NCIが癌画像アーカイブを公開

NCIニュースノート

米国国立癌研究所(NCI)の癌画像診断技術プログラム(Cancer Imaging Program)が癌画像アーカイブ(TCIA)を開始した。TCIAは癌ゲノムアトラス(TCGA)の組織バンクと連携して、ウェブ上でのアクセスが可能な独特の臨床診断画像を保管している。セントルイスのワシントン大学との契約を通じて運用されている米国癌画像アーカイブ(Cancer Imaging Archive)はこちらから閲覧可能。このアーカイブには、TCGAでゲノム解析が行われた症例の初回撮影のMRI画像や手術前のMRI画像も数多く含まれている。

この画像診断アーカイブへの収集が始まった初期の画像は病期の進んだ脳腫瘍がほとんどであるが、そのうちTCGAとのプロジェクトから得られる乳癌、腎癌、結腸癌の画像も増えていくだろう。また、このアーカイブには患者画像から得られた肺病変を標準化されたやり方で特定できる肺画像データベースコンソーシアムのデータセットも含まれている。このアーカイブにより画像診断研究者がそれぞれの腫瘍特性にコンピュータを通じてアクセスできるようになるため、トランスレーショナルリサーチの進歩をもたらす機会が生まれている。その後、専門家によるコンピュータ支援診断のためのアルゴリズム開発が可能となり、遺伝子発現と画像診断結果との関連づけが可能となるだろう。この公開リソースは癌の予測や薬剤治療への奏効に関する適応型臨床試験の実施を容易にすることを目的としている。

翻訳担当者 窪田 美穂

監修 林 正樹(血液・腫瘍科)

原文を見る

原文掲載日 

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

乳がんに関連する記事

【ASCO2025】イナボリシブ併用療法で、進行乳がんの生存延長と化学療法の遅延が可能にの画像

【ASCO2025】イナボリシブ併用療法で、進行乳がんの生存延長と化学療法の遅延が可能に

ASCOの見解(引用)「INAVO120試験では、未治療でPIK3CA変異を有するホルモン受容体陽性転移乳がん患者さんの生存期間を有意に改善する分子標的治療レジメンの有効性が示...
転移予測にがん細胞の「くっつきやすさ」を評価ー乳がんDCISで研究の画像

転移予測にがん細胞の「くっつきやすさ」を評価ー乳がんDCISで研究

研究者らは、他の部位にまだがんが転移していない患者の治療方針について、腫瘍医がより良い判断を下すのに役立つと期待される装置を開発した。この装置は、腫瘍サンプル中のがん細胞の「接着性(く...
乳がん化学療法による神経障害にアルゼンチンタンゴ ダンス療法の画像

乳がん化学療法による神経障害にアルゼンチンタンゴ ダンス療法

化学療法の副作用としてよくみられる神経障害を伴う乳がんサバイバーに、アルゼンチンタンゴをアレンジしたダンス療法が自然なバランスと感覚を取り戻す助けとなっている。化学療法によって変化した...
浸潤性乳がんの治療に手術不要の可能性の画像

浸潤性乳がんの治療に手術不要の可能性

薬物治療後の乳房手術を省略しても、患者は5年後もがんのない状態を維持していたネオアジュバント(術前)化学療法と標準的な放射線治療で完全奏効を示した早期乳がん患者にとって、手術は...