FDAが転移のあるBRAF変異大腸がんにエンコラフェニブ+セツキシマブを承認

FDAが転移のあるBRAF変異大腸がんにエンコラフェニブ+セツキシマブを承認

2020年4月8日、米国食品医薬品局(FDA)は、前治療後にBRAF V600E変異陽性(FDA承認検査で検出)の転移大腸がん(CRC)成人患者の治療にセツキシマブとの併用でエンコラフェニブ(販売名:BRAFTOVI、Array BioPharma Inc.社)を承認した。

有効性は、ランダム化、実薬対照、非盲検、多施設試験(BEACON CRC;NCT02928224)で評価された。患者の適格条件は、1種類または2種類の前治療後に疾患進行がみられるBRAF V600E変異陽性の転移CRC(Qiagen therascreen® BRAF V600E RGQ PCR検査キットで検出)とした。220人の患者をセツキシマブと併用でのエンコラフェニブ投与群(1日1回300mg経口投与)に無作為に割り付け、221人の患者をセツキシマブと併用での、イリノテカンまたはFOLFIRIの対照群に無作為に割り付けた。

有効性の主要評価項目は、全生存期間(OS)とした。副次的有効性の評価項目として、無増悪生存期間(PFS)、確定奏効率(ORR)、および奏効期間(DoR)を用いた。奏効率(ORR)と奏効期間(DoR)は、エンコラフェニブ+セツキシマブ投与群または対照群のいずれかに無作為に割り付けられた最初の220人の患者群に対して、盲検下独立中央判定により評価された。全生存期間(OS)中央値は、エンコラフェニブ+セツキシマブ群では8.4カ月(95%信頼区間[CI]:7.5~11.0)、対照群では5.4カ月(95%CI:4.8~6.6)であった(ハザード比[HR]0.60;95%CI:0.45~0.79;p=0.0003)。無増悪生存期間(PFS)中央値は、エンコラフェニブ+セツキシマブ群では4.2カ月(95%CI:3.7~5.4)、対照群では1.5カ月(95%CI:1.4~1.7)であった(HR 0.40;95%CI:0.31~0.52;p<0.0001)。奏効率(ORR)は、それぞれ20%(95%CI:13%~29%)、2%(95%CI:0%~7%)であった。奏効期間(DOR)中央値は、エンコラフェニブ+セツキシマブ群では6.1カ月(95%CI:4.1~8.3)、対象群では未到達(95%CI:2.6~NR)であった。

エンコラフェニブとセツキシマブの併用で最もよくみられた副作用(≧25%)は、疲労、悪心、下痢、ざ瘡様皮膚炎、腹痛、食欲減退、関節痛、および発疹であった。

エンコラフェニブの推奨用量は、セツキシマブとの併用で1日1回300mgの経口投与である。

BRAFTOVIの全処方情報はこちらを参照。

本審査では、FDAによる評価の促進のために申請者が自発的に申請を行うAssessment Aidが用いられた。

本申請は、優先審査および画期的治療薬に指定された。FDA迅速承認プログラムに関する情報は、企業向けガイダンス「重篤疾患のための迅速承認プログラム-医薬品およびバイオ医薬品」に記載されている。

翻訳担当者 福原真吾

監修 辻村信一(獣医学・農学博士、メディカルライター)

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