低リスク乳がんに対する乳房部分照射は、有効で利便性良好な選択肢

低リスク乳がんに対する乳房部分照射は、有効で利便性良好な選択肢

低リスク早期乳がん女性患者の多くでは、乳房部分照射は全乳房照射と同等の長期生存率および再発リスクを呈することが、オハイオ州立大学総合がんセンター(Arthur G. James Cancer Hospital and Richard J. Solove Research Institute(OSUCCC-James))の研究員が関与する全国的臨床試験の最新臨床データから明らかになった。

このランダム化第3相試験は、ステージ0、1、または2の乳がん女性の大規模集団において、全乳房照射と乳房部分照射を比較した。NRG腫瘍学共同研究グループによる臨床試験の一つである本試験には、4,200人以上の患者が登録された。

乳房部分照射は、ステージ0、1、および2の乳がん患者全員に対して同等のがん抑制効果を示すわけではないが、さまざまな腫瘍特性から「低リスク」に分類されるDCIS(非浸潤性乳管がん)および早期乳がんの女性に対する選択肢の一つと考えるべきであることが研究結果で示された。

試験集団全体では、乳房部分照射を受けた女性の再発率は4.6%であったのに対して、全乳房照射を受けた女性では3.9%であった。治療による毒性、二次がんのリスクはともに同様であった。

特定の患者群においてはどうであったかも調べたところ、非浸潤性乳管がん(DCIS)女性では全乳房照射か乳房部分照射のどちらを受けたかに関わらず、再発率がほぼ同じであった。米国放射線腫瘍学会(ASTRO)の臨床ガイドラインに基づいて低リスクに分類された乳がん女性でも同様の結果であった。

この患者群(DCISおよび低リスク乳がん患者)において、治療10年後の再発の可能性は全体的に非常に低く、全乳房照射(2.3%)あるいは乳房部分照射(2.7%)を受けた女性の間でほぼ同じであった。

全国規模で行われた本試験の共同責任者で、OSUCCC-Jamesの乳房放射線腫瘍学科長のJulia White医師は、短期間での少ない治療回数でもがんを抑えられる女性にとっては治療の負担が軽減されるため、非常に重要な結果であると述べている。

「全米の乳がん患者約25,000~30,000人の大半は、乳房部分照射が適していると思われます。このことは極めて重要です。なぜなら、私たちは女性患者にとって最適な量の治療を行うことができることになりますし、放射線治療施設から遠く離れた場所に住む患者にとっては、有効な乳房温存療法を受けやすくなる可能性があるからです。また、乳房部分照射が連続した5日間で行うことも可能であるのに対して、全乳房照射は数日間の治療を4〜6週連続して行います。5日間の治療のほうが費用も生活への支障も少ないことは言うまでもありません」。

がん治療後の心臓および肺疾患リスク上昇に関連するとされている胸壁放射線被ばくを抑えるために、OSUCCC-Jamesでは乳房放射線照射もうつ伏せ(腹臥位)で行っている。

このNRG腫瘍研究のデータは、2019年6月3日にシカゴで開催される米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会で発表される。

翻訳担当者 山田登志子

監修 原文堅(乳がん/がん研有明病院 乳腺センター 乳腺内科)

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