FDAが乳がんにトラスツズマブ+ヒアルロニダーゼ合剤を承認

FDAが乳がんにトラスツズマブ+ヒアルロニダーゼ合剤を承認

2019年2月28日、米国食品医薬品局は皮下投与のトラスツズマブおよびヒアルロニダーゼ併用注射液(商品名:Herceptin Hylecta、Genentech Inc.社)を承認した。Herceptin HylectaはHER2/neu受容体拮抗薬、トラスツズマブとエンドグリコシダーゼ、ヒアルロニダーゼを組み合わせた薬剤であり、HER2過剰発現を伴う乳がんの治療薬である。

本承認は、2件のランダム化試験、HannaH試験(NCT00950300)およびSafeHER試験(NCT01566721)に基づいている。HannaH試験は、手術可能なHER2 陽性乳がんあるいは炎症性乳がんなどの局所進行性乳がんを有する患者596人を対象とした。本試験において、患者を8サイクルの化学療法とトラスツズマブ+ヒアルロニダーゼ投与 の同時併用群あるいは化学療法とトラスツズマブ静注投与の同時併用群のいずれかに無作為に割り付けた後、手術を実施し、10サイクルのトラスツズマブ+ヒアルロニダーゼ投与またはトラスツズマブ静注投与を継続した。病理学的完全奏効および薬物動態に関する複合主要評価項目に基づいた結果、HannaH試験ではトラスツズマブ+ヒアルロニダーゼ投与とトラスツズマブ静注投与とは同等であった。病理学的完全奏効(pCR)は、トラスツズマブ+ヒアルロニダーゼ群の患者118人(45.4%)、トラスツズマブ静注投与群の患者107人(40.7%)で認められた(pCRの差異に関する95%信頼区間:-4.0~13.4)。

SafeHER試験は、2つのコホートを用いた前向き非ランダム化多施設盲検試験であり、HER2陽性乳がん患者を対象にトラスツズマブ+ヒアルロニダーゼ投与と化学療法を併用した場合の全般的な安全性と忍容性の評価を行った。患者には、3週間毎のトラスツズマブ+ヒアルロニダーゼ定量配合剤600mgの投与を18サイクル行った。トラスツズマブ+ヒアルロニダーゼ投与開始は、化学療法を行った後か化学療法開始と同時とし、術後補助化学療法を行わない場合と術前補助化学療法を行いトラスツズマブを投与する場合があった。

トラスツズマブ+ヒアルロニダーゼ投与患者に最も高頻度に認められた有害反応は疲労、関節痛、下痢、注射部位反応、上気道感染症、発疹、筋肉痛、悪心、頭痛、浮腫、紅潮、発熱、咳嗽、および下肢疼痛であり、患者の10%以上に認められた。

トラスツズマブ+ヒアルロニダーゼの推奨用量は600 mg/10,000単位(トラスツズマブ600mg+ヒアルロニダーゼ10,000単位)であり、3週間毎に約2~5分にわたり皮下投与する。

Herceptin Hylectaの処方情報についてはこちらを参照。

翻訳担当者 三浦恵子

監修 原 文堅(乳がん/四国がんセンター)

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