デノスマブが閉経後のホルモン受容体陽性乳がん患者の無病生存期間を改善
ABCSG-18試験の以前の結果からもデノスマブによる骨折の減少が示された。
アロマターゼ阻害剤による補助療法にデノスマブを追加することで、閉経後のホルモン受容体陽性早期乳がん患者の無病生存期間が改善されたことが、2015サンアントニオ乳がんシンポジウム(12月8~12日)にて発表された第3相ABCSG-18試験の結果により明らかになった。
閉経後のホルモン受容体陽性早期乳がん患者のほぼすべてが、診断後の初回治療が完了してから5~10年間、アロマターゼ阻害剤単独あるいはタモキシフェンに続けてアロマターゼ阻害剤による治療を受けていた、とオーストリアにあるウィーン医科大学の外科教授であるMichael Gnant医師は説明した。「これは補助内分泌療法と呼ばれており、骨の健康に害を与えます」と彼は述べた。
「米国食品医薬品局(FDA)は、アロマターゼ阻害剤を用いた補助療法を受けている骨折リスクが高い乳がん患者の骨量を増加させる治療としてデノスマブの補助療法を承認していますが、多くの医療環境では骨粗鬆症患者にのみデノスマブの補助療法が使用されています。患者の骨の健康状態に関わらず、アロマターゼ阻害剤による補助療法を受けているホルモン受容体陽性の乳がん患者すべてに、デノスマブを用いた治療が提供されるべきであることをわれわれの新しいデータは示唆しています」とGnant氏は続けた。
ABCSG-18試験に登録された閉経後のホルモン受容体陽性の早期乳がん患者3425人のうち、1711人を6カ月に1回のデノスマブ60mg皮下投与、1709人をプラセボ投与に無作為に割付けた。
追跡期間の中央値である4年後に、デノスマブ群の患者はプラセボ群の患者と比較して病状の再発リスクが18%減少することを研究者は発見した。デノスマブ補助療法がアロマターゼ阻害剤を用いた補助療法により生じる骨折を50%減少させたという以前に発表された結果を考慮すると、今回報告された新しい知見はデノスマブ補助療法の有益性を増加させる、とGnant氏は述べた。
この解析は独立データモニタリング委員会からの勧告の結果として実施され、370の無病生存イベントのみに基づいている、とGnant氏は述べた。「そのため、完全に疑う余地のない統計的検出力を与えるものではなく、長期間の追跡に基づく今後の解析により確認する必要があるでしょう。しかし、転帰に対する有益性が追跡期間のとても早い段階で明確に生じ、過去にビスホスホネート製剤でみられた結果よりも数字的に大きいという事実を踏まえると、わたしはこの結果の信頼性に疑いを持っていません」と彼は述べた。
「デノスマブの骨折に対する劇的な有益性のため、独立データモニタリング委員会が、本プラセボ対照試験において非盲検試験としての参加を患者が選択できるよう勧告した点について言及することも重要です。これは2016年に実施される予定で、対象となる試験参加患者は、非盲検試験としての参加を選択することおよび、患者がプラセボ群に割付けられたことがわかった場合、その後にデノスマブを用いた治療を選択することができます」とGnant氏は述べた。
本研究はAmgen社により研究助成を受けた。Gnant氏はSanofi-Aventis社、Novartis社、Roche社、GlaxoSmithKline社、Pfizer社、Smith Medical社から本研究とは関係のない資金提供を受けており、Novartis社、Roche社、GlaxoSmithKline社、AstraZenec社、Nanostring Technologies社、Accelsiors社から本研究とは関係のないコンサルティング業務に対する個人的な謝礼を受けとっている。
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