ドセタキセルによる二次治療が食道癌・胃癌の生存期間を改善する

キャンサーコンサルタンツ

サンフランシスコで開催された2013年消化器癌シンポジウムで発表された研究結果によれば、ドセタキセルを使用した二次治療が進行食道癌および進行胃癌の全生存期間を改善する。

食道とは食物や液体が胃に届くまでに通過する筋肉の管である。米国では毎年17,000人以上が食道癌の診断を受け、15,000人以上が死亡する。また、胃癌とは胃にできる癌のことを指す。初回化学療法後に再燃した進行性食道癌・胃癌患者では全生存期間の中央値はたったの3カ月である。しかし、最近の研究で二次治療が生存期間を延長する可能性が示唆されている。

COUGAR-02は多施設、非盲検のランダム化第3相対照試験であり、初回治療後6カ月以内に癌が進行した局所進行または転移性の食道・胃腺癌の患者を対象に行われた。試験に参加した168人の患者は、最大6回まで3週間ごとにドセタキセルを使用する治療または積極的な対症療法(放射線療法、ステロイド療法、その他支持療法のいずれかまたは両方)にランダムに割り当てられた。

積極的対症療法に比べドセタキセルは全生存期間を著しく改善することを示す結果となった。全生存期間の中央値は対照群(対症療法群)で3.6カ月であるのに対し、ドセタキセル群では5.2カ月であった。ドセタキセル群の患者の7%で化学療法に対する部分奏効が見られたとともに、46%で病状が安定した。ドセタキセルを使用した治療により死亡率が33%も減少した。

研究者らはドセタキセルによる二次治療が患者集団の全生存期間を著しく改善し、同じ条件下においてこの治療を標準的治療と見なしうると結論づけた。

参考文献:
Ford H, Marshall A, Wadsley J, et al: COUGAR-02: A randomized phase III study of docetaxel versus active symptom control in patients with relapsed esophagogastric adenocarcinoma. Journal of Clinical Oncology. 2012; 30(suppl 34): Abstract LBA4.


  c1998- CancerConsultants.comAll Rights Reserved.
These materials may discuss uses and dosages for therapeutic products that have not been approved by the United States Food and Drug Administration. All readers should verify all information and data before administering any drug, therapy or treatment discussed herein. Neither the editors nor the publisher accepts any responsibility for the accuracy of the information or consequences from the use or misuse of the information contained herein.
Cancer Consultants, Inc. and its affiliates have no association with Cancer Info Translation References and the content translated by Cancer Info Translation References has not been reviewed by Cancer Consultants, Inc.
本資料は米国食品医薬品局の承認を受けていない治療製品の使用と投薬について記載されていることがあります。全読者はここで論じられている薬物の投与、治療、処置を実施する前に、すべての情報とデータの確認をしてください。編集者、出版者のいずれも、情報の正確性および、ここにある情報の使用や誤使用による結果に関して一切の責任を負いません。
Cancer Consultants, Inc.およびその関連サイトは、『海外癌医療情報リファレンス』とは無関係であり、『海外癌医療情報リファレンス』によって翻訳された内容はCancer Consultants, Inc.による検閲はなされていません。

翻訳担当者 寺澤多恵

監修 畑 啓昭(消化器外科/京都医療センター)

原文を見る

原文掲載日 

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

食道がんに関連する記事

二重特異性免疫チェックポイント阻害薬カドニリマブはPD-L1発現に関係なく胃がん生存率を改善の画像

二重特異性免疫チェックポイント阻害薬カドニリマブはPD-L1発現に関係なく胃がん生存率を改善

PD-1/CTLA-4二重特異性抗体cadonilimab(カドニリマブ)と化学療法の併用は、PD-L1低値腫瘍患者を含む、未治療のHER2陰性局所進行または転移性胃/胃食道接合部がん...
進行胃/胃食道接合部腺がんにフルキンチニブ+パクリタキセル併用療法の画像

進行胃/胃食道接合部腺がんにフルキンチニブ+パクリタキセル併用療法

米国臨床腫瘍学会(ASCO)ASCO専門家の見解「FRUTIGA試験において、fruquintinib[フルキンチニブ]とパクリタキセルの併用は、進行した胃/胃食道接合部腺がん...
食道がんに免疫療法薬チラゴルマブ+アテゾリズマブ併用療法の画像

食道がんに免疫療法薬チラゴルマブ+アテゾリズマブ併用療法

米国臨床腫瘍学会(ASCO)ASCO専門家の見解「世界中の食道がんの多くは食道扁平上皮がんです。この第3相試験は、新しいチェックポイント阻害薬であるtiragolumab[チラ...
進行した胃・食道がんに2種の免疫チェックポイント(PD-1、TIGIT)阻害薬併用が有望の画像

進行した胃・食道がんに2種の免疫チェックポイント(PD-1、TIGIT)阻害薬併用が有望

米国臨床腫瘍学会(ASCO)ASCO専門家の見解「PD-1阻害薬+化学療法の併用は、胃・食道がんに対する標準的な一次治療です。進行した胃・食道がんには新たな治療法の開発が必要で...