基底細胞様乳がんに効果的で有望な薬剤併用の研究【MDA研究ハイライト】
基底細胞様乳がんをより効果的に治療する有望な併用療法を特定する研究
悪性度の高い基底細胞様乳がん患者は、治療選択肢が限られており、いずれは薬剤耐性が生じてしまうため効果的な併用療法の必要性は高い。BETタンパク質は、複数の発がん性遺伝子のエピジェネティック制御因子であることから、BET阻害薬は有望な治療戦略として研究推進の価値があると考えられる。Gonghong Yan博士とAnil Korkut博士が率いる研究チームは統合的アプローチによって、乳がん細胞に対するBET阻害の効果を調べた。MCL1タンパク質は細胞死を防ぐことがわかっており、増加すると予後不良や薬剤耐性につながるものであるが、今回の研究で、BETが阻害された細胞はこのMCL1タンパク質を上方制御することがわかった。MCL1上方制御によって、細胞はMCL1阻害薬の影響をより受けやすくなるため、BET阻害薬とMCL1阻害薬の併用によってMCL1が上昇した患者の治療反応が改善する可能性が浮き彫りにされた。 詳細についてはCell Reportsを参照。
監訳:佐々木裕哉(白血病/MDアンダーソンがんセンター)
翻訳担当者 山田登志子
原文掲載日
【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。
乳がんに関連する記事
ER陽性HER2陰性転移乳がんで、giredestrant併用療法が無増悪生存期間を改善
2025年11月5日
エストロゲン受容体(ER)陽性HER2陰性の進行乳がんにおいて、次世代型選択的エストロゲン受容体分解薬(SERD)であり完全拮抗薬でもある、新薬giredestrant[ギレデストラン...
サシツズマブ ゴビテカンは免疫療法薬が使えない進行トリプルネガティブ乳がんの転帰改善
2025年11月6日
悪性度の高いがんの一種であるトリプルネガティブ乳がん(TNBC)のうち、免疫療法薬による治療の対象とならない患者において、抗体薬物複合体(ADC)であるサシツズマブ ゴビテカンを使用し...
検診で見つけにくい乳がん’小葉がん’をAI利用で予測しやすく
2025年11月4日
アメリカで診断される乳がんの10人に1人を占める小葉がんは、悪性度が高く発見が難しいがんであるが、この小葉がんを発症する患者を人工知能(AI)で予測する新しい方法が開発されつつある。オ...
ポリジェニック リスクスコアが非浸潤性乳がんの浸潤性乳がん発症を予測する可能性
2025年10月16日
異常な乳房細胞を有するとの診断を受けた患者では、313-SNPを基にしたポリジェニックリスクスコア(PRS313)が高い場合、後に浸潤性乳がんと診断される可能性が上がる。
血液検査から得...
血液検査から得...



