低用量アスピリンは大腸癌を予防する可能性がある

キャンサーコンサルタンツ

アスピリンを定期的に低用量で使用すると大腸癌を予防する可能性があるとの研究論文がGut誌に掲載された。

アスピリン、およびイブプロフェンなどその他の非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)の使用が大腸癌の予防になる可能性があると示唆している研究もすでに報告されている。しかし、このような研究では大腸癌予防のための可能な最少有効量または予防効果を得るためにアスピリンまたは他のNSAIDをどれくらいの期間使用すべきなのかは明らかになっていない。

最近実施された症例対照試験で、研究者たちはNSAIDの用量とその使用期間が大腸癌のリスクと生存期間にどのように影響するかを評価した。この試験に大腸癌と診断された2,279人(症例群)および大腸癌にかかっていない2,907人(対照群)が組み込まれた。被験者はNSAID使用に関する情報を含んだ質問票に回答した。1カ月以上にわたり週4回以上NSAIDを服用した人は使用者とみなされた。NSAID使用の分類は、低用量アスピリン(75 mg)、非アスピリン系NSAIDまたはその他のNSAIDとした。

・症例群の16%(354人)が対照群の18%(526人)と比較して、低用量アスピリンを服用していた。
・低用量アスピリンを使用すると、大腸癌の発症するリスクが22%減少した。
・低用量アスピリン使用によるリスクの減少が顕著になったのは、使用を始めて1年後であり、使用年数と共に増加し、5年で30%である。
・非アスピリン系NSAIDまたは他のNSAIDを使用しても、大腸癌のリスクが低減するとみられた。
・NSAIDを使用しても、全生存率または大腸癌特異的生存率は改善しないとみられる。

この試験は低用量アスピリン(1日75 mg)が大腸癌を予防する可能性のあることを明らかにした初めての試験であると結論した。研究者らは、アスピリンはその効果が現れる1年前から定期的に服用する必要があり、最大10年間予防効果は増加すると追記している。

参考文献:

Din FV, Theodoratou E, Farrington SM, et al. Effect of aspirin and NSAIDs on risk and survival from colorectal cancer. Gut [early online publication]. September 15, 2010.


  c1998- CancerConsultants.comAll Rights Reserved.
These materials may discuss uses and dosages for therapeutic products that have not been approved by the United States Food and Drug Administration. All readers should verify all information and data before administering any drug, therapy or treatment discussed herein. Neither the editors nor the publisher accepts any responsibility for the accuracy of the information or consequences from the use or misuse of the information contained herein.
Cancer Consultants, Inc. and its affiliates have no association with Cancer Info Translation References and the content translated by Cancer Info Translation References has not been reviewed by Cancer Consultants, Inc.
本資料は米国食品医薬品局の承認を受けていない治療製品の使用と投薬について記載されていることがあります。全読者はここで論じられている薬物の投与、治療、処置を実施する前に、すべての情報とデータの確認をしてください。編集者、出版者のいずれも、情報の正確性および、ここにある情報の使用や誤使用による結果に関して一切の責任を負いません。
Cancer Consultants, Inc.およびその関連サイトは、『海外癌医療情報リファレンス』とは無関係であり、『海外癌医療情報リファレンス』によって翻訳された内容はCancer Consultants, Inc.による検閲はなされていません。

翻訳担当者 松長 愛美

監修 辻村信一 (獣医学/農学博士、メディカルライター)

原文を見る

原文掲載日 

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

大腸がんに関連する記事

FDAが既治療の進行大腸がんにトリフルリジン合剤(ロンサーフ)とベバシズマブの併用を承認の画像

FDAが既治療の進行大腸がんにトリフルリジン合剤(ロンサーフ)とベバシズマブの併用を承認

米国食品医薬品局(FDA)2023年8月2日、米国食品医薬品局(FDA)は、フルオロピリミジン、オキサリプラチン、イリノテカンをベースとする化学療法、生物学的抗VEGF療法、またRAS...
MDアンダーソンによるASCO2023発表の画像

MDアンダーソンによるASCO2023発表

MDアンダーソンがんセンター(MDA)急性リンパ性白血病(ALL)、大腸がん、メラノーマ、EGFRおよびKRAS変異に対する新規治療、消化器がんにおける人種的格差の縮小を特集
テキサス大...
遠隔転移のある難治性大腸がんにフルキンチニブが有効の画像

遠隔転移のある難治性大腸がんにフルキンチニブが有効

MDアンダーソンがんセンター(MDA)遠隔転移を有する難治性大腸がんにおいて、標的治療薬fruquintinib[フルキンチニブ]が全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)を有意に...
局所進行直腸がんの一部の患者は放射線療法を省略しても安全である可能性の画像

局所進行直腸がんの一部の患者は放射線療法を省略しても安全である可能性

米国臨床腫瘍学会(ASCO2023)ASCOの見解「大腸がん患者の治療において、私たちは転換期を迎えています。新しい治療法を開発すると同時に、患者の健康にとって有害な治療法をな...