米FDA、PD-L1を発現するHER2陽性胃・食道胃接合部腺がんにペムブロリズマブを承認

米FDA、PD-L1を発現するHER2陽性胃・食道胃接合部腺がんにペムブロリズマブを承認

2025年3月19日、米国食品医薬品局(FDA)は、PD-L1の発現(CPS≧1)が認められる切除不能な局所進行性または転移性のHER2陽性胃腺がんまたは食道胃接合部腺がん成人患者に対する一次治療として、ペムブロリズマブ(販売名:キイトルーダ、メルク社)をトラスツズマブ、フルオロピリミジンおよびプラチナ製剤を含む化学療法との併用で通常承認した。

ペムブロリズマブは、後述の臨床試験の中間解析に基づき、2021年5月5日に本適応の迅速承認を取得している
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有効性と安全性

有効性はKEYNOTE-811試験(NCT03615326)で評価された。KEYNOTE-811試験は多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験で、HER2陽性の進行胃腺がんまたはGEJ腺がんで、転移に対する全身療法の治療歴がない患者698人が登録された。698人のうち594人(85%)はCPS≧1でPD-L1を発現(PD-L1 IHC 22C3 pharmDxキットによる判定)していた。患者は、ペムブロリズマブ200mg または プラセボ群に1:1に無作為に割り付けられ、これに加えて、トラスツズマブおよび、フルオロウラシル・シスプラチンまたはカペシタビン・オキサリプラチンの投与を受けた。

有効性の主要評価項目は、全生存期間(OS)と、盲検下独立中央審査(BICR)の評価による無増悪生存期間(PFS)、その他の評価項目は奏効率(ORR)と奏効期間(DOR)などであった。ペムブロリズマブとトラスツズマブおよび化学療法を併用する群では、プラセボとトラスツズマブおよび化学療法を併用する群と比較して、全生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS)が統計学的に有意に改善した。PD-L1 CPS≧1を発現する患者では、PFS中央値はペムブロリズマブ群で10.9カ月(95%信頼区間 [CI]:8.5、12.5)、プラセボ群で7.3カ月(95% CI:6.8、8.4)であった(ハザード比[HR]0.72[95% CI:0.60、0.87])。OS中央値はペムブロリズマブ群で20.1カ月(95% CI:17.9、22.9)、プラセボ群で15.7カ月(95% CI:13.5、18.5)であった(HR 0.79 [95% CI:0.66、 0.95])。ORRはペムブロリズマブ群で73%(95% CI:68、78)、プラセボ群で58%(95% CI:53、64)、DOR中央値はペムブロリズマブ群で11.3カ月(95% CI:9.9、13.7)、プラセボ群で9.6カ月(95% CI:7.1、11.2)であった。

ペムブロリズマブ群で観察された副作用プロファイルは、既知のペムブロリズマブの安全性プロファイルと一致していた。

ペムブロリズマブの推奨用量は、トラスツズマブおよび化学療法との併用で200mgを3週間ごと、または400mgを6週間ごとである。

  • 監修 泉谷昌志(消化器内科、がん生物学/東京大学医学部附属病院)
  • 記事担当者 平沢沙枝
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  • 原文掲載日 2025/03/19

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