高濃度乳腺では、マンモグラフィ検診に超音波検査を追加すると癌検出率が向上
高濃度乳腺(dense breast)を有しマンモグラフィが正常だった女性に、乳房の超音波検査を追加で行ったところ乳癌検出率が向上したことが、サンアントニオ乳癌シンポジウム2014(2014年12月9~13日)で発表されたデータにより明らかになった。
「高濃度乳腺であることは、女性の乳癌発症のリスクをかなり高めます」と、ニューブリテンにあるセントラル・コネチカット病院の乳房画像診断部部長で臨床放射線医であるJean M. Weigert医師(米国放射線学会[FACR])は語る。「高濃度乳腺の女性では、マンモグラフィで検出されない相当数の乳癌が、乳房超音波検査によって見つかることを私たちは明らかにしました」。
コネチカット州において、マンモグラフィ上は正常であり乳房超音波検査で高濃度乳腺を有する女性を対象に4年間検診を行ったところ、3~4/1000人の乳癌が検出された。
「乳癌検診は個別化されるべきであり、高濃度乳腺の女性はマンモグラフィ検診に乳房超音波検査を追加することを真剣に考えるべきであるという考えをもたらした点が重要です」とWeigert医師は続けた。
2009年10月1日にコネチカット州は、マンモグラフィを受ける患者にはその乳房密度について知らせ、マンモグラフィ上で高濃度乳腺とされた患者にはさらなる検査が有益であるかもしれないことを伝えることを義務化する法律を制定した最初の州となった。
Weigert医師は、コネチカットの放射線治療2施設で得た2009年10月から2013年12月のデータをレトロスペクティブに解析した。これらの施設で毎年約30,000のマンモグラフィ検診が実施され、高濃度乳腺の超音波を用いた検診数は1~4年目でそれぞれ2,706、3,351、4,128、3,331となった。乳房超音波検診では1年目11件、2年目11件、3年目13件、4年目11件の乳癌が検出された。
4年間の陽性適中率、すなわち乳房超音波検査結果陽性患者中の乳癌患者の割合は改善された。陽性適中率は1年目7.1%、2年目6.1%、3年目8.1%、4年目17.2%であった。
「この4年間で私たちは、真に癌の可能性がある乳房超音波上の異常をよりよく検出するやり方を習得しました」とWeigert医師は述べた。「マンモグラフィの陽性適中率は約20~30%です。今や私たちはさらなる経験を積んだので、乳房超音波検査でこの数値に近づきつつあります」。
Weigert医師は利益相反はないと宣言した。
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