EGFR標的治療が炎症性乳がんの治療効果を高める

EGFR標的治療が炎症性乳がんの治療効果を高める

【MDアンダーソンがんセンター研究ハイライト2022/12/19】より


EGFR標的治療は腫瘍微小環境を変えることで炎症性乳がんに対する抗腫瘍効果を改善する

炎症性乳がん(IBC)は従来の治療法では効果が得られないが、これは部分的には、免疫抑制性の腫瘍微小環境(TME)によるものである。 Xiaoping Wang医学博士と上野直人医学博士(Naoto T. Ueno, M.D., Ph.D.)が率いる研究チームは、これまでに抗EGFR抗体パニツムマブ(販売名:ベクティビックス)とネオアジュバント化学療法の併用をIBC患者に対する有効な治療戦略として確立し、最も高い病理学的完全奏効率(42%)を達成している。今回、研究グループは、この研究成果を基に、この併用療法に対する反応を制御するメカニズムを明らかにしようとした。彼らはヒト化IBCマウスモデルを用い、EGFR標的治療が免疫チェックポイント阻害薬を受容しやすいようにTMEを再形成し、免疫療法の抗腫瘍効果を向上させることを実証した。これは、炎症性乳がん患者の治療への反応を改善する手段として、EGFR経路を抑制する治療の可能性を強調するものである。詳しくは、Science Advances誌に掲載されている。



監訳 加藤恭郎(緩和医療、消化器外科、栄養管理、医療用手袋アレルギー/天理よろづ相談所病院)

******

【MDアンダーソンがんセンター研究ハイライト2022/12/19】

免疫療法の治療と副作用、標的療法の進歩、新たな腫瘍医のトレーニング、および国際的な創薬リソースに関する考察

テキサス大学 MD アンダーソンがんセンター研究ハイライトでは、MD アンダーソンの専門家による最近の基礎的、トランスレーショナル、および臨床的がん研究を簡潔に紹介しています。最近の前進には、ある種の卵巣がんに潜在的な治療効果がある細胞周期チェックポイント阻害剤、アフリカのフランス語を話す腫瘍学プロバイダー向けの遠隔指導プログラム、肥満と免疫療法の副作用との関係に関する洞察、世界最大のがん創薬データベースの更新、EGFR経路の遮断による治療反応の改善、および免疫療法関連の腎障害に対する新しい非侵襲的診断テストが含まれます。

翻訳担当者 大澤朋子

原文を見る

原文掲載日 2022/12/19

乳がんに関連する記事

【SABCS25】乳がん、術前放射線で抗腫瘍免疫反応高める可能性の画像

【SABCS25】乳がん、術前放射線で抗腫瘍免疫反応高める可能性

ホルモン受容体(HR)陽性、HER2陰性乳がん患者において、術前放射線療法をペムブロリズマブ(販売名:キイトルーダ)および化学療法と併用することで、T細胞浸潤(TCI)が改善し、術前の...
【SABCS25】BRCA陽性でも更年期ホルモン治療は乳がんリスクに影響なしかの画像

【SABCS25】BRCA陽性でも更年期ホルモン治療は乳がんリスクに影響なしか

BRCA1またはBRCA2変異を有する女性では、更年期ホルモン療法(MHT)の使用は乳がんリスクの増加と関連しないことが、サンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS)(2025年12...
【SABCS25】一部の乳がん患者でセンチネルリンパ節生検を省略できる可能性の画像

【SABCS25】一部の乳がん患者でセンチネルリンパ節生検を省略できる可能性

センチネルリンパ節生検を省略しても、5年再発率に変化なし臨床的にリンパ節陰性、ホルモン受容体(HR)陽性、HER2陰性である早期乳がん患者においてセンチネルリンパ節生検(SLN...
【SABCS25】一部のHR陰性乳がん患者で乳房MRIを省略できる可能性の画像

【SABCS25】一部のHR陰性乳がん患者で乳房MRIを省略できる可能性

術前MRIは5年再発率に影響なしステージ1または2のホルモン受容体(HR)陰性乳がん患者において、がんの進行度を判定するために診断用マンモグラフィに加え術前乳房磁気共鳴画像法(...