FDAがHR+/HER2-乳がんにサシツズマブ ゴビデカンを承認
2023年2月3日、米国食品医薬品局(FDA)は、切除不能局所進行または転移性のホルモン受容体(HR)陽性ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)陰性(IHC スコア0、IHCスコア1+、またはIHCスコア2+/ISH陰性)乳がんを有し、転移性乳がんに対してホルモン療法および2種類以上の全身療法を受けている患者に対して、サシツズマブ ゴビデカン(販売名:Trodelvy、ギリアド・サイエンシズ社)を承認した。
有効性は、多施設共同非盲検ランダム化試験であるTROPiCS-02(NCT03901339)において、転移性乳がんに対して2種類以上の化学療法歴(12カ月以内に再発した場合は、そのうちの1種類は術前または術後療法でも可)があり、CDK 4/6阻害剤、ホルモン療法、タキサンのいずれかの治療を行った後に疾患進行した切除不能局所進行または転移性HR陽性HER2陰性乳がん患者543人を対象に評価された。
患者は、21日サイクルの1日目と8日目にサシツズマブ ゴビデカン(10 mg/kg)を静脈内注射する群(272人)と単剤化学療法群(271人)に1対1で無作為に割り付けられた。単剤化学療法は、エリブリン(n = 130)、ビノレルビン(n = 63)、ゲムシタビン(n = 56)、カペシタビン(n = 22)のいずれかからランダム化前に試験担当医師が決定した。ランダム化は、転移性乳がんに対する化学療法歴が2回または3〜4回、内臓転移の有無、および転移性乳がんに対する6カ月以上のホルモン療法歴の有無で層別化して行った。患者は、疾患進行または許容できない毒性が現れるまで治療を受けた。
有効性の主要評価項目は、RECIST v1.1に基づく盲検下独立中央判定による無増悪生存期間(PFS)、主要な副次的評価項目は、全生存期間(OS)であった。PFS中央値は、サシツマブ ゴビテカン群で5.5カ月(95% CI:4.2, 7.0)、単剤化学療法群で4カ月(95% CI:3.1, 4.4) であった(ハザード比 [HR]0.661 [95% CI:0.529, 0.826]、 p値 = 0.0003 )。OS中央値はサシツズマブ ゴビテカン投与群で14.4カ月(95%CI:13.0、15.7)、単剤化学療法投与群で11.2カ月(95%CI:10.1、12.7)(HR:0.789 [95% CI:0.646, 0.964]、p値 = 0.0200 )であった。
TROPiCS-02試験においてサシツズマブ ゴビテカン投与群で特に多く見られた有害事象(25%以上)は、臨床検査値異常を含め、白血球数減少(88%)、好中球数減少(83%)、貧血(73%)、リンパ球数減少(65%)、下痢(62%)、疲労(60%)、悪心(59%)、脱毛(48%)、血糖増加(37%)、便秘(34%)、アルブミン減少(32%)であった。
サシツズマブ ゴビテカンの推奨用量は点滴静脈内投与10 mg/kgで、21日間の治療サイクルの1日目と8日目に週1回、疾患進行または容認できない毒性が認められるまで継続する。
Trodelvyの全処方情報はこちらを参照。
- 監訳 尾崎 由記範(腫瘍内科・乳腺/がん研究会有明病院)
- 翻訳担当者 後藤 若菜
- 原文を見る
- 原文掲載日 2023/02/03
乳がんに関連する記事
乳がん後の母乳育児が安全であることを証明する初めての研究結果
2024年10月14日
● この結果は、乳...
デノスマブなどの骨修飾薬に起因する顎骨壊死はそれほど稀ではない
2024年10月9日
顎骨壊死は、デ...
乳がんは周りの感覚神経を利用して広がる可能性
2024年10月7日
BRCA関連乳がんにおける乳房温存療法の長期的有効性
2024年9月1日