進行胃がん、胃食道接合部がんに対するニボルマブ救援療法

2017年消化管がんシンポジウムで発表されたランダム化第3相試験の結果

米国サンフランシスコで開催された2017年消化器がんシンポジウム(1月19~21日)において、二重盲検ランダム化第3相試験NCT02267343(臨床試験責任医師は、韓国ソウル峨山病院、蔚山医科大学腫瘍学部門のYoon-Koo Kang医学博士)の結果が発表され、前治療歴を有する進行胃がんまたは胃食道接合部がん患者に対する救援療法として、ニボルマブがプラセボよりも転帰を改善したことが示された。

研究背景の中で研究者らは、最近の臨床試験で、進行胃がんまたは胃食道接合部がんに対する標準治療として初回および二次化学療法が確立されたと説明した。しかしながら、これらの患者の予後は依然として不良である。研究者らは、進行胃がんまたは胃食道接合部がんに対する標準化学療法に不応であった場合の救援療法として、human programmed cell death-1(PD-1)受容体を阻害するヒトモノクローナルIgG4抗体、ニボルマブの有効性および安全性を評価した。

本研究において、研究者らは、ECOGパフォーマンス・ステータスが0~1で、2レジメン以上の化学療法に不応であった20歳以上の切除不能進行、再発進行胃がんまたは胃食道接合部がんの患者493人を、2:1の比率で3mg/kgのニボルマブ(330人)またはプラセボ(163人)に無作為に割り付け、許容できない毒性または進行がみられるまで2週間おきに投与した。

本研究の主要評価項目は、治療意図の集団における全生存(OS)であった。

データカットオフは、最終患者の無作為割り付けを行ってから5.6カ月後の2016年8月13日であり、その時点の全生存期間の中央値は、ニボルマブが5.32カ月、プラセボが4.14カ月(hazard ratio [HR], 0.63; p<0.0001)で、6カ月および12カ月全生存率は、それぞれ46.4%対34.7%、26.6%対10.9%であった。

全奏効率(ORR)は、ニボルマブが11.2%、プラセボが0%であった(p<0.0001)。

無増悪生存期間(PFS)の中央値は、ニボルマブが1.61カ月、プラセボが1.45カ月であった(HR, 0.60; p<0.0001)。

ニボルマブの安全性プロファイルは、以前に報告された固形腫瘍の研究と一致した。グレード3以上の薬物関連有害事象(AE)は、ニボルルマブ群の11.5%、プラセボ群の5.5%で発生した。それぞれ2.7%と2.5%の患者が、いずれかのグレードの薬物関連AEのため研究治療を中止した。

研究者らは、前治療歴を有する進行胃がんまたは胃食道接合部がん患者において、ニボルマブが救援療法として有効であったと結論付けた。これは、現在では治療標準のない状況において、免疫療法剤が生存を改善することを示した最初のランダム化第3相試験である。

本研究は、小野薬品工業株式会社とブリストル・マイヤーズスクイブ社の資金提供を受けた。

参考文献 

Kang Y-K, Satoh T, Ryu M-R, et al. Nivolumab (ONO-4538/BMS-936558) as salvage treatment after second or later-line chemotherapy for advanced gastric or gastro-esophageal junction cancer (AGC): A double-blinded, randomized, phase III trial. J Clin Oncol 35, 2017 (suppl 4S; abstract 2)

翻訳担当者 工藤章子

監修 野長瀬祥兼(腫瘍内科/近畿大学医学部附属病院)

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