進行大腸がん患者において身体活動量は生存期間延長と関連

専門家の見解

ASCO専門委員であり、本日のプレスキャストの司会を務めるNancy Baxter医師( FRCSC, FACS, PhD)は、「身体活動は進行性大腸がん患者にとっては困難なものであろうが、本研究は、ほんの少しの運動量であっても大きな差がみられる可能性があることを示している。疾患のステージにかかわらず、私達の患者が適度な運動を日常生活に取り入れる方法を見つけるように手助けすることが重要だ」と述べた。

新たな分析では、身体活動が多い転移性大腸がんの患者は、身体活動が少ない患者と比べ、転帰が良好であることを示している。

大規模な臨床試験で化学療法の開始時に日常的に30分以上の適度な運動に相当する身体活動を行っていると報告した患者の死亡率は19%減少し、がん進行は16%減少した。

本研究は、まもなくサンフランシスコで開催される消化器がんシンポジウム2017で発表される予定である。

著者らによると、本分析は、遠隔(非局所)転移を伴う大腸がん患者と運動との関連性を示す初めてのエビデンスである。

先行研究は、ステージI~IIIの大腸がん(遠隔転移なし)患者における定期的な運動と患者の転帰改善との間に関連性が見受けられると一貫して示していた。

マサチューセッツ州ボストンのブリガム&ウイメンズ病院の研修医であり、本研究の筆頭著者であるBrendan John Guercio医師は、「本結果は、転帰改善には必ずしも多く身体活動を必要としないと示唆している。運動は決して化学療法の代替となるものではないが、患者は1日にわずか30分の運動により大きな恩恵を受けることができる」と述べた。

研究

本分析は、連邦政府資金による転移性大腸がんに対する化学療法の第3相試験であり、1,231人の患者が参加した。

化学療法の開始時点で、患者は質問票を通じて自分の身体活動について自己申告した。

この質問票回答に基づき、研究者らは、身体活動中に消費されたエネルギーを評価する代謝当量(MET時間/週)と呼ばれる測定基準を使用し、各患者の身体活動量のレベルを判断した。

最も身体活動が活発であったグループの患者は、18 MET時間/週以上おこなっており、これは毎日30分以上、ウォーキング、掃除、ガーデニング等の適度な身体活動をおこなうことに相当する

最も身体活動が少なかったグループの患者は、3MET時間/週未満であったが、これは1週間に30分の身体活動にあたる。

研究者らは、年齢、一般健康状態、体重変化、他の慢性疾患、および受けているがん治療の種類など、患者の身体活動を行う能力に影響を及ぼす可能性がある要因について調整を行った。

主な結果

全体として、より多くの時間を身体活動へ費やした患者において、がんの無増悪生存率および全生存率の改善が認められた。

2次探索的分析では、ウォーキングや芝刈りなどの軽い身体活動により長い時間を費やすことが生存率の向上と関連すると示された。

週5時間以上の軽い身体活動を行った患者の死亡率は25%減少した。

一方で、ランニングやスポーツなどの激しい身体活動についてはがん転帰との関連性がみられなかった。

次のステップ

転移性大腸がんにおける身体活動と転帰との関連性を確認するためには、ランダム化比較試験、および、より多くの前向き臨床研究が必要である。現在進められているランダム化臨床試験は、治療中に運動する患者と運動しない患者とを比較するもので、その結果によって身体活動がより長い生存につながると証明される可能性がある。

本研究は、米国国立衛生研究所による資金援助を受けている。

翻訳担当者 西田加代子

監修 大野 智(補完代替医療/大阪大学・帝京大学)

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