FDAがPD-L1陽性の特定のトリネガ乳がんにアテゾリズマブを承認

※これは2019年3月の記事です

2019年3月8日、米国食品医薬品局(FDA)は、当局が承認した検査法により、腫瘍に PD-L1の発現が認められ(PD-L1陽性染色された腫瘍浸潤免疫細胞[IC]が腫瘍面積の1%以上を占める)、切除不能であり局所進行または転移の認められるトリプルネガティブ(トリネガ)乳がん(TNBC)成人患者に蛋白結合パクリタキセルとの併用でアテゾリズマブ(販売名:テセントリク、Genentech Inc.社)を迅速承認した。

また、FDAはアテゾリズマブを投与するトリネガ乳がん患者の選択にコンパニオン診断法としてVENTANA PD-L1 (SP142) アッセイも承認した。

承認はIMpassion130試験(NCT02425891)に基づくものである。本試験は、国際多施設共同、二重盲検、プラセボ対照、無作為化試験であり、転移がんに対する化学療法を受けておらず、切除不能であり局所進行または転移の認められるトリネガ乳がん(TNBC)患者902人を対象としている。患者は、28日を1サイクルとして1日目および15日目にいずれも静脈内投与を実施するアテゾリズマブ(840mg)群とプラセボ群に1:1に無作為に割り付けられ、各群ともに28日を1サイクルとして1日目、8日目および15日目に蛋白結合パクリタキセル100mgの静脈内投与も実施された。

腫瘍の保存検体または新鮮検体は、中心となった研究所にてVENTANA PD-L1 (SP142)アッセイを用いて事前に評価された。その結果は無作為化層別因子として、また、事前に設定された解析のための PD-L1 陽性集団を定義するために使用した。

腫瘍に PD-L1の発現が認められた患者の無増悪生存期間(PFS)中央値は、アテゾリズマブおよび蛋白結合パクリタキセルの併用投与群では7.4カ月(6.6~9.2)であり、プラセボおよび蛋白結合パクリタキセルの併用投与群では4.8カ月(3.8~5.5)であった。PFSにより層別化されたハザード比は0.60(95%[信頼区間]CI:0.48~0.77、p<0.0001)であり、アテゾリズマブおよび蛋白結合パクリタキセルの併用投与群の方が有効であることが示されている。奏効が確定した患者の客観的奏効率(ORR)は、アテゾリズマブ投与群、プラセボ投与群でそれぞれ53%および33%であった。治療意図(ITT)集団では43%が死亡しており、全生存データは確定しなかった。

最もよく見られた副作用は、脱毛症、末梢神経障害、疲労、悪心、下痢、貧血、便秘、咳、頭痛、好中球減少症、嘔吐および食欲減退であり、アテゾリズマブおよび蛋白結合パクリタキセル投与群の20%以上でみられた。

本適応は無増悪生存期間に基づき迅速承認制度のもとで承認された。本適応の継続的な承認には、検証的試験による臨床的有用性の検証および説明が条件となる可能性がある。

腫瘍に PD-L1の発現が認められるトリネガ乳がん患者に対するアテゾリズマブの推奨用量は840mgであり、60分かけて静脈内投与をした後に蛋白結合パクリタキセル100 mg/m2を投与する。28日を1サイクルとして、疾患進行または許容できない毒性が認められるまで、アテゾリズマブを1日目および15日目に、蛋白結合パクリタキセルを1日目、8日目および15日目に投与する。

テセントリクの全処方情報はこちらを参照。

FDAは本申請を優先審査に指定した。FDA迅速承認プログラムに関する情報は、企業向けガイダンス「重篤疾患のための迅速承認プログラム-医薬品およびバイオ医薬品」(Guidance for Industry: Expedited Programs for Serious Conditions-Drugs and Biologics)に記載されている。

翻訳担当者 木村素子

監修 東海林 洋子 (薬学博士)

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