ゼローダ(カペシタビン)/大腸癌の術後カペシタビン(X)対bolus5-FU/ロイコボリン(LV)の有効性:phaseⅢ試験

大腸がんの術後補助療法としてカペシタビン(X) 対bolus 5-FU/ロイコボリン(LV)(X-ACTスタディ):phase Ⅲ試験での有効性に関する結果

アブストラクト番号:3509 late breaking abstruct

【背景】:腫瘍にて活性化される経口fluoropyrimidineである Capecitabine(XELODA)を使用した治療は、ファーストラインでの転移性結腸直腸がん患者においてbolus 5-FU/LV に勝って顕著に優位な奏効率と安全性の向上に導いた。

【方法】:切除したDukes’ C大腸ガン患者を、経口X(1250mg /m2 を1日2回 第1日目から第14日まで、3週毎)と、静注 5-FU/LV(LV20 mg/m2+5([0-9])FU 425mg/m2 を第1目から第5日目まで、4週間毎)に、無作為に割り付け、どちらも24週の治療を行った。プライマリーエンドポイントは、disease-free survival(DFS)で治療の同等性以上を証明することであった。

【結果】:98年11月から2001年11月まで164センターからの1987人の患者が割り付けられた。予後を示す要因については両群ともに同等であった。フォローアップ中央値は3.8年。この研究の主要評価項目は達成された。Xは、DFSに関して治療実施計画書に合致した患者群で5-FU/LVと同等以上であった(HR 0.89 [95% Cl 0.76-1.04])。ITT解析では5-FU/LVに対してXのより優れたDFSを示す強い傾向が見られた(HR 0.87[95% Cl 0.75-1.00], p = 0.0528)。また全生存率OS(overall survival)に関しても優れている傾向が見られた(OS;ITT: HR 0.84 [95% Cl 0.69-1.01], p =0 .0706)。無再発期間(RFS)に関しては、5-FU/LVに対してXの優越性が見られた(ITT: HR 0.86[95% Cl 0.74-0.99] p = 0.041)。全患者で見られた結果は70歳以上の患者においてもみられていた。Xが5-FU/LVより安全であるということは以前にも報告された(Scheithauer, Ann Oncol 2003;14:1735-43)。

【結論】:この研究の主要評価項目は達成された。DFSとOSにおける優越性の傾向は、RFSと安全性の優越性でも裏付けられており、次のような結論を導き出している。Xは大腸ガンの術後治療において5-FU/LVに取って代わるべきである。

翻訳担当者 内村 美里人、野中 希

監修 林 正樹(血液・腫瘍科)

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

大腸がんに関連する記事

トリフルリジン-チピラシルへのベバシズマブ上乗せで進行性大腸がんの生存率が向上の画像

トリフルリジン-チピラシルへのベバシズマブ上乗せで進行性大腸がんの生存率が向上

米国国立がん研究所(NCI) がん研究ブログ新しい治療法が、一部の進行性大腸がんの一部の人々の生存率を改善するのに役立つ可能性があるという結果が国際的な臨床試験からわかった。

新しいレジ...
特定の遺伝子変化を有する大腸がん治療が免疫療法のみへと変わる?の画像

特定の遺伝子変化を有する大腸がん治療が免疫療法のみへと変わる?

一部のがん患者にとっては、6カ月の免疫療法だけですむかもしれない、あるいは4週間の免疫療法薬の後に小さな手術をするだけで治療が終わるといった可能性はあるのだろうか。

局所進行がんを有する一部の患...
FDAがツカチニブ+トラスツズマブ併用を進行性結腸直腸がんに承認の画像

FDAがツカチニブ+トラスツズマブ併用を進行性結腸直腸がんに承認

大腸がんのうち、外科的切除不能あるいは体の他の部分に転移のある患者の一部に対する新たな治療選択肢が登場した。米国食品医薬品局(FDA)は1月19日、HER2というタンパクを過剰に発現する進行し...
次世代の免疫療法薬2剤(botensilimab、balstilimab)は大腸がんに有効の画像

次世代の免疫療法薬2剤(botensilimab、balstilimab)は大腸がんに有効

次世代免疫療法薬2剤の併用は、これまで免疫療法薬があまり効かなかった難治性転移大腸がん患者の治療に有望な臨床効果を示すことがダナファーバーがん研究所の研究で明らかになった。

サンフランシスコで1...