チベットヨガ、化学療法中の乳がん患者の睡眠の質を改善

チベットヨガ、化学療法中の乳がん患者の睡眠の質を改善

テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究者らの報告によると、毎週2回、チベットヨガを行うことで、化学療法を受けている乳がん患者の睡眠障害が軽減され、睡眠の質が改善される可能性がある。

Cancer誌に掲載されたこの研究によると、チベットヨガを週に少なくとも2回行った女性は、ヨガの回数が週2回に満たない女性や、通常の治療のみを受けている実対照群の女性に比べて、日中の障害が軽減し、睡眠の質および睡眠効率が時間の経過とともに改善することがわかった。

睡眠障害および疲労は、化学療法を受けているがん患者が経験する最も頻繁で衰弱する副作用のうちの主な2つであると、筆頭著者である緩和、リハビリテーションおよび総合医療科教授で総合医療プログラム主任のLorenzo Cohen博士は述べた。患者らは、しばしば睡眠の質が悪く、不眠症があり、眠気が激しいと訴える。

「過去の研究から、ヨガはがん患者の睡眠障害を効果的に軽減することがわかっていたが、実対照群の設定や長期のフォローアップが行われていませんでした」とCohen博士は話した。「この研究では過去の研究の弱点を補うことを目的としました」。

試験のランダム化のために、MDアンダーソンがんセンターで化学療法を受けているステージ1からステージ3の乳がんを有する227人の女性を、チベットヨガプログラム、シンプルなストレッチプログラム、または通常の治療を受ける待機リストコントロールグループの3つのグループのうちの1つに無作為に割り付けた。チベットヨガプログラム群とストレッチプログラム群の参加者は、化学療法治療中に1回75〜90分のクラスに4回参加した。チベットヨガプログラムの参加者は、訓練を受けたインストラクターから1対1の指導を受け、各クラスでは呼吸のコントロール、(イメージの)視覚化、瞑想および姿勢に焦点を当てた。患者は、クラスがない時は家庭で毎日練習するよう奨励された。

介入を開始する前に、参加者は、背景アンケートを記入し、睡眠の質を評価するために24時間の休息と活動のサイクルをモニターする腕時計型活動記録装置を7日間着用した。フォローアップ評価は、介入終了1週間後、3カ月後、6カ月後および12カ月後に実施した。

睡眠障害および疲労は、患者から自己報告されたピッツバーグ睡眠品質指数および簡易倦怠感尺度を用いて評価した。参加者はまた、睡眠を測定するために、それぞれの評価ポイントで7日間、毎日24時間活動記録装置を身に着けた。

経時的な全体の睡眠障害または疲労レベルに統計的に有意な群間差は見られなかったが、チベットヨガ群の患者は、他のいずれの群より治療後1週間の日々の障害の報告が少なかった。

さらに、チベットヨガを週に少なくとも2回行った人々に、長期的な睡眠の効果が時間の経過とともに現れた。ヨガを行う頻度が低い患者と比較して、これらの患者は、治療後3カ月の日々の障害が少なく、治療後6カ月には睡眠の質と効率が改善されたと報告した。これらの患者はまた、通常の治療コントロール群に比較して、3カ月後の日々の障害が少なく、6カ月後の睡眠効率が良好であると報告した。

「この介入の影響は大きくはないが、クラス以外でもヨガを実践していた女性は、時間の経過とともに睡眠が改善されたことは明るい材料である」とCohen氏は語った。

この研究と得られた知見は、グループ割り付けが盲検化されていないことや化学療法を受けている患者を募集する難しさなどのいくつかの要因によって制限され、参加率はわずか56%にとどまった。

今後計画されている研究では、クラスの中でのインストラクションを短縮し、クラス外で患者がヨガ練習を行う機会を増やすことに焦点を置く。

コーエンに加えて、共著者となるMDアンダーソンの研究者は以下のとおりである:緩和、リハビリテーションおよび総合医療科のAlejandro Chaoul医師、Kathrin Milbury医師、Amy Spelman医師、Rosalinda Engle氏、Qi Wei氏、行動科学科のKaren Basen-Engquist医師、Carol Harrison氏、健康サービス研究科のYa-Chen Tina Shih医師、乳腺腫瘍内科のBanu Arun医師、Vicente Valero 医師、放射線腫瘍科のGeorge Perkins医師、ならびに乳腺腫瘍外科のGildy Babiera 医師。その他の施設の共著者は、ピッツバーグ大学のMartica Hall医師、リグミンチャ研究所のTenzin Wangyal氏である。

本研究は、NIH/NCIの助成を受けた(助成番号R01CA105023、P30CA016672、K01AT007559)。また、テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの臨床がん予防のためのリチャード.E.ヘインズ特別プロフェッサーシップの助成を受けた。

翻訳担当者 相川 聡子

監修 朝井 鈴佳(獣医学・免疫学)

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