ビタミンD高用量投与が転移性大腸がんの進行を遅らせる可能性

ダナファーバーがん研究所の研究者主導で行われた、ビタミンDでのがん治療に関する初めての多施設共同ランダム化盲検試験で、ビタミンDの高用量投与が転移性大腸がんの進行を遅らせる可能性があることを示した。本試験は6月2日~6日にシカゴで開催される米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会に先駆けて、オンラインで公表された。

「試験に登録した患者から採取した血液サンプルを解析するまでは、効果を確認するためにはどれぐらいの血中ビタミン濃度が必要なのか、まだわかりません。その間、患者は主治医と血中のビタミンD濃度の測定値について話し合い、その濃度を十分な範囲で維持するためのサプリメント摂取について検討することができます」と、ダナファーバーのCenter for Gastrointestinal Oncology(消化管腫瘍学センター)の臨床研究部門長Kimme Ng.医師(MPH)は語った。Ng氏はASCO学会でSUNSHINE研究の早期結果を発表する予定である。

「本データはより大規模な試験で確認する必要がありますが、転移性大腸がん患者の標準治療と併用してビタミンD高用量投与をすることは便益があると考えられます」とNg氏は語った。

本試験は、化学療法とベバシズマブ(腫瘍に栄養を供給する血管の形成を遅らせる薬剤)を併用する標準治療を受けている患者139人を対象とした。これらの患者をビタミンD高用量投与(最初の2週間は毎日8,000ユニット、その後は毎日4,000ユニット投与)する群、毎日400ユニット投与(マルチビタミン錠剤で服用することが多い量)する対照群のいずれかに無作為に割り付けた。

ビタミンD高用量投与群は疾患進行までの期間の中央値が13.1カ月であったのに対して、対照群は11.2カ月であった。「転移性がんの世界では、この約2カ月の差は顕著な差です」とNg氏は語った。患者の年齢、既存の疾患による負担などの予後因子を補正してモデリングしたところ、中央値で約17カ月間の追跡期間にわたりビタミン高用量投与群で無増悪生存期間が33%延長したことを見出したと、Ng氏は述べた。

ほかの試験結果では、ビタミンDを高用量投与した患者群は、ビタミンを低量投与した患者よりも重度の下痢になる頻度が低かった。さらに、おそらくSUNSHINE試験の対象患者数が比較的少なかったこともあり、統計学的有意差には至らなかったが、がん治癒の可能性があるとして肝臓から転移腫瘍を切除する手術を受けた患者は高用量投与群の方が多かった。

複数試験の観察的解析から、ビタミンDの血中濃度が高いほど大腸がんにおける無増悪生存期間および全生存期間の有意な延長に関連していることが全般的に示されている。

「このことについて、因果関係の証明につながるランダム化盲検試験でさらに厳密に研究したいと考えました。われわれがSUNSHINE試験から得た結果は、その結果を検証するためにより大規模な第3相試験が明らかに必要であることを示しています」とNg氏は述べた。

本試験には米国国立衛生研究所の助成金(P50CA127003、 R01CA205406、 R01CA118553、 R01CA121980)、Gloria Spivak Faculty Advancement Award、 Friends of Dana-Farber Cancer Institute Award、Consano Phrmavite LLC社およびGenetech社からの助成金が提供された。

翻訳担当者 有田香名美

監修 東海林洋子(薬学博士)

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