FOLFIRI+ラムシルマブ併用療法は進行性大腸癌患者の癌の進行を遅らせ、生存期間を改善する

キャンサーコンサルタンツ

初期治療以降、病勢が進行した進行性大腸癌患者1,072人を対象とした国際共同第3相臨床試験の結果が、サンフランシスコでまもなく開催される消化器癌シンポジウムにて報告される予定である。この臨床試験の結果から、分子標的薬であるラムシルマブ[ramucirumab](商品名:Cyramza)とFOLFIRI化学療法の併用はFOLFIRI単独の標準治療より延命効果が高いことが示唆される。

米国癌協会の推定によると、2013年、米国で新たに大腸癌と診断されたのは102,000人以上、また、直腸癌と診断されたのは約40,000人とのことである。これらの疾患により合わせて50,000人以上が死亡した。しかしながら、米国では大腸癌に関する良い情報もある。過去15年間、大腸癌による死亡率は低下し、スクリーニング、予防および治療において技術は進歩し続けている。不幸にも多くの患者は初期治療がうまくいかず、転移性の癌へと進行していく。転移性大腸癌の治療薬の継続的開発は、転帰の改善に必要不可欠である。

ラムシルマブはモノクローナル抗体として知られる分子標的薬の一種で、血管新生阻害剤と呼ばれる薬剤に属する。ラムシルマブは癌への新たな血管形成を阻害し、実質的に癌の栄養を欠乏させることで効果を発揮する。この薬剤は現在、胃癌の治療に対してFDAで承認されており、大腸癌など他の癌については試験実施中である。

今回の臨床試験において、初期治療以降に病勢が進行した進行性大腸癌患者1,072人について、FOLFIRI(ロイコボリン+フルオロウラシル(5-FU)+イリノテカン)単独治療と、FOLFIRI+ラムシルマブ併用治療とを直接比較した。

試験の結果、2つの治療群において縮小率は同程度であったが、FOLFIRI+ラムシルマブ併用治療はFOLFIRI単独治療と比較して、病勢が進行するまでの期間と全生存期間において中等度の改善がみられた。生存期間中央値は、FOLFIRI単独治療群で11.7カ月であったのに対して、ラムシルマブ併用治療群では13.3カ月であった。

参考文献:

Tabernero J, Cohn AL, Obermannova R, et al. RAISE: A randomized, double-blind, multicenter phase III study of irinotecan, folinic acid, and 5-fluorouracil (FOLFIRI) plus ramucirumab (RAM) or placebo (PBO) in patients (pts) with metastatic colorectal carcinoma (CRC) progressive during or following first-line combination therapy with bevacizumab (bev), oxaliplatin (ox), and a fluoropyrimidine (fp). 2015 Gastrointestinal Cancers Symposium; January 15-17, 2015; San Francisco, CA. Abstract 512.


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翻訳担当者 木水友子

監修 野長瀬祥兼(腫瘍内科/近畿大学医学部附属病院)

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