FDAが化学療法中の脱毛症に冷却キャップの適用拡大を承認

本日、米国食品医薬品局(FDA)は化学療法中の脱毛(脱毛症)の抑制を目的とする冷却キャップ(商品名:DigniCap Cooling System[ディグニキャップ])の適用対象拡大を承認した。DigniCap Cooling SystemはFDAが固形腫瘍患者への使用を承認した初の冷却キャップである。

DigniCap Cooling Systemの適用対象を固形腫瘍患者に対して拡大することによって化学療法誘発性の脱毛を軽減できるかもしれないことを喜ばしく思っています」と、FDA医療機器・放射線保健センターの手術機器部門長であるBinita Ashar医師は述べた。「化学療法の副作用への対処は全身の身体機能およびQOLにとって重要です」。

脱毛は一部の化学療法の副作用としてよく認められ、通常、ほとんどの固形腫瘍の治療には脱毛が伴う。全身の脱毛、段階的に進む脱毛、部分的な脱毛、薄毛などが起こりうる。がん治療による脱毛は通常一時的であるが、これらの副作用の最小化や軽減は治療全体において重要とみなされる。

DigniCap Cooling Systemは、脱毛を誘発する化学療法薬の投与および脱毛を誘発する用量での投与を受けている固形腫瘍患者において化学療法中の脱毛の頻度と重症度を低減するために使用される。DigniCap Cooling Systemは治療中にコンピューター制御システムとして利用される。キャップ部を頭部に装着し、化学療法中に頭皮を冷却する液体を循環させる。キャップはネオプレン(ゴムの一種)製の別のキャップに覆われている。このネオプレン製キャップは、冷却キャップを固定し、冷気のもれを予防する絶縁カバーとなる。

冷却は頭部の血管収縮を目的としている。血管収縮により毛嚢の細胞に到達する化学療法薬の用量が減少する。また、低温により毛嚢の活性が弱まり、細胞分裂が緩慢になる。これにより、化学療法薬の毛嚢に対する影響が弱まる。このように作用が組み合わさることで化学療法薬の細胞への影響が減少し、脱毛が抑制される可能性があると考えられている。DigniCapは一部の化学療法レジメンと併用できない可能性がある。

2015年に、FDAは乳がん患者におけるDigniCapの使用に関して販売承認した。この承認のために、脱毛との関連性が認められている化学療法を受ける乳がん患者(ステージIおよびII122人を対象に、この冷却システムの有効性を検証した。この試験の結果、DigniCapによる治療を受けた患者の66%以上で脱毛量が50%未満であった。また、DigniCapの適用拡大を裏付けるために、製造業者はすでに発表されている査読を受けた論文を提出した。その論文では乳房以外の体の部位に固形腫瘍を有する患者に対するDigniCapの適用を分析した。FDAは、これらの研究によりDigniCapの適用拡大に関する安全性と有効性を裏付ける有用な科学的根拠が得られたと結論付けた。

DigniCapは小児患者、一部のがん患者、および特定の化学療法を受けている患者に対して禁忌である。さらに、DigniCapは低温過敏性のある患者あるいは低温関連傷害に対する過敏性がある患者に適しない可能性がある。

DigniCapの最も頻度の高い副作用には寒冷性の頭痛、頸部および肩の不快感、悪寒、およびDigniCapの長時間装着に関連する疼痛などがある。頭皮内に分離したがん細胞群に対し、本品を装着することで化学療法薬の効果が損なわれる危険性はまれである。

頭皮冷却の長期的影響および頭皮転移のリスクはまだ十分に検証されていない。

FDADigniCap Cooling Systemの適用拡大をDignitana社に承認した。

翻訳担当者 三浦恵子

監修 田原 梨絵(乳腺科、乳腺腫瘍内科)、

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