関節リウマチ患者の乳癌再発リスクはTNF阻害剤を使用しても増加しない

キャンサーコンサルタンツ

スウェーデンの研究者が最近発表した結果によると、腫瘍壊死因子(TNF)阻害剤による治療は、関節リウマチ(RA)患者の間では乳癌再発率を増加させないようである。この研究結果は、TNF阻害剤が癌の再発を促進させるのではないかという懸念を和らげることになる。

これまで2つの研究で、TNF阻害剤を投与した患者において、癌の種類を問わず、再発のリスクを調べたが、TNF阻害剤の癌再発への影響は不明であった。TNF阻害剤の影響の可能性をさらに評価するため、スウェーデンの医師らは、乳癌の女性におけるTNF阻害剤の役割を評価することにした。乳癌は生涯リスクが高く、乳癌とRAの発病する年齢のピークが60歳前後と似通っているからである。

研究者らは、TNF阻害剤(アダリムマブ、セルトリズマブペゴル、エタネルセプト、ゴリムマブ、インフリキシマブ)を投与した乳癌患者120人を、生物学的製剤を投与しなかった乳癌患者120人とマッチさせて比較した。患者は乳癌の診断後、TNF阻害剤投与または経過観察を開始し、中央値9.4年間追跡した。

TNF阻害剤を投与した患者のうち9人に乳癌が再発し、生物学的製剤の投与を受けなかった患者でも9人が再発した。乳癌の再発およびRA関連特性の予後因子のわずかな相違を補正したさまざまなモデルで、リスクの明らかな変化はなかった。著者らは、RA患者に初回診断後10年間近くTNF阻害剤を投与した場合、TNF阻害剤投与によって乳癌の再発リスクは増加しないと思われると結論づけた。

参考文献:

Ann. Rheum. Dis. 2014 Aug. 8


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翻訳担当者 大木勝弥 

監修 金田澄子(薬学)

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