転移性HER2陽性乳癌にラパチニブ+カペシタビン併用療法が有効

転移性HER2陽性乳癌にラパチニブ+カペシタビン併用療法が有効

キャンサーコンサルタンツ
2009年10月

LEAP(Lapatinib Expanded Access Program、ラパチニブ拡大アクセスプログラム)多国間試験に参加する研究者らにより、アントラサイクリン系抗癌剤やタキサン系抗癌剤、ハーセプチン(トラスツズマブ)による治療が無効であったHER2陽性(HER2+)かつHER2過剰発現の局所進行性または転移性乳癌患者の治療にタイケルブ®(ラパチニブ)のゼローダ®(カペシタビン)との併用療法が有効かつ安全であることが報告された。本試験の詳細は、2009年10月8日のAnnals of Oncology誌の電子速報版で発表された。[1]

タイケルブは、ErbB1とErbB2の二種類のチロシンキナーゼを標的とする経口の小分子薬である。タイケルブはHER2陽性乳癌において効果があることが明らかにされており、異なる患者集団で引き続き検証が行われている。複数のランダム化試験により、アントラサイクリン系抗癌剤やタキサン系抗癌剤剤、ハーセプチンによる治療が無効であったHER2陽性乳癌患者において、タイケルブのゼローダとの併用療法はゼローダ単独療法よりも効果が高いことがすでに示されている。本試験は、タイケルブとゼローダの併用療法の成績が患者集団の範囲を広げて評価した場合にも同様であるかどうかを確認するため行われた。

本試験は非盲検の拡大アクセス試験で、HER2陽性の局所進行性または転移性の乳癌患者4283人を対象に45カ国で行われた。全患者ともアントラサイクリン系抗癌剤、タキサン系抗癌剤、ハーセプチンが無効であった。平均治療期間は25週間であった。最も多く報告のあったグレード3~4の副作用は、下痢、嘔吐、悪心であり、これらの発生頻度は全て10%未満であった。左室駆出率の低下が0.5%、間質性肺炎が0.2%に起こり、重度の肝疾患が0.4%に起こった。無増悪生存期間中央値は21週間、全生存期間中央値は39.6週間であった。ゼローダによる治療を受けたことがない患者は、生存期間が長くなっていた。

コメント:
タイケルブとゼローダの併用療法はゼローダ単独療法よりも無増悪生存期間および全生存期間が改善し、毒性も許容範囲内であるとするランダム化試験の結果が今回の大規模試験により確認された。

参考文献:
[1] Capri G, Chang J, Chen S-C, et al. An open-label expanded access study of lapatinib and capecitabine in patients with HER2-overexpressing locally advanced or metastatic breast cancer. Annals of Oncology [early online publication] 2009; on October 8.


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翻訳担当者 山下 裕子

監修 橋本 仁(獣医学)

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