KRAS野生型の転移大腸癌に対し、パニツムマブはセツキシマブに非劣性

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パニツムマブ[panitumumab](商品名:ベクティビックス)は、KRAS野生型の転移大腸癌で化学療法が奏効しない患者の治療において、全生存期間がセツキシマブ(商品名:アービタックス)と比較して遜色がないことがわかった。この試験結果は、アムステルダムで開催された2013年欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で発表された。

米国では大腸癌が依然として癌による死因の第2位となっている。転移大腸癌は大腸から体内の遠隔部位にまで広がった癌のことをいう。

分子標的療法では、癌細胞の増殖や生存に関与する特定の経路を阻害する抗癌剤が使用される。ベクティビックスは上皮成長因子受容体(EGFR)として知られているタンパク質を標的にすることで癌の増殖や生存を抑制する。ベクティビックスは、フルオロピリミジン、オキサリプラチンおよびイリノテカンを含む化学療法レジメンによる治療中または治療後に病勢の進行が認められたEGFR発現の転移大腸癌治療に承認されている。転移性大腸癌のうち40-50%に、KRASとして知られている遺伝子に変異があると推定されている。ベクティビックスの有益性はKRAS遺伝子変異のない癌患者に限られるとみられる。この遺伝子変異がないものはKRAS野生型とも呼ばれている。

この第3相試験は化学療法抵抗性のKRAS野生型転移大腸癌を有する患者999人を対象とし、患者を無作為にベクティビックス投与群とアービタックス投与群に割り付けた。この前向き試験により、全生存期間中央値がベクティビックス投与群では10.4カ月、アービタックス投与群では10カ月であることが示された。無増悪生存期間は、ベクティビックス投与群では中央値が4.1カ月であったのに対し、アービタックス投与群では中央値が4.4カ月であった。腫瘍の縮小が認められた患者の割合を表す奏効率は、ベクティビックス投与群では22%であり、アービタックス投与群では19.8%であった。

安全性解析では、両治療プロファイルともこれまでに報告された試験結果と一致していた。有害事象(AE)には、発疹、低マグネシウム血症および注入反応など既知のものが認められた。

研究者らは、ベクティビックスは化学療法抵抗性のKRAS野生型転移大腸癌治療において、アービタックスに非劣性であると結論づけた。

参考文献:
Price T, Peeters M, Kim TW, et al. ASPECCT: a randomized, multicenter, open-label, phase 3 study of panitumumab (pmab) vs cetuximab (cmab) for previously treated wild-type (WT) KRAS metastatic colorectal cancer (mCRC). Presented at the 38th Congress of the European Society for Medical Oncology (ESMO), Amsterdam, Netherlands, September 27-October 1, 2013. Abstract 18.


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翻訳担当者 小泉美希

監修 畑 啓昭(消化器外科/京都医療センター)

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