欧州医薬品庁(EMA)がラムシルマブに対し、進行非小細胞肺がんと転移性大腸がんへの新規適応を推奨

進行非小細胞肺がんに対するドセタキセルとの併用、および転移性大腸がんに対するFOLFIRI療法との併用に関する新たな適応

 ・トピック:肺および胸部腫瘍/消化器がん/抗がん剤および生物学的療法

2015年12月17日、欧州医薬品庁(EMA)の医薬品委員会(CHMP)は医薬品ラムシルマブ(サイラムザ)の販売承認の項目変更を推奨する肯定的な見解を採択した。

この医薬品の販売承認取得者はEli Lilly Nederland B.V.社である。

医薬品委員会が採択した2つの新たな適応は次の通り。

「ラムシルマブのドセタキセルとの併用は、プラチナベースの化学療法後に病態が進行した局所進行または転移性非小細胞性肺がん成人患者に適応される。」

「ラムシルマブのFOLFIRI療法(イリノテカン、フォリン酸および5-フルオロウラシル)との併用は、ベバシズマブ、オキサリプラチンおよびフルオロピリミジンによる前治療中または治療後に病態が進行した転移性大腸がん成人患者に用いられる。」

ラムシルマブの対象となる適応についての詳細は次の通り。

「ラムシルマブのパクリタキセルとの併用は、プラチナ製剤とフルオロピリミジンによる化学療法後に病態が進行した進行胃がんまたは胃食道接合部腺がん成人患者に適応される。

ラムシルマブ単剤治療は、プラチナ製剤とフルオロピリミジンによる化学療法後に病態が進行した進行胃がんまたは胃食道接合部腺がん成人患者のうち、パクリタキセルとの併用が適切でない患者に用いられる。

ラムシルマブのFOLFIRI療法(イリノテカン、フォリン酸および5-フルオロウラシル)との併用は、ベバシズマブ、オキサリプラチンおよびフルオロピリミジンによる前治療後に病態が進行した転移性大腸がん成人患者に用いられる。

ラムシルマブのドセタキセルとの併用は、プラチナベースの化学療法後に病態が進行した局所進行または転移性非小細胞性肺がん成人患者に用いられる。」

この製品の使用にあたり推奨される事項の詳細については、製品概要最新版に記載される予定である。この製品概要は、欧州委員会による販売承認の変更決定後、欧州の公開医薬品審査報告書改訂版に公表されて、すべてのEU公用語で利用可能になる予定である。

肯定的見解を取り入れた製品概要は、通常、見解の採択から67日後に下される欧州委員会の決定に影響を与えることなく、公表される。

翻訳担当者 木水友子

監修 後藤 悌(呼吸器内科/国立がん研究センター)

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