授乳婦のコデイン使用に対してFDAが警告

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FOR IMMEDIATE RELEASE:2007年8月17日
Media Inquiries: FDA Press Office, 301-827-6242
Consumer Inquiries: 888-INFO-FDA

米国食品医薬品局(FDA)は、母親がコデインを服用しておりコデインの代謝能が著しく高いタイプ(ultra-rapid metabolizers)である場合、乳児にモルヒネ過剰摂取のリスクが高まる可能性があると懸念する。当局は、モルヒネ過剰摂取で死亡した生後13日の乳児の記事が医学雑誌で報じられたことから、この件に関して入手可能なすべての情報を精査した。会陰切開の疼痛治療として少量のコデインを服用後、母乳中のモルヒネ濃度が異常に高くなっていた。遺伝子検査から、その母親はコデインの代謝能が異常に高いタイプであることが判明した。

「授乳婦にコデイン含有製品を処方する医師に対してわれわれができる最善のアドバイスは、必要とされる最低用量を最短期間で処方することである」とFDA医薬品評価研究センターの新薬オフィス次長であるSandra Kweder, M.D.氏は述べた。「そして授乳婦は、いかなるコデイン含有製品でも服用の前には必ず担当医師に相談するべきである。」

コデインは、鎮痛もしくは鎮咳の目的で使用される医療用医薬品および一般用医薬品に含まれる成分である。いったん体内に入れば、コデインの一部はモルヒネに変換(代謝)される。人によっては、その遺伝子構造から、他の人よりもはるかに速くそしてより完全にコデインを代謝する。このような人々は、代謝能が著しく高いタイプとされており、コデイン服用後のモルヒネ血中濃度は平常よりも高くなる傾向が強い。代謝能が著しく高いタイプの母親は、母乳中のモルヒネ濃度が通常よりも高くなる可能性がある。

FDAによれば、授乳婦は長年にわたってコデインを安全に使用してきた。医療上、コデインは、授乳中の女性およびその乳児に対する麻薬性鎮痛剤の中で最も安全な選択肢であると一般的に見なされている。しかしながら、FDAは、この起こり得る健康上のリスクに対する認識を高めるために、並びに乳児のモルヒネ過剰摂取を防ぐために、医療用医薬品コデインの製造者に対して、著しく高いコデイン代謝能に関する情報を医薬品添付文書に盛り込むように求めている。さらに、FDAは、医療サービス提供者および患者用としてFDAのウェブサイトにこの問題に関する情報を掲載した。

コデイン(もしくはその他の麻酔性鎮痛剤)を服用している授乳婦は、乳児に過剰摂取の兆候が現れていないか注意深く見守る方法を心得ていなければならない。母乳で育つ乳児は、通常2~3時間毎に乳を飲み一度に4時間以上眠ることはない。乳児のモルヒネ過剰摂取の兆候としては、眠気の増加、授乳困難、呼吸困難もしくは体がぐったりしていることなどがある。

代謝能が著しく高いタイプである可能性は、100人に1人未満から100人に28人まで、異なる対象集団でさまざまである。代謝能が著しく高いタイプの人々に対するコデイン服用時の有害事象発現リスクは、明らかになっていない。代謝能が著しく高いタイプであるかどうかを知る唯一の方法は、遺伝子検査を行うことである。著しく高い代謝能を調べるためにFDAが認可した検査は存在するが、この検査をコデイン代謝に使用するには情報が限られている。現段階では、検査結果だけで、母親が鎮痛目的でコデインを使用する場合、母乳に過剰のモルヒネが含まれるかどうかを正確に予測することは不可能である。この検査を医師の判断の代わりに用いることはできない。

母親と乳児は、授乳から多くの健康上の利点を得ている。授乳婦が医薬品を服用しなければならない場合、乳児はその医薬品によるリスクにさらされる可能性がある。コデインもしくは他の医薬品を使用する医療従事者および授乳中の女性にとって、これらのリスクおよび利点について話し合うことは重要である。

詳細については、Use of Codeine Products in Nursing Mothersを参照。

豊 訳
林 正樹(血液・腫瘍科

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