適量の赤身肉や加工肉を食べる人にも大腸がんのリスク
英国医療サービス(NHS)推奨ガイドライン内で赤身肉(*サイト注:牛豚羊などの肉。鶏肉は含まない)および加工肉を食べる人であっても大腸がんリスクが高まることが、4月17日(水)、International Journal of Epidemiology誌に発表されたキャンサーリサーチUK共同出資の研究で明らかになった。
研究結果によれば、おおよそ政府推奨基準内である赤身肉と加工肉の1日あたり摂取量約76gを食べる人は、1日あたり約21g食べる人よりも大腸がんを発症する可能性が20%高くなる。
1960年以降に英国で出生した男性15人中1人、女性18人中1人は、生涯のうちに大腸がんと診断されると推定される。本研究では、1日あたり加工肉25g(およそ薄切りベーコン1枚またはスライスハム1枚に相当)を食べるごとに大腸がんリスクが20%上昇し、1日あたり赤身肉50g(ローストビーフの厚切り1枚または骨付き羊肉1本の可食部)を食べるごとに19%上昇することがわかった。
本研究の共著者であり、食事とがんに関するキャンサーリサーチUKの専門家、オックスフォード大学がん疫学部門副部長のTim Key教授は次のように語った。「われわれの結果は、赤身肉および加工肉を1週間あたり4回以上食べる人は、1週間あたり2回未満の人より大腸がんを発症するリスクが高いことを強く示唆しています」。
「赤身肉と加工肉が大腸がんと関連があることを示す実質的証拠があり、世界保健機関(WHO)は加工肉を「発がん性がある」グループ、赤身肉を「おそらく発がん性がある」グループに分類しています。しかし、大半の先行研究は1990年代以前の人々を調査したものであり、その後、食習慣は顕著に変化したため、われわれの研究は今日の肉摂取に関わる最新の考察となります」。
Key教授、および共著者のKathryn Bradbury医師とNeil Murphy医師は、研究開始時に40歳から69歳であった英国の男女50万人近くの食事を5年以上にわたり調査したが、その間に2,609人が大腸がんを発症した。
これまでのエビデンスによれば、加工肉を1日あたり50g食べるごとに大腸がんになるリスクが上昇することになるが、本研究では1日あたりわずか25gでリスクが上昇することが判明し、より小さい増加量でリスクが同様に上昇することを示している。これはこの分野で最大規模の単回調査の一つであり、肉の摂取量と関連するがんリスクを非常に正確に数値化した数少ない調査の一つである。
キャンサーリサーチUKの健康情報部門長であるJulie Sharp医師は言った。「肉と加工肉に関する政府のガイドラインは一般的な健康アドバイスであり、本研究は、このガイドラインよりさらに減らせば減らすだけ大腸がん発症のリスクを減らすことができるという注意喚起です」。
「この研究は必ずしも赤身肉および加工肉をまったく食べないことを意味するものではありませんが、食べる量と回数を減らす簡単な方法について考えるきっかけになるかもしれません。長年の習慣を変えるのは難しいことですが、私たちの食事を健康的に変化させるのに遅すぎることは決してありません。毎週月曜日を肉を食べない日にして新鮮な鶏肉や魚を使ったレシピを探したり、毎日の食事で肉の代わりに大豆やレンズ豆などの豆類を使ってもよいでしょう」。
参考
*本研究は、英国のMedical Research CouncilとWellcome Trust、ニュージーランドのHealth Research Councilの資金提供も受けた。
*最高摂取群(赤身肉と加工肉の摂取が週4回以上)に分類された研究参加者192,600人において、1日あたり平均摂取量は76gであった。
***英国保健省ガイドラインによれば、赤身肉と加工肉を1日90g(調理後の重量)以上食べる人は、英国における1日平均摂取量である70gまで減らすべきである。 NHSは、1日に90g以上食べたら、翌日は食べる肉の量を減らすか、まったく肉を食べないようにして、1日あたりの平均摂取量が70g以下となるよう勧めている。
**** www.cancerresearchuk.org/health-professional/cancer-statistics/risk/lifetime-risk#heading-One
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