乳房再建術への意思決定に必要な医学知識が半数の患者で不足

乳房再建術への意思決定に必要な医学知識が半数の患者で不足

乳房切除術を受けた乳がん患者の半数以上(57%)は、必要な医学知識が不足しており、個人個人の目的に沿った乳房再建術について質の高い意思決定を行うことができず、過剰治療となる傾向にあることが、オハイオ州立大学総合がんセンターArthur G. James Cancer Hospital and Richard J. Solove Research Institute(OSUCCC – James)で行われた最近の研究で示された。

「質の高い」意思決定は、関連するリスクを含む治療選択肢に関する適切な医学的知識に基づく意思決定、および再建術を受けるかどうかを選択する際に患者の具体的な目的や意向と一致している意思決定と定義された。

女性が手術に対して個人個人の目的を持ちつつ治療の選択肢や関連するリスクを十分に理解した上で意思決定を行うためには、意思決定ツールを共有する必要があると、研究者らは述べている。

本知見は、2017年5月3日にJAMA Surgery誌のオンライン・ファースト版で報告される。

研究デザインと方法

この単施設の観察研究では、乳房切除術後の乳房再建術の際の成人乳がん患者126人の意思決定の質を評価しようとした。すべての患者は、ステージIからIIIの浸潤性乳管/小葉乳がん、非浸潤性乳管がん(DCIS)を有していた、または予防的乳房切除術を受けていた。大多数の患者(73%)は早期がんであった。

研究者らは、研究参加者の乳房切除術や乳房再建術に関する医学的知識、たとえば手術が外観に及ぼす影響や関連するリスクについての知識を評価した。また、患者にとって最も重要なことについての個人個人の選択を評価した。主要な選択因子には、術後の乳房の外観/形状、回復時間の長さまたは合併症リスクなどがあった。

「乳房再建術に関する十分な医学的知識を有し、個人個人の希望に合った選択をしていた患者が全体の半数に満たないことがわかりました。このことを、私たちは非常に懸念しています。なぜなら、一部の女性が本当に求めていた治療を受けていなかったこと、かなりの数の患者が求めていたよりも過剰な治療を受けていたことを意味するからです」と、この研究の主任研究者であるOSUCCC – Jamesの乳房再建外科医Clara Lee医師は述べた。Lee氏は、オハイオ州立大学で医学部と公衆衛生学部の2学部の准教授に任命されている。

「多くの女性は合併症リスクをかなり懸念していましたが、リスクがどれくらい高いのかを実際にはわかっていませんでした。このことが、私たちが見た過剰な治療の一部の原因となっている可能性があります」と、彼女は付け加えた。

研究者らは、本研究の対象患者の43%のみが、再建術に関する重要な事実の少なくとも半分を理解し、自身の意向と一致する選択をしていたことを明らかにした。

外科的合併症に対する理解は特に低く、関連するリスクについて十分な知識を有していたのは患者のわずか14%であった。

「私たちは乳がんの医療従事者として、女性の治療選択を手助けできるように手術の是非について話す必要があります。外科医と患者との間で意思決定を共有することが、この意思決定を行なう上で特に有用となるはずです。自分にとって何が一番重要であるかを患者がしっかり考えられるようにする意思決定支援ツールと患者をつなぐ必要があります 」と、Lee氏は述べた。

米国国立がん研究所が資金提供する本研究の共同研究者は以下の通り。ノースカロライナ大学チャペルヒル校ラインバーガー総合がんセンターのAllison Deal医師、Ruth Huh氏(学士)、テキサス大学オースティン校のMichael Pignone医師(公衆衛生学修士)、デューク大学のPeter Ubel医師。

進行中の患者・ 医師間コミュニケーション研究

オハイオ州立大学工学部、コミュニケーション学部および公衆衛生学部のLee氏らは、医療従事者とのコミュニケーションが患者の意思決定にどのように影響するかを評価するために、早期乳がん患者の治療意思決定を評価する研究に取り組んでいる。進行中の本研究では、患者の知識、意向、および将来の健康に関する期待について調べている。この研究の情報は、臨床医が患者にケアに関する情報を提供して意思決定を行わせるツールを開発する上で役立つと期待されている。

翻訳担当者 会津麻美

監修 原野謙一(乳腺・婦人科腫瘍内科/国立がん研究センター東病院)

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