におけるpCR率は約40%、またその併用療法にプラチナベース製剤を追加したpCR率は約50%です」とSchmid氏は付け加えた。「TNBC患者のpCR率や長期の無イベント生存率を上げることができる新たなレジメンには、これからも相当高いニーズがあるでしょう」。

この研究で、Schmid氏らは早期TNBC患者に対する術前化学療法および術後化学療法に免疫チェックポイント阻害薬ペムブロリズマブを追加した場合の有効性を検証した。PD-1/PD-L1経路への標的治療が転移性TNBC患者に有効であることはすでに示されていた。

本試験の登録者1,174人は、18歳以上で過去に治療歴がなく、転移のない、中央検査施設で確認されたTNBC患者である。患者らは、術前化学療法として、ペムブロリズマブ+化学療法を受ける群またはプラセボ+化学療法を受ける群に2:1の割合で無作為に割り付けられた。術前化学療法後に根治手術をおこない、適応があれば放射線治療を実施した。患者らは再発または許容できない毒性が発現するまで、ペムブロリズマブまたはプラセボのどちらかによる術後化学療法を受けた。本試験の主要評価項目は、現在も評価中のpCR率および無イベント生存期間である。

前回、Schmid氏らは、PD-L1発現に関わらず、ペムブロリズマブ+化学療法群患者は単独化学療法群患者と比較してpCR率が有意に高い(64.8%対51.2%)ことを報告していた。

今回発表された最新データでは、腫瘍がリンパ節に転移した患者のうち、ペムブロリズマブ+化学療法群患者のpCR率は64.8%、対する単独化学療法群患者のpCR率は44.1%であった。ステージ3患者でも高いpCR率が認められた。

「術前化学療法へのペムブロリズマブ追加は、いまだ有効な治療がない悪性度の非常に高いがん患者に対して有益であると、われわれの試験結果は示唆しています」とSchmid氏は述べる。「この結果は臨床治療を変える可能性があると考えます」。

研究が継続中であるために無イベント期間解析がまだ予備的結果であることが本研究の限界である。「15カ月の追跡調査後、無イベント生存期間が非常に順調であることがわかりましたが、事前に定義した統計学的有意性の境界線にはいまだ到達していません」とSchmid氏は述べる。「近い将来引き続き追加解析を実施します」。

この研究はMSD社が資金援助をした。Schmid氏が研究支援を受けた企業は以下のとおり。AstraZeneca, Genentech, Roche, OncoGenex Pharmaceuticals, Novartis, Astellas,  Medivation. また、謝礼、相談料を受けた企業は以下のとおり。Pfizer, AstraZeneca, Novartis, Roche, Merck, Boehringer Ingelheim, Bayer, Eisai, Celgene,  Puma.

翻訳担当者 佐藤美奈子

監修 小坂泰二郎(乳腺外科・化学療法/医療社会法人石川記念会 HITO病院)

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