アバスチン、卵巣癌初回化学療法に安全に追加可能

キャンサーコンサルタンツ
2007年8月

カリフォルニア州のHoagがんセンターとDesert Regionalがんセンターの研究者は、タキソール (パクリタキセル)、プラチノール(カルボプラチン)、 アバスチン(ベバシズマブ)の外来投与が新たに卵巣癌と診断された患者に安全に行うことができると報告した。本試験の詳細はInternational Journal of Gynecological Oncology誌2007年7、8月号に掲載された。

アバスチンは抗血管内皮増殖因子(VEGF)組換えヒト化モノクロナール抗体である。VEGFは腫瘍の血管新生において重要な役割を果たしていると考えられ、この活動を阻害することで抗腫瘍効果が得られるはずである。アバスチンの臨床試験は種々の腫瘍において、特に他の薬剤との組み合わせで活性を示した。アバスチンは再発卵巣癌の治療に有効であり、細胞毒性化学療法を追加することで奏効率が向上することが最近の試験で示唆された。しかし、アバスチンに化学療法を追加することで毒性が著しく増強され、胃腸穿孔発症率が7%になることを示す最近の臨床試験もある。

本試験の目的は、上皮性卵巣癌、腹膜癌、および卵管癌の女性への初期治療におけるタキソールとプラチノールの標準投与にアバスチンを追加することの安全性の判定であった。この第2相臨床試験では20名の患者が治療を受けた。グレード4の好中球減少症が25%の患者に認められ、グレード3および4の血小板減少症または貧血症は認められなかった。重要であるのは、再発した患者の治療で観察されたような胃腸穿孔は認められなかったことである。完全奏効率は30%、部分奏効率は50%であった。加えて、1例では病勢安定、もう1例では進行が見られた。著者は、アバスチンは進行卵巣癌の最新化学療法に安全に追加できると示唆している。

コメント

本臨床試験は、新たに進行卵巣癌と診断された患者において、アバスチンをプラチノール とタキソールに追加しても毒性は著しく増強しないこと、第3相試験はアバスチンが有用性を向上させるかどうかを判定するために行われることを示している。

参考文献
[1] Micha JP, Goldwtein BH, Rettenmaier MA, et al. A Phase II study of outpatient first-line paclitaxel, carboplatin, and bevacizumab for advanced-stage epithelial ovarian, peritoneal and fallopian tube cancer. International Journal of Gynecological Oncology. 2007; 17:771-776.
[2] Wright JD, Secord AA, Numnum TM, et al. A multi-institutional evaluation of factors predictive of toxicity and efficacy of bevacizumab for recurrent ovarian cancer. International Journal of Gynecological Cancer.2007; early on-line publication on July 21, 2007.

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翻訳担当者 吉田 加奈子

監修 林 正樹(血液・腫瘍科)

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