AMG337MET阻害薬は胃癌および食道癌に目覚ましく迅速に奏効する

キャンサーコンサルタンツ

AMG337は、MET遺伝子増幅のある胃食道接合部癌、胃癌および食道癌の治療薬として有望な新たな低分子MET阻害薬である。MET阻害薬は、c-Metチロシンキナーゼの酵素活性を阻害する低分子分子標的薬の部類である。これらの阻害薬は、さまざまな癌の治療で適用される可能性がある。

食道は、胃まで続く食物の通路となる筋肉の管である。米国では毎年、17,000人以上が食道癌と診断され、この疾患で15,000人以上が死亡している。

胃癌は米国では発生率が比較的低いが、世界では癌による死因の第二位である。胃癌の発生率は韓国、中国、台湾、日本などアジア諸国でかなり高い。胃癌の治療法としては、通常、癌を外科的に切除した後、放射線療法併用または非併用の化学療法を行う。胃癌および食道癌に対する現在の治療法は、手術を主体とするが、全身療法は再発リスクを低下させるために不可欠である。

METシグナル伝達経路は多種多様な癌で異常を起こし、癌細胞の増殖、浸潤および転移を刺激して、アポトーシスに対する耐性を促進する。癌細胞の至る所でそうした作用をするMET経路を阻害すれば、多種多様の癌の成長の阻止に有効であると考えられる。

AMG337は、いくつかの形状のMETに高い選択性を示す阻害薬である。前臨床試験で、AMG337はMETに対して親和性を示したことから、AMG337をヒトで評価する最初の試験を行うことになった。

MET遺伝子増幅のある胃癌・大腸癌患者の小集団に対して、AMG337を用いて治療を実施した。MET遺伝子増幅のある胃癌および食道癌患者13人のうち8人で奏効し、全奏効率62%だった。研究著者は、「奏効は迅速で、ほとんどの症例ではわずか4週間で奏効した」ことを確認した。

MET遺伝子増幅のある固形癌患者を対象として、より大規模な第2相臨床試験を現在、実施しているが、その試験によってAMG337の抗癌作用を確認し、さまざまな癌の治療薬としての可能性を明らかにしていく必要がある。

参考文献:2015 Gastrointestinal Cancers Symposium (GICS): Abstract 1. Presented January 15, 2015.


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翻訳担当者 有田香名美

監修 高濱隆幸(腫瘍内科/近畿大学医学部附属病院)

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