転移性大腸癌患者でベムラフェニブの新たな併用投与が有効

転移性大腸癌患者でベムラフェニブの新たな併用投与が有効

MDアンダーソンがんセンターニュースリリース

ポスター番号:3516

シカゴ — 奏効率が低いことで知られる進行性大腸癌患者で、vemurafenib(ベムラフェニブ)、セツキシマブおよびイリノテカンとの併用療法が優れた効果を示すことが、テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究者らによって明らかにされた。

2014年5月31日(土)、米国イリノイ州シカゴで開催の2014年度米国臨床腫瘍学会年次総会にて発表された第1相試験では、大腸癌患者の5~10%でみられる特定のBRAF遺伝子変異 に ついて検討している。

先行試験でこの変異が治療標的と同定されたが、ベムラフェニブの単剤投与では奏効率が低かったことから、研究者は多剤での検討を行なうこととなった。

「BRAF変異を有する大腸癌患者は、標準化学療法に対して一般的に奏効を示さず進行性であることが認められています」と語ったのはDavid Hong医師で、同大学Investigational Cancer Therapeuticsの准教授で、主著者でもある。「BRAF阻害剤の投与開始当初、この阻害剤が新たな標準療法となるものと期待が持たれていましたが、実際のところ奏効が余り得られないことが判明したのです」。

本試験では、ベムラフェニブの漸増投与に加え、先行試験で転移性大腸癌の治療に用いられたセツキシマブおよびイリノテカン2剤とともに併用投与した。本試験には、12人を2つの用量群に組入れ、このうち7人を第一段階の用量(ベムラフェニブ480 mg、セツキシマブ250 mgおよびイリノテカン180 mg)、また5人を第二段階の用量としてベムラフェニブを720 mgまで漸増する用量に割り当てた。

14日間の投与期間を1サイクルとし、4サイクルごとに放射線診断画像を評価した。有害事象について評価し、発疹、下痢および悪心が最も多く認められた。

試験成績により奏効率改善が示される

評価対象患者9人のうち、投与開始後に病期再評価を行なった大腸癌患者8人全員で、部分奏効または病勢安定が示された。大腸癌患者8人での奏効率は50%、これに対しベムラフェニブ単剤投与での奏効率は10%未満であった。

「初期の試験で高い奏効率が得られていることから有望であり、将来的に標準治療となる可能性が考えられます」とHong氏。続けて「併用投与により、なんらかの相乗活性が得られるのは明らかです」。

本併用投与についてBRAF変異大腸癌患者を対象に米国で実施する予定の第2相ランダム化共同試験は、消化器腫瘍内科准教授であり第1相試験の上級著者を務めたScott Kopetz医学博士により、今年の夏の終わり頃に開始予定である。

「初期段階であって、高い奏効率が得られているという良い側面もありますが、奏効持続期間や耐性の発現機序についても未解決です」とKopetz氏は述べた。「先行試験の成績をもとに協同グループネットワークでの試験に移行することで、試験を迅速に行なうことが可能となり、その結果併用療法が承認を受けるかもしれません」。

Hong氏、Meric-Bernstam氏及びKopetz氏はGenentech社より研究支援を受けている。またOverman氏はGenentech社及びRoche社より研究支援を受けている。

Hong氏及びKopetz氏のほか、MDアンダーソンでの試験に関するその他の著者は次のとおりである:Michael Overman、M.D.、Van Morris、M.D.、Brian Kee、M.D.、Sarina Piha-Paul、M.D.、Ralph Zinner、M.D.、David Fogelman、M.D.、Imad Shureiqi、M.D。Funda Meric-Bernstam、M.D.

翻訳担当者 菅原宣志

監修 畑 啓昭(消化器外科/京都医療センター)

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