胃がんの原因とされるピロリ菌が、大腸がんにも関与の可能性

胃がんの原因とされるピロリ菌が、大腸がんにも関与の可能性

ピロリ菌感染と大腸がんリスクとの関連が、特にアフリカ系アメリカ人で強い傾向

2018年10月9日公開 2018年10月18日更新
胃がんを引き起こすことで知られている細菌が、特にアフリカ系アメリカ人で、特定の大腸がんリスクを高める可能性があるとDuke Cancer Instituteの研究者が主導した研究が示した。

Gastroenterology誌電子版に10月5日付で公開されたこの知見は、ピロリ菌の抗体と大腸がんリスク増加との関連性を説明しているが、ピロリ菌が大腸がんの原因と確定したわけではなく、これについての研究はまだ続いている。

しかし、大規模で多様なコホート研究から抽出された4,000以上の大腸がん症例の分析において、研究者らは、大腸がん発生とピロリ菌の有毒株の感染との間に顕著な相関関係を発見した。この感染は、とりわけアフリカ系アメリカ人で多い。

「感染とがんとのつながりは興味深いです。単に抗生物質を一定期間服用することでそのつながりを断ち切ることができるのであれば、なおさらです」とDuke Cancer InstituteのCancer Control and Population Sciences共同リーダーで筆頭著者であるMeira Epplein博士は言う。「私たちの研究は、決定的な因果関係を確立するために、さらに研究を進める必要があるという強力な証拠を提供しています。」

Epplein博士らは、Southern Community Cohort Study、Nurses Health Study、女性の健康イニシアチブ、アメリカがん協会のCancer Prevention Study-IIを含む10件の大規模な地域別研究や全国的研究からデータを収集した。

彼らは、民族的および地域的に多様な参加者8,400人以上から採取した血液サンプルを分析した。そのうちの半数が後に大腸がんを発症しており、残りの半数は大腸がんと診断されなかった。

研究者らは、ピロリ菌感染が、がん群と非がん群の両方で同じように多く、いずれの群も10人中4人が細菌検査で曝露歴があったことを確認した。

一方で、人種間で明確な差が明らかになった。白人患者のピロリ菌感染率は平均以下であり、アジア系アメリカ人の感染率は平均的であった。しかし、黒人およびラテン系患者の感染率は、はるかに高かった。アフリカ系アメリカ人のうち、非がん群の65%、大腸がん群の71%がピロリ菌の抗体を保有していた。ラテン系患者では、非がん群の77%、がん群の74%が抗体を保有していた。

さらなる分析により、民族集団を問わず、大腸がん患者では、4つのピロリ菌タンパク質に対する抗体がかなりの割合で存在することが明らかになった。特に、そのピロリ菌タンパク質の1つであるVacAは、この研究に参加したアフリカ系アメリカ人患者の大腸がん発症率上昇との関連性が最も強く、特に、このタンパク質に対する抗体量は、アフリカ系アメリカ人やアジア系アメリカ人の大腸がん発症と関連していた。

「VacA抗体がアフリカ系アメリカ人やアジア系アメリカ人の間で大腸がん発症率を高めたのに、白人とラテン系では高めなかったことは驚きでした」とEpplein博士は言う。「人間が遺伝的起源や遺伝形質によって異なる細菌を保有するかどうかは大きな疑問点です。これは私達が解明しなければならない課題の一つです。」

またEpplein博士は、ヘリコバクター・ピロリVacAタンパク質に対する抗体が直接、がんを引き起こしていないとしても、大腸がんリスクのマーカーとして機能するのか、今後の研究ではっきりするかもしれないと述べた。

Epplein博士以外の研究者は以下のとおりである。Julia Butt、Matthew G. Varga、William J. Blot、Lauren Teras、Kala Visvanathan、LoïcLe Marchand、Christopher Haiman、Yu Chen、Ying Bao、Howard D. Sesso、Sylvia Wassertheil-Smoller、Gloria Y.F. Ho PhD,  Lesley E. Tinker, Richard M. Peek, John D. Potter, Timothy L. Cover, Laura H. Hendrix, Li-Ching Huang, Terry Hyslop, Caroline Um, Francine Grodstein, Mingyang Song, Anne Zeleniuch-Jacquotte, Sonja Berndt, Allan Hildesheim, Tim Waterboer and Michael Pawlita.

米国国立がん研究所がこの研究に資金提供した(R01 CA190428)。このコホート研究への他支援者はジャーナル原稿に掲載されている。ピロリ菌の血清学的研究は、Joint Initiative for Innovation and Research of the German Helmholtz Associationによって部分的に資金提供された。

翻訳担当者 関口百合

監修 畑 啓昭(消化器外科/京都医療センター)

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原文掲載日 

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