乳がん術後3年以降にマンモグラフィの頻度を減らせる可能性

乳がん術後3年以降にマンモグラフィの頻度を減らせる可能性

米国がん学会(AACR)  サンアントニオ乳癌シンポジウム(SABCS)

50歳以上で、初期乳がんの根治手術から3年経過後マンモグラフィを受ける頻度を段階的に減らした女性が、毎年マンモグラフィを受けた女性と同様の転帰を得た​​ことが、サンアントニオ乳がんシンポジウム(2023年12月5日〜9日)で発表されたMammo-50試験の結果により明らかになった。

米国および英国のガイドラインでは、初期乳がんの摘出手術後は年1回の乳がん検診を推奨している。米国では生涯にわたって年に1回、英国では術後5年間は年1回、その後は50歳以上の患者に3年に1回の検診を推奨している。

しかし、最適な検診頻度についてはこれまで大規模臨床試験で評価されておらず、長期にわたる年1回の検診は必要ないかもしれないと、英国ウォーリック大学の臨床試験教授Janet Dunn博士は説明する。

「マンモグラフィ検査の漸減は、医療制度の負担を軽減し、マンモグラフィを受けなければならない女性の不便さを軽減し、結果を待つことに伴うストレスを軽減します」とDunn氏は述べた。「乳がんサバイバーが検診に関連して抱く不安は、乳がん既往のない女性よりも強いことがわかっています」。

第3相Mammo-50試験には、がんを切除する根治手術を受け、術後3年を経過して再発がなく、診断時に50歳以上であった女性5,235人が登録された。参加者は、年に1回マンモグラフィを受ける群と、より低頻度にマンモグラフィを受ける群(乳房温存手術を受けた場合2年に1回、乳房切除の場合3年に1回)とに、1対1で無作為に割り付けられた。

5年間の追跡調査後、年1回マンモグラフィを受ける群の乳がん特異的生存率は98.1%、全生存率は94.7%であった。低頻度のマンモグラフィ群では、乳がん特異的生存率は98.3%、全生存率は94.5%であった。同様に、5年時点での再発は、年1回群では5.9%、低頻度群では5%であった。これらの結果により、マンモグラフィ検診の漸減によって転帰は悪化しないことが明らかになった。

定められたマンモグラフィスケジュールの遵守率は低頻度群の方が低かったが(69%、年1回群では83%)、これは結論に影響しないことが感度解析により確認された。さらに、同時に行われた副次研究では、4種の有効な質問票を用いて毎年患者のQOLを評価したが(精神状態、苦痛、その他の懸念の測定など)、両群の間に差異は認められなかった。

「本試験により、この患者集団がマンモグラフィ検査の頻度を減らした場合の転帰は、年1回検査の場合と同等であることが明らかになりました。患者に不利益にならないようにしながら、可能な限りサービスを合理化するためにこの種の試験を実施することは重要です」。

この研究の限界として、診断時50歳以上で術後3年以上経過した患者のみに適用可能であることなどが挙げられる。

本研究は、英国国立衛生研究所(NIHR)の医療技術評価プログラムの資金提供を受け、University Hospitals Coventry and Warwickshire NHS Trustの支援を受けた。Dunn氏は利益相反がないことを表明している。

  • 監訳 下村昭彦(乳腺・腫瘍内科/国立国際医療研究センター 乳腺腫瘍内科)
  • 翻訳担当者 奥山浩子
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  • 原文掲載日 2023/12/08

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