基底細胞様乳がんに効果的で有望な薬剤併用の研究【MDA研究ハイライト】

基底細胞様乳がんをより効果的に治療する有望な併用療法を特定する研究

悪性度の高い基底細胞様乳がん患者は、治療選択肢が限られており、いずれは薬剤耐性が生じてしまうため効果的な併用療法の必要性は高い。BETタンパク質は、複数の発がん性遺伝子のエピジェネティック制御因子であることから、BET阻害薬は有望な治療戦略として研究推進の価値があると考えられる。Gonghong Yan博士とAnil Korkut博士が率いる研究チームは統合的アプローチによって、乳がん細胞に対するBET阻害の効果を調べた。MCL1タンパク質は細胞死を防ぐことがわかっており、増加すると予後不良や薬剤耐性につながるものであるが、今回の研究で、BETが阻害された細胞はこのMCL1タンパク質を上方制御することがわかった。MCL1上方制御によって、細胞はMCL1阻害薬の影響をより受けやすくなるため、BET阻害薬とMCL1阻害薬の併用によってMCL1が上昇した患者の治療反応が改善する可能性が浮き彫りにされた。 詳細についてはCell Reportsを参照。

監訳:佐々木裕哉(白血病/MDアンダーソンがんセンター)

翻訳担当者 山田登志子

原文を見る

原文掲載日 

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

MDアンダーソンがんセンター(MDA)に関連する記事

腫瘍溶解性ウイルスとペムブロリズマブの併用は、一部の膠芽腫患者において安全かつ予後を改善の画像

腫瘍溶解性ウイルスとペムブロリズマブの併用は、一部の膠芽腫患者において安全かつ予後を改善

MDアンダーソンがんセンター

本試験により、併用療法の安全性が確認され、治療戦略を最適化する可能性が示された。

テキサス大学MDアンダーソンがんセンターとトロント大学の研究者が共同で実施し...
AACR:術前免疫化学療法+術後デュルバルマブにより肺がんの転帰が有意に向上の画像

AACR:術前免疫化学療法+術後デュルバルマブにより肺がんの転帰が有意に向上

MDアンダーソンがんセンター

第3相試験で、免疫療法と化学療法の併用は化学療法単独と比較して、疾患の再発、疾患の進行、疾患による死亡の割合が32%低下したことが判明した。

抄録:CT005...
ARID1A変異陽性卵巣がんにスタチンと免疫チェックポイント阻害薬の併用を検討の画像

ARID1A変異陽性卵巣がんにスタチンと免疫チェックポイント阻害薬の併用を検討

【MDアンダーソンがんセンター研究ハイライト 2023/03/29】より前臨床卵巣がんモデルにおいて、スタチン併用療法が抗腫瘍効果を向上させるがん抑制因子ARID 1 Aの不活...
TP53変異陽性高リスクMDSにマグロリマブ+アザシチジン併用が有望の画像

TP53変異陽性高リスクMDSにマグロリマブ+アザシチジン併用が有望

【MDアンダーソンがんセンター研究ハイライト 2023/03/29】より未治療の高リスクMDSで新たな2剤併用療法が有望視されるTP 53変異を有する患者を含む未治療の高リスク...