FDAがフルベストラント併用で乳がん治療薬カピバセルチブを承認

FDAがフルベストラント併用で乳がん治療薬カピバセルチブを承認

米国食品医薬品局(FDA)

2023年11月16日、米国食品医薬品局(FDA)は、転移病変に対し1つ以上のホルモン療法レジメンで進行または術後療法終了後12カ月以内に再発したホルモン受容体(HR)陽性、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)陰性の局所進行または転移乳がんで、FDAが承認した検査で検出された1つ以上のPIK3CA/AKT1/PTEN遺伝子変異を有する成人患者を対象に、フルベストラントとの併用でcapivasertib[カピバセルチブ](販売名:Truqap、AstraZeneca Pharmaceuticals社)を承認した。

FDAはまた、FoundationOne®CDxアッセイを、フルベストラントとカピバセルチブ併用療法を受ける乳がん患者を特定するコンパニオン診断として承認した。

有効性は、ランダム化、二重盲検、プラセボ対照、多施設共同試験であるCAPItello-291試験(NCT04305496)で評価された。708人のHR陽性HER2陰性の局所進行または転移乳がん患者が組み入れられ、このうち289人はPIK3CA/AKT1/PTEN変異を有していた。アロマターゼ阻害薬ベースの治療で病勢進行が認められたことが組入れ条件であった。局所進行または転移病変に対して、ホルモン療法の投与歴が2ライン以下、化学療法の投与歴が1ライン以下の患者は組入れ可能であった。

患者はカピバセルチブ400 mgまたはプラセボのいずれかに無作為に割り付けられ(1対1)、各週、1日2回、4日間経口投与後、3日間休薬の28日間の治療サイクルを受けた。治験群、対照群ともに、フルベストラント500 mgを1サイクル目の1日目と15日目に筋肉内投与し、その後は28日ごとに投与した。患者は病勢進行または許容できない毒性が認められるまで治療を受けた。

有効性の主要評価項目は、全集団およびPIK3CA/AKT1/PTEN変異を有する患者集団において、RECIST v1.1に基づき治験分担医師が評価した無増悪生存期間(PFS)であった。全集団およびPIK3CA/AKT1/PTEN変異を有する患者集団において、PFSに統計学的有意差が認められた。

PIK3CA/AKT1/PTEN変異を有する患者289人において、PFS中央値はカピバセルチブ+フルベストラント群で7.3カ月(95%CI:5.5, 9.0)、プラセボ+フルベストラント群で3.1カ月(95%CI:2.0, 3.7)であった(ハザード比[HR]0.50[95%CI:0.38, 0.65]p値 < 0.0001)。

腫瘍にPIK3CA/AKT1/PTEN変異を認めなかった313例(44%)におけるPFSの探索的解析では、HRは0.79(95%CI:0.61, 1.02)であり、全集団における差は主に腫瘍にPIK3CA/AKT1/PTENの変異を有する患者の集団で認められた結果に起因することが示された。

臨床検査値異常を含み、特に多く認められた有害事象(患者の20%以上で報告)は、下痢、皮膚副作用、随時血糖値上昇、リンパ球減少、ヘモグロビン減少、空腹時グルコース増加、悪心、疲労、白血球減少、トリグリセリド増加、好中球減少、クレアチニン増加、嘔吐、口内炎であった。

カピバセルチブの推奨用量は、1回400 mgを1日2回(約12時間間隔)、食事の有無にかかわらず4日間経口投与後3日間休薬し、病勢進行または許容できない毒性が発現するまで継続する。

Truqapの全処方情報はこちらに掲載される予定である

  • 監訳 下村昭彦(乳腺・腫瘍内科/国立国際医療研究センター乳腺腫瘍内科)
  • 翻訳担当者 後藤 若菜
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  • 原文掲載日 2023/11/16

 

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