HER2+乳がんにペルツズマブ追加で生存期間が延長

HER2+乳がんにペルツズマブ追加で生存期間が延長

手術可能な早期HER2陽性乳がんに対し、標準的な術後化学療法+トラスツズマブ(販売名:ハーセプチン)にペルツズマブ(販売名:パージェタ)を追加したところ、生存期間(OS)の延長が認められた。第3相APHINITY試験における追跡期間11.3年の最終解析によるもので、2025年5月15日、欧州臨床腫瘍学会(ESMO)乳がん会議でドイツ、ゲーテ大学の産婦人科准教授Sibylle Loibl医学博士により発表された。

同氏によると、生存期間の延長はリンパ節転移陽性に限り観察された。生存期間の延長が認められたのは今回の解析が初めてであった。また、無浸潤疾患生存率(iDFS)に関しても、リンパ節陽性群では臨床的に意味のあるものであったが、リンパ節陰性では改善を認められなかった。

本試験にはHER2陽性の手術可能な早期乳がん患者4,805人が登録され、2,400人がペルツズマブ群(ペルツズマブと、標準の化学療法+トラスツズマブ1年間投与)、2,405人がプラセボ群(プラセボと、標準の化学療法+トラスツズマブ1年間投与)に割り付けられた。リンパ節転移の有無、化学療法のレジメン、ホルモン受容体ステータスなどにおいて両群に偏りはなかった。
 
死亡率はペルツズマブ群が8.5%(205人)、プラセボ群が10.3%(247人)であった(調整HR:0.83、95%CI:0.69-1.00、P = 0.441)。リンパ節陽性患者に限定すると、生存率はペルツズマブ群が89.6%、プラセボ群が86.9%で有意差が認められた(未調整HR:0.79、95%CI:0.64-0.97)。一方、リンパ節陰性患者では有意差は確認されなかった(非調整HR:0.99、95%CI:0.66-1.49)。

iDFSは、ペルツズマブ群が87.2%、プラセボ群が83.8%であった(調整HR:0.79、95%CI:0.68-0.92)。遠隔再発はペルツズマブ群6.3%、プラセボ群8.8%で、局所再発はそれぞれ1.5%および2.5%であった。iDFSもOSと同様の傾向が見られ、リンパ節転移陽性患者に限定してペルツズマブ群の改善がみとめられた(HR:1.01、95%CI:0.74-1.38)。また、iDFS はホルモン受容体陽性、陰性を問わず、リンパ節転移陽性群ではペルツズマブによる効果がみられたが、陰性群ではいずれも効果はみられなかった。

心疾患に関する有害事象は両群でほぼ同等であり、新たな安全性の懸念は示されなかった。

招待討論者であるJavier Cortés医学博士は、iDFSの改善が明らかであれば、OSの有意差を待たずに治療承認を検討すべきであると強調した。同氏は、早期がんにおいては「遠隔無病生存期間(DDFS)」を主要評価項目とすべきであり、生存期間(OS)の成熟を待つことは患者の命に関わる可能性があると指摘した。

さらに、米国およびスペインでのコスト効果分析に基づき、高リスク患者を適切に選定すればペルツズマブの追加は費用対効果の面でも支持される可能性があると述べた。

  • 監修 小坂泰二郎(乳腺外科/JA長野厚生連 佐久総合病院 佐久医療センター)
  • 記事担当者 平沢沙枝
  • 原文掲載日 2025/05

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