FDAが胃および胃食道接合部腺がんにトリフルリジン・チピラシルを承認

2019年2月22日にFDAがトリフルリジン・チピラシル(商品名:ロンサーフ、大鵬薬品工業株式会社)を承認した。本剤は、ヌクレオチド代謝阻害剤であるトリフルリジンと、チミジンホスホリラーゼ阻害剤のチピラシルの配合剤であり、フルオロピリミジン、プラチナ製剤、タキサンもしくはイリノテカンのいずれか、また、適応がある場合にはHER2/neuを標的とした治療のうち少なくとも2種類の前治療を受けた成人の遠隔転移を有する胃および胃食道接合部腺がんが対象である。

承認は、TAGS試験(NCT02500043)の結果に基づいて与えられた。この試験は、少なくとも2種類の化学療法を受けた507人の転移のみられる胃および胃食道接合部腺がん患者を対象としたランダム化、二重盲検、プラセボ対照の国際共同試験である。患者は、それぞれ疾患の増悪または許容できない毒性が発現するまで、ベストサポーティブケア(BSC)を併用しながらトリフルリジン・チピラシル35 mg/m2を28日を1サイクルとして、1~5日目と8~12日に1日2回経口投与する群(337人)とBSCと疾患の増悪または許容できない毒性が発現するまでプラセボを投与する群(170人)に2:1に割り付けられた。

全生存期間の中央値は、トリフルリジン・チピラシル投与群で5.7(4.8~6.2)カ月、プラセボ投与群で3.6(3.1~4.1)カ月であった(ハザード比:0.69、95%信頼区間:0.56~0.85、p=0.0006)。無増悪生存期間についても、トリフルリジン・チピラシル投与群の方が長かった(ハザード比 0.56、95%信頼区間: 0.46~0.68、p<0.0001)。

TAGS試験では、プラセボ投与群よりトリフルリジン・チピラシル投与群で発現率が高く最もよくみられた有害反応または臨床検査値異常(発現率≥10%)は、好中球減少症、貧血、悪心、食欲減退、血小板減少症、嘔吐および下痢であった。

トリフルリジン・チピラシルの推奨用量と投与スケジュールは、35 mg/m2を食事とともに1日2回、28日を1サイクルとして、1日目から5日目と8日目から12日目に経口投与である。

ロンサーフの処方情報はこちらを参照。

FDAは、本申請を優先審査およびオーファンドラック(希少疾病用医薬品)に指定した。FDA迅速審査プログラムに関する情報は企業向けガイダンス、重篤疾患のための迅速承認プログラム–医薬品および生物学的製剤(Expedited Programs for Serious Conditions-Drugs and Biologics)に記載されている。

翻訳担当者 滝坂美咲

監修 中村能章(消化管悪性腫瘍/国立がん研究センター東病院 消化管内科)

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