リンパ浮腫に対して弾性包帯はリンパマッサージと同等に有効

キャンサーコンサルタンツ

Journal of Clinical Oncology誌に発表された研究結果によれば、リンパ浮腫の治療では、リンパマッサージの有効性は弾性包帯と同等であるという。

リンパ浮腫は、皮膚直下の組織にリンパ液が貯留した結果、患肢に腫れ、緊張および不快感をもたらす。リンパ浮腫は、リンパ系の損傷や閉塞が原因で、外科手術や放射線治療の結果として生じることが多い。初期乳癌の女性では、癌の腋窩(腕の下)リンパ節転移の有無の判断が、癌の病期分類の重要な要素となる。腋窩リンパ節の評価では、センチネルリンパ節生検を含む場合が多い。センチネルリンパ節は、癌が最初に転移する可能性が高いリンパ節である。女性は、センチネルリンパ節に癌がある場合、より広範囲にリンパ節手術(腋窩リンパ節廓清)を受けることが多い。リンパ浮腫は、腋窩リンパ節廓清において一般的な副作用である。

リンパ浮腫では、単独治療は行なわない。治療には、(リンパマッサージとして知られている)マッサージ・ベースの減圧療法、弾性包帯および専門的運動が含まれる。したがって、1つのアプローチがもう1つよりも優れているというデータは、これまでにはみられない。

研究者らは、103人の女性を対象に、リンパ浮腫の治療法としてリンパマッサージと弾性包帯を比較する研究を行なった。女性を、弾性包帯(対照群)、毎日の用手的リンパマッサージと弾性包帯(試験群)のいずれかにランダムに割り付けた。主要評価項目を、ベースラインから6週までに腕の過剰体積がどれだけ減少したかとした。

腕の過剰体積の平均減少率が、リンパマッサージ群では29パーセント、弾性群では22.6パーセントであった。50パーセント以上の腕の過剰体積の減少があった患者の比率では、群間差がみられなかった。QOLと腕の機能では、群間差がみられなかった。

研究者らは、リンパマッサージをそれより保守的なアプローチである弾性包帯と比較した場合に、リンパ浮腫において有意な改善がみられなかったと結論づけた。

参考文献:

Dayes IS, Whelan TJ, Julian JA, et al. Randomized trial of decongestive lymphatic therapy for the treatment of lymphedema in women with breast cancer. Journal of Clinical Oncology. 2013; 31(30): 3758-3763.


  c1998- CancerConsultants.comAll Rights Reserved.
These materials may discuss uses and dosages for therapeutic products that have not been approved by the United States Food and Drug Administration. All readers should verify all information and data before administering any drug, therapy or treatment discussed herein. Neither the editors nor the publisher accepts any responsibility for the accuracy of the information or consequences from the use or misuse of the information contained herein.
Cancer Consultants, Inc. and its affiliates have no association with Cancer Info Translation References and the content translated by Cancer Info Translation References has not been reviewed by Cancer Consultants, Inc.
本資料は米国食品医薬品局の承認を受けていない治療製品の使用と投薬について記載されていることがあります。全読者はここで論じられている薬物の投与、治療、処置を実施する前に、すべての情報とデータの確認をしてください。編集者、出版者のいずれも、情報の正確性および、ここにある情報の使用や誤使用による結果に関して一切の責任を負いません。
Cancer Consultants, Inc.およびその関連サイトは、『海外癌医療情報リファレンス』とは無関係であり、『海外癌医療情報リファレンス』によって翻訳された内容はCancer Consultants, Inc.による検閲はなされていません。

翻訳担当者 会津麻美 

監修 東 光久(血液癌・腫瘍内科領域担当/天理よろづ相談所病院)

原文を見る

原文掲載日 

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

乳がんに関連する記事

HER2陰性進行乳がんにエンチノスタット+免疫療法薬が有望の画像

HER2陰性進行乳がんにエンチノスタット+免疫療法薬が有望

ジョンズホプキンス大学ジョンズホプキンス大学キンメルがんセンターの研究者らによる新たな研究によると、新規の3剤併用療法がHER2陰性進行乳がん患者において顕著な奏効を示した。この治療で...
英国、BRCA陽性の進行乳がんに初の標的薬タラゾパリブの画像

英国、BRCA陽性の進行乳がんに初の標的薬タラゾパリブ

キャンサーリサーチUKタラゾパリブ(販売名:ターゼナ(Talzenna))が、英国国立医療技術評価機構(NICE)による推奨を受け、国民保健サービス(NHS)がBRCA遺伝子変異による...
乳がん術後3年以降にマンモグラフィの頻度を減らせる可能性の画像

乳がん術後3年以降にマンモグラフィの頻度を減らせる可能性

米国がん学会(AACR)  サンアントニオ乳癌シンポジウム(SABCS)50歳以上で、初期乳がんの根治手術から3年経過後マンモグラフィを受ける頻度を段階的に減らした女性が、毎年マンモグ...
早期乳がんにリボシクリブとホルモン療法の併用は転帰を改善:SABCSの画像

早期乳がんにリボシクリブとホルモン療法の併用は転帰を改善:SABCS

MDアンダーソンがんセンターアブストラクト:GA03-03

Ribociclib[リボシクリブ](販売名:Kisqali[キスカリ])とホルモン療法の併用による標的治療は、再発リスクのあ...