FDAが乳癌に対する術前補助治療薬としてパージェタを承認/FDAニュース
FOR IMMEDIATE RELEASE: 2013年9月30日
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FDAが乳癌に対する術前補助治療薬としてパージェタを承認
乳癌に対する術前補助治療薬として初めて承認された薬剤
米国食品医薬品局(FDA)は本日、手術前段階の早期乳癌患者を対象とした完全な治療法の一部(術前補助療法)として、パージェタ(ペルツズマブ)に対して迅速承認を行った。これによりパージェタは、乳癌に対する術前補助治療としてFDAが承認した初の治療薬となる。
パージェタは2012年、進行期もしくは後期(転移性)のHER2陽性乳癌患者の治療薬として承認された。HER2陽性乳癌では、癌細胞の増殖や生存に寄与するHER2タンパク質が増加している。
今回新たに承認されたパージェタの使用は、HER2陽性で局所進行性の炎症性乳癌または早期乳癌(腫瘍径2 cm超またはリンパ節転移陽性)で、再発もしくは拡大(転移)リスク、あるいは癌による死亡リスクが高いとされる患者が対象となる。パージェタは、術前補助療法としてトラスツズマブや他の化学療法剤との併用で用いられる。治療レジメンによっては術後に補助化学療法を実施する。さらに、患者は術後1年間はトラスツズマブの投与を受け続けることになる。
FDA医薬品評価研究センターの血液腫瘍製品室長Richard Pazdur医師は、「われわれは今まさに、早期乳癌の治療方針に大きな変化が生じている様子を目にしています」と語った。同医師はさらに続けて、「効果の高い治療を、高リスクの患者により早期の段階から使用可能にすることによって、癌の再発を遅らせたり、あるいはそれを防ぐことができます」と述べている。
2012年5月、FDAは、高リスクの早期乳癌に対する術前補助治療薬の迅速承認を支持するためのエンドポイントとして、乳房およびリンパ節における浸潤癌の消失と定義される病理学的完全寛解(pCR)の適用に関するドラフトガイダンスを発表した。FDAの迅速承認プログラムの下では、検証的試験が実施されている間、患者は重篤または生命を脅かす疾患を治療する有望な薬剤を使用することができる。
術前補助治療薬としてのパージェタに対する迅速承認は、pCRの評価を目的とした試験に基づいている。本試験では、トラスツズマブ+ドセタキセル併用群、トラスツズマブ+ドセタキセルにパージェタを追加した群、パージェタ+トラスツズマブ併用群、パージェタ+ドセタキセル併用群の4群の術前補助療法レジメンに、患者417人を無作為に割り付けた。pCRを達成した患者の割合は、トラスツズマブ+ドセタセルにパージェタを追加した群では約39%に達したのに対して、トラスツズマブ+ドセタキセル併用群では約21%であった。
本迅速承認に対する検証的試験は、乳癌の手術歴があり、なおかつ癌の再発リスクが高いHER2陽性乳癌患者を対象にして現在進行中である。同試験においては4,800人超の患者が登録され、有効性、安全性、および長期転帰に関するさらなるデータを得る目的で実施されている。データは2016年に得られる見込みである。
トラスツズマブ+ドセタキセルにパージェタを追加した群の患者から報告された副作用で最も多かったものは、脱毛、下痢、悪心、および白血球減少症であり、重大な副作用には心機能低下、インフュージョン関連反応、過敏性反応、およびアナフィラキシーが含まれた。
FDAは術前補助治療薬としてのパージェタの使用について、優先審査プログラムの下で審査を行った。本プログラムは、治療に大きな進展をもたらす可能性のある薬剤を対象に迅速な審査を行うものである。
乳癌は、女性における癌に関連した死亡の2番目に多い原因となっている。米国国立癌研究所によると、2013年には232,340人が新たに乳癌と診断され、39,620人が同疾患により死亡すると推定されている。乳癌の約20%では、HER2タンパク質発現量の増加が認められている。
パージェタは、カリフォルニア州サンフランシスコに本拠を置くロシュ社グループ傘下のジェネンテック社が販売している。
詳しい情報については以下を参照のこと:
FDA: Office of Hematology and Oncology Products(血液腫瘍製品室)〔原文〕
FDA: Approved Drugs: Questions and Answers(承認薬:質問と回答)〔原文〕
NCI: Breast Cancer(乳癌)〔原文〕
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谷口 淳 訳
原野謙一(乳腺科・婦人科癌・腫瘍内科/日本医科大学武蔵小杉病院) 監修
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