FDAが大腸癌に対する遺伝子検査を承認/FDAニュース

FOR IMMEDIATE RELEASE: 2012年7月6日
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アービタックス治療を検討する大腸癌患者および医師に有用な遺伝子検査をFDAが承認 ― アービタックスの新規適応も承認

米国食品医薬品局(FDA)は本日、遺伝子突然変異の有無によってアービタックス(セツキシマブ)が有効な治療法となり得るかを大腸癌患者および医師が判断するための手助けとなるはじめての遺伝子検査を承認した。

テラスクリーンKRS RGO PCRキットは、他部位への転移が認められる大腸癌患者のKRAS遺伝子突然変異に関する情報を提供することができる。研究からはKRAS遺伝子突然変異が認められる患者に対してはアービタックスは有効でないことが認められている。

大腸癌は米国では3番目に多い癌死亡原因である。米国癌協会によると、2011年には14万1千人以上が大腸癌であると新たに診断され、5万人近くが大腸癌で死亡している。

アービタックスは大腸癌細胞表面の上皮増殖因子受容体(EGFR:Epidermal Growth Factor Receptor)を標的とする。EGFRは体内の特定の化学物質と結合すると、細胞内で複雑な生化学反応をもたらし、癌細胞を増殖させる信号を出す。アービタックスはEGFRを阻害し、増殖信号を遮断し大腸癌細胞の増殖を止める。ただし、大腸癌細胞にKRAS遺伝子突然変異がある場合には、アービタックスがEGFRを阻害しても大腸癌細胞の増殖は止まらない。

FDAは最初このアービタックスを、EGFR発現が認められ、化学療法が奏効しなくなった末期大腸癌患者の治療を目的とするものとして2004年に承認した。その後2009年に、KRAS遺伝子突然変異がある腫瘍患者に対してはこの医薬品は有効でないことを明らかにした研究にもとづいて、アービタックスの追加勧告を承認した。

FDAの医療機器・放射線保健センターin vitro診断機器評価安全室長Alberto Gutierrez博士は「この遺伝子検査は、この具体的な治療法が選択肢として有効であるかを医師が判断する際の手助けとなるものである」と述べている。

この検査の承認の裏付けとして、アービタックスの承認において裏付けとして用いた臨床試験被験者の腫瘍検体を評価した。アービタックスの有効性はこの検査において腫瘍に7種のKRAS遺伝子突然変異のうちの1つが認められなかった患者に限られていた。

KRAS遺伝子突然変異のなかった患者で、アービタックスによる治療を受けた患者の生存期間中央値は8.6カ月で、アービタックスによる治療を受けなかった患者の生存期間中央値は5カ月であった。KRAS遺伝子突然変異のあった患者の場合には、アービタックスによる治療を受けた患者と受けなかった患者の生存期間中央値(それぞれ4.8カ月と4.6カ月)は同等であった。

同時にFDAはアービタックスについて、EGFR発現およびKRAS野生型(突然変異なし)腫瘍のある転移性大腸癌患者の第一選択治療薬として、イリノテカン、5-FU、およびロイコボリンからなる化学療法薬FOLFIRIとの併用の新規適応も承認した。

7種のKRAS遺伝子突然変異のうち1つがなかった患者のうち、アービタックスとFOLFIRI併用患者の生存期間中央値は23.5カ月で、FOLFIRI治療患者の生存期間中央値は19.5カ月であった。KRAS遺伝子突然変異のあった患者の場合には、アービタックス併用患者と非併用患者の生存期間中央値は同等であった。

FDAの医薬品評価研究センター抗腫瘍薬製品室長Richard Pazdur医師は「アービタックスの新規適応ならびに遺伝子検査の承認により、利益を最大限に受ける可能性のある患者の選択の明確な手引きとなる。新規適応の承認につながった臨床試験データは、アービタックスはKRAS遺伝子突然変異のない大腸癌患者の治療を目的とするもので、KRAS遺伝子突然変異のある患者の治療に用いることは避けることとする勧告を裏づけるものである」と述べている。

テラスクリーン KRAS RGO PCRキットは、イングランド、マンチェスターのキアーゲン マンチェスター社が開発したものである。

アービタックスはニューヨークに本社を置くブリストル・マイヤーズ スクイブ社およびインディアナポリスのイーライリリー社が共同販売する。

詳しい情報については以下を参照のこと:

FDA: Medical Devices(医療機器)〔原文〕

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金井太郎 訳
辻村信一(獣医学/農学博士、メディカルライター)監修 
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原文

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