ベバシズマブ併用(CAPOX+B+T療法)により進行胃がん、食道がん患者の生存率が改善

キャンサーコンサルタンツ

HER2遺伝子変異による転移性胃がんあるいは転移性食道がんを有する患者に対し、標準薬の併用療法にベバシズマブ(アバスチン)を加えた場合、奏効率と生存率が著しく改善した。本試験を実施したダナファーバー癌研究所の研究者らが2015年6月1日月曜日、米国臨床腫瘍学会(ASCO)の年次総会でこれらの結果を発表する。

ダナファーバー癌研究所/ブリガム&ウィメンズがんセンターの食道がん・胃がんセンター臨床部長Peter Enzinger 医師によると、第2相臨床試験に参加した患者36人の全生存期間中央値はこれまで少なくとも21カ月であるという。奏効率は81%で、そのうち部分奏効25人、完全奏効2人であった。

抗血管新生薬であるベバシズマブをCAPOX化学療法(カペシタビン+オキサリプラチン)とトラスツズマブ(ハーセプチン)の併用療法に加えた。本併用療法は、CAPOX+B+T療法として知られている。トラスツズマブは食道がんまたは胃がんを有する患者の15%から20%にみられるHER2変異の増殖促進作用を阻害する。

同様の患者に対してトラスツズマブ、カペシタビン、(ベバシズマブではなく)シスプラチンを併用投与した先行試験では、全生存期間13.8カ月、奏効率47%であった。Enzinger 医師によれば、2012年1月にこの試験治療を開始した最初の患者のうち数人は、今も生存しているとのことである。

CAPOX+B+T療法を受けている患者において、腫瘍は食道、胃、食道と胃の接合部で見つかっている。

本併用療法は良好な忍容性を示したが、16人の患者は投与量を変更する必要があったと研究者らは述べた。

Enzinger 医師は、「この併用療法は有望である。少なくともベバシズマブとトラスツズマブ間の相加効果があるようだ」と述べた。「この小規模試験の結果を確認するために大規模な第2相ランダム化臨床試験が開始されることを願う」とEnzinger 医師は語った。

本試験はGenentech社より資金提供を受けた。

出典:ダナファーバー癌研究所


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翻訳担当者 米川恵理子

監修 畑 啓昭(消化器外科/京都医療センター)

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